Tatiana Bautzer
[ニューヨーク 12日 ロイター] - 米投資銀行業界幹部の間で、今後は資本市場取引が活発化すると期待する声が広がっている。
ゴールドマン・サックスのデービッド・ソロモン最高経営責任者(CEO)は12日のインタビューで、米国が景気後退を避けられるとの楽観論が資本市場の復活を後押ししていると指摘。「環境が改善しているのは間違いない」と語り、ゴールドマンは大半の株式売り出し案件に関与していて、順調に進んでいると付け加えた。
新規株式公開(IPO)市場の地合いもしっかりしてきた。事情に詳しい関係者の話では、ソフトバンクグループ傘下の英半導体設計大手アームのIPOでは、公開価格が仮条件レンジの上限ないしそれ以上に達する公算が大きいという。
バークレイズのC・S・ベンカタクリシュナンCEOはニューヨークの投資家向け会合で、市場の「水面下」で猛烈な動きが出てきており、向こう数カ月でそれがどう発展していくのか見極めると述べた。
ベンカタクリシュナン氏は、再び具体的な取引が増加するには(1)安定した市場環境(2)資金調達手段がある程度使えること(3)資産価格面での妙味――が条件になるとした上で、(3)については過去18─24カ月にわたる金融資産の調整局面を経て、魅力的な価格水準に達した可能性があるとの見方を示した。
モルガン・スタンレーの投資運用責任者ダン・シムコウィッツ氏は同じ会合で、資本市場はIPOと企業合併・買収(M&A)の件数増加によって持ち直しつつあり、来年の取引環境は「相当良くなる」と予想した。