[日本インタビュ新聞社] - ■東証グロース市場の多士済々のバリュー株で連戦連勝を期待
前週の2大イベントは、諺でいえば「楽あれば苦あり」、「先憂後楽」の二律背反の結果になったようである。まず8月23日に発表された画像半導体世界トップのエヌビディアの5月~7月期業績は、純利益が市場予想を上回る前年同期比9倍増益で自己株式取得のオマケまでついた。ところが株価の方はといえば、好業績を先取りしていた「楽観」の反動で材料出尽くし感を強めて上値が重くなり、その後、前週末25日は2.34%安と急反落してしまった。
トバッチリを受けて、米国の長期金利は上昇し、SOX(フィラデルフィア半導体株)指数は3%超、ニューヨーク工業株30種平均(NYダウ)は1%超それぞれ反落した。東京市場の半導体製造装置株に至っては、アドバンテスト<6857>(東証プライム)のワーストワンを筆頭にレーザーテック<6920>(東証プライム)、ディスコ<6146>(東証プライム)、東京エレクトロン<8035>(東証プライム)などが、東証プライム市場の値下がり率ランキングのワーストテンに顔を並べて揃って討ち死した。もともと長期金利が上昇する金融環境下では、相対的に割高感が意識されるとして高PER株が売られる投資セオリーに従った当然のリスク回避投資となった。
次いでジャクソンホール会議での25日のパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の講演は、「必要なら追加の利上げの用意がある」と発言し金融引き締めの長期化を示唆するタカ派のメッセージであった。ただこれについても、すでに8月21日に米国の長期金利が、2007年11月以来の高い水準まで売られて織り込み、また昨年のジャクソンホール会議後のダウ工業株30種平均(NYダウ)の1008ドル安の再現を警戒した「先憂」で、むしろ「想定内」、「引き締めサイクルの終わりに近い」との見方が強まり、NYダウの247ドル高を始めS&P500種指数もナスダック総合株価指数も反発して東京市場に返ってきている。米国の10年物国債利回りも、持ち高調整の買いでわずかだが0.007%と低下した。
二律背反のイベント結果を受けた週明けの東京市場は、どうスタートするのか?もちろん米国株高に反応し、投資セオリーの売られた株ほど良く戻るとする「リターン・リバーサル」にコミットすることが有力である。前週末に大きく売られた半導体製造装置株を中心にした主力ハイテク株に売り方の買い戻しと自律反発狙い、値ごろ感からの買いなどが強まるはずだ。ただ前記したように前週末の米国市場で、エヌビディアの株価が2.34%安と反落したこともあり、株価の戻り場面では売り方と買い方の攻防は激化し、値動きが荒くなることは避けられないかもしれない。
そこでである。今週の当コラムでは、この主力ハイテク株と同様に金利が低下すれば相対的な割高感が薄れる投資セオリーで動く銘柄群に注目することにした。東証マザーズ・グロース市場銘柄である。実は、東証マザーズ指数と東証グロース市場指数は、前週末25日に、日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)が急反落するなか逆行高していた。個人投資家が、エヌビディア関連株や生成AI(人工知能)関連株に逆張りしていた結果であり、大袈裟に形容すれば「個人投資家の反乱」であった。
週明けは、この反動と主力ハイテク株へのリターン・リバーサル期待で割りを食うこともないとはいえない。しかし個人投資家は「反乱」で自信を深め継続注力する可能性もある。投資セオリーとしても、時価総額の大きい指数寄与度の銘柄が優先されると想定される。ただ両市場の銘柄は、成長可能性が唯一のカタリスト(株価材料)で無配、赤字銘柄も少なくなく、市場平均のPERも、例えば東証グロース市場の全銘柄平均で58.2倍と東証プライム市場の全銘柄平均の15.2倍を上回っている。となれば一工夫である。
東証グロ-ス市場のバリュー株へのアプロ―チである。候補株は、今年7月中旬以降に業績の上方修正をした割安株、低PERランキングや高配当利回りランキングの上位銘柄で材料含みの銘柄など多士済々である。個人投資家限定で主力ハイテク株を上回るパフォーマンスを期待し、前週末と週明け以降で連戦連勝としたい。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)