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アルコニックスは調整一巡、24年3月期は下期回復基調

発行済 2023-10-30 09:18
更新済 2023-10-30 09:35
© Reuters.  アルコニックスは調整一巡、24年3月期は下期回復基調

[日本インタビュ新聞社] - アルコニックス<3036>(東証プライム)は商社機能と製造機能を併せ持ち、M&Aも積極活用しながら、非鉄金属の素材・部品・製品の生産から卸売まで全てをONE-STOPで提供する「非鉄金属等の総合ソリューションプロバイダー」である。24年3月期は利益横ばい予想としている。下期にかけて自動車やスマホ関連の生産が持ち直す見込みとしている。経常利益は23年3月期第4四半期をボトムとして回復基調であり、積極的な事業展開で下期の収益回復基調を期待したい。株価は地合い悪化の影響を受ける場面があったが、大きく下押すことなくモミ合いレンジ下限から切り返しの動きを強めている。高配当利回りや1倍割れの低PBRなど指標面の割安感も評価材料であり、調整一巡して出直りを期待したい。なお11月7日に24年3月期第2四半期決算発表を予定している。

■「非鉄金属等の総合ソリューションプロバイダー」

商社機能と製造機能を併せ持ち、M&Aも積極活用しながら、非鉄金属の素材・部品・製品の生産から卸売まで全てをONE-STOPで提供する「非鉄金属等の総合ソリューションプロバイダー」である。

18年12月に摩擦調整材カシューパーティクル製造販売の東北化工を子会社化、19年2月にカーボンブラシ製造販売の富士カーボン製造所を子会社化、19年7月にメキシコFUJI ALCONIXがメキシコFNA社の自動車部品用精密金属プレス部品事業を譲り受け、19年10月に香港でリチウムイオン電池材料事業の合弁会社を設立、19年11月に中国で建設用仮設資材の輸入・製造・販売の合弁会社を設立、20年3月に子会社の平和金属を完全子会社化、20年8月に子会社のアドバンストマテリアルジャパン(AMJ社)がタングステン化合物メーカーの台湾・Lianyou Metals社に出資、20年12月に空調機器向け配管部品製造販売の富士根産業を子会社化、21年3月にメキシコFUJI ALCONIXがメキシコFNA社から工場用地・建物を取得した。

22年4月には精密コネクタ金属端子部品プレス加工のジュピター工業を子会社化した。また、商社流通セグメントに所属する国内関係子会社(平和金属、林金属、アルコニックス・三高、アルミ銅センター)の財務・経理・総務・労務等の管理業務を集約して行うシェアードサービスの子会社ACメタルズを設立した。22年7月には各種レーザー機器・装置の製造・販売を手掛ける金門光波を子会社化した。

22年11月には金属加工メーカーでリチウムイオン電池用機構部品の製造に強みを持つソーデナガノを子会社化した。EV用バッテリー向けの需要拡大が期待されるほか、グループ内のプレス専業子会社と「総合プレス加工グループ」を形成して多種多様な顧客ニーズに対応する戦略だ。また22年11月にはDKSHマーケットエクスパンションサービスジャパンの金属製品部の事業(チタン展伸材の欧州向け輸出など)の全てを取得した。

23年7月には子会社のマークテックが、新たに粉体物性測定(微粒子)受託事業に参入するため、100%出資の新会社ハイテクノライズを設立した。

なお21年12月には、投資事業(アルコニックスグローバルイノベーション投資事業有限責任組合、21年8月設立の子会社アルコニックスベンチャーズが運用)を開始した。先端材料・高成長事業および素材・モノづくりに関連のあるベンチャー企業または事業を投資先として成長支援し、投資先が生み出すアイデアや技術を取り込んで新規事業開拓と更なる業容拡大を目指す方針だ。

■製造も収益柱に成長

報告セグメント区分は、商社流通の電子機能材事業(化合物半導体、電子材料、チタン製品、ニッケル製品、レアメタルなど)、商社流通のアルミ銅事業(アルミニウム製品、伸銅品、非鉄スクラップ、各種配管機材など)、製造の装置材料事業(非破壊検査装置、マーキング装置、カシュー樹脂、カーボンブラシなど)、製造の金属加工事業(精密機構部品、精密研削加工部品、精密金属プレス部品、金属加工部品など)としている。

23年3月期セグメント別経常利益(消去前)は、商社流通の電子機能材がIT関連の電池材料取扱数量減少などで15.7%減の36億01百万円、商社流通のアルミ銅が仕入コストの上昇などで42.4%減の11億71百万円、製造の装置材料が自動車関連材料分野や検査・試験装置分野の出荷減少で19.8%減の9億98百万円、製造の金属加工が自動車関連や半導体実装装置向けの出荷減少などで30.0%減の24億16百万円だった。レアメタル・レアアースの取り扱いが特徴とされているが、製造も収益柱に成長している。

