Saeed Azhar Tatiana Bautzer
[ニューヨーク 5日 ロイター] - 企業合併・買収(M&A)などのディールメーキングの環境が改善し始めており、戦略的案件の展望はより明るくなった――。5日のゴールドマン・サックス主催の会議では、業界幹部からこのような声が聞かれた。
M&Aと新規株式公開(IPO)は昨年、ロシアのウクライナ侵攻や米連邦準備理事会(FRB)の急激な利上げを受けて、いずれも低調な動きになった。
しかしバンク・オブ・アメリカ(BofA)のブライアン・モイニハン最高経営責任者(CEO)は「M&Aは成立ペースがやや速まりつつある」と語り、金利が安定する中でディールメーキングがより活発化する余地が出てくると予想した。
ゴールドマンのデニス・コールマン最高財務責任者(CFO)は、多くの顧客が「何かしらの戦略的な案件遂行」に興味を持っていると説明。ただスポンサーやプライベートエクイティ(PE)企業は、資本コストが高いので慎重になっているとくぎを刺した。
トゥルーイスト・ファイナンシャルのビル・ロジャースCEOは、取引を巡る対話がかつてないほど盛り上がっていると明かした。
エバーコアのジョン・ワインバーグ会長兼CEOは「当社でも(ディールメーキング)活動が高まっているのは疑いの余地がない。しかし実際に(合意が)発表されるかどうかは市場の安定度と投資家心理のレベル次第になる」と述べた。
モイニハン氏は、第4・四半期の投資銀行手数料収入についてはBofAが業界全体をアウトパフォームすると宣言し、業界全体の収入は10─15%目減りするが、BofAは1桁台の落ち込みにとどまって約10億ドルを確保するとの見通しを示した。