■26年3月期ROE12%以上目標

中期経営計画(24年3月期~26年3月期、1年ごとに見直すローリング方式)では、26年3月期の目標値として売上高2230億円、営業利益122億円以上、経常利益120億円以上、当期純利益79億円以上、EBITDA160億円以上、ROE(株主資本利益率)12.0%以上、ROIC(投下資本利益率)6.3%以上、DOE(株主資本配当率)3.2%以上を掲げた。セグメント別経常利益は商社流通が48億円(電子材料30億円、アルミ銅18億円)で製造が72億円(装置材料24億円、金属加工48億円)としている。製造が全体の60%を占める計画だ。

基本戦略として財務体質の強化、人的資本の強化、ガバナンスの強化を推進する。注力する事業領域を自動車、半導体、電子材料・電子部品として、既存事業における営業収益力の強化、投資案件の再構築、インフラ整備および内部統制の充実・強化を推進する。またサステナビリティ経営への取り組みも強化する方針だ。

23年2月には、非鉄リサイクル事業を展開するグループ会社の移転および拡充を目的として土地取得(北九州市若松区)を発表した。本件土地取得を契機にグループを横断した総合リサイクルセンターを建設し、環境配慮型企業グループの実現を目指すとしている。

23年7月には気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)への賛同を表明した。また人的資本投資の一環として、職種統合による新人事制度(キャリア職とプロフェッショナル職の区分を廃止・統合し、名称を総合職とした上で職群を一本化)を導入するとともに、従業員の賃金改定(職種統合による昇給分は含まず、ベースアップ4%、定期昇給2%、合計6%の増加)も実施した。管理職(年俸制)のベースアップも実施した。23年8月には、グループ全体としての内部統制体制の在り方をより明確にするため、内部統制システムの基本方針を改定した。

■24年3月期は下期回復基調

24年3月期の連結業績予想は、売上高が23年3月期比4.3%増の1860億円、営業利益が0.1%増の84億円、経常利益が0.3%増の82億円、親会社株主帰属当期純利益が0.2%増の55億円としている。配当予想は23年3月期と同額の54円(第2四半期末27円、期末27円)としている。

セグメント別利益(セグメント間利益消去前経常利益)は、商社流通の電子機能材が41.7%減の21億円、商社流通のアルミ銅が23.1%減の9億円、製造の装置材料が60.3%増の16億円、製造の金属加工が49.0%増の36億円としている。

第1四半期は、売上高が前年同期比9.5%減の423億70百万円、営業利益が59.4%減の15億95百万円、経常利益が64.0%減の15億30百万円、親会社株主帰属四半期純利益が68.4%減の8億58百万円だった。

資源高などにより好調だった前年同期との比較で、非鉄金属市況の下落、スマホ関連の需要減少、コスト増加分の価格転嫁のタイムラグなどにより減収・大幅減益だった。経常利益▲27億円の要因分析は、市況・為替要因(特にニッケルの市況下落)で▲13億円、数量要因で▲2億円、その他要因(レアメタル・レアアース取引や製造セグメントにおける売上総利益変動)で▲2億円、販管費増加(フル連結した製造子会社2社の販管費、および連結全体での人員増加)等で▲5億円、営業外損益で▲3億円としている。なお特別利益では前年同期計上の負ののれん発生益1億84百万円が剥落した。

セグメント別利益(セグメント間利益消去前経常利益)は、商社流通の電子機能材がニッケル市況下落やスマホ向け電池材料の取扱数量減少などで76.2%減の4億36百万円、商社流通のアルミ銅が前年の市況高騰の反動や伸銅品の在庫調整局面などの影響で80.9%減の1億83百万円、製造の装置材料がコスト増加分の価格転嫁のタイムラグなどで99百万円の損失(前年同期は4億26百万円の利益)、製造の金属加工が新規連結効果で2桁増収だがコスト増加分の価格転嫁のタイムラグなどで3.0%減の10億06百万円だった。

通期の連結業績予想は据え置いている。第1四半期は大幅減益だったが、下期にかけて自動車やスマホ関連の生産が持ち直す見込みとしている。経常利益の四半期別推移を見ると23年3月期第1四半期が42億51百万円、第2四半期が18億54百万円、第3四半期が15億45百万円、第4四半期が5億26百万円、24年3月期第1四半期が15億95百万円となる。経常利益は23年3月期第4四半期をボトムとして回復基調であり、積極的な事業展開で下期の収益回復基調を期待したい。

■株主優待制度は3月末の株主対象

株主優待制度は、毎年3月末時点の株主を対象として、保有株式数および保有期間に応じて優待商品を贈呈(詳細は会社HP参照)する。

■株価は調整一巡

株価は地合い悪化の影響を受ける場面があったが、大きく下押すことなくモミ合いレンジ下限から反発の動きを強めている。高配当利回りや1倍割れの低PBRなど指標面の割安感も評価材料であり、調整一巡して出直りを期待したい。10月27日の終値は1361円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS182円68銭で算出)は約7倍、今期予想配当利回り(会社予想の54円で算出)は約4.0%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2075円25銭で算出)は約0.7倍、そして時価総額は約422億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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