Pete Schroeder Michelle Price
[ワシントン 5日 ロイター] - 米議会上院銀行委員会が6日に開く公聴会にJPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン氏など米銀行グループ大手8社の最高経営責任者(CEO)が出席し、意見を表明する。
5日公表された証言原稿によると、大手行は増資と新たな規制が経済に打撃を与えると警告する。
リーマン・ショックなど世界的な金融危機の再発を防ぐため、各国は銀行自己資本の増強を柱としたバーゼル銀行監督委員会の「バーゼル3」について段階的に実施を進めてきた。このうちリスク計算手法を見直す「最終化」部分は「バーゼル・エンドゲーム」と呼ばれ、米大手銀行は導入に激しく反対している。
ダイモン氏は、米連邦準備理事会(FRB)などの銀行規制当局が起草中のバーゼル規制について、最大手行の所要資本を「不当かつ不必要に」20─25%引き上げ、サービス料の値上げやサービスの提供停止を余儀なくされると主張。
「もし草案通りに制定されれば、FRBが研究も熟慮もしていない形で米経済が根本的に変わる」と述べる。他の新たな消費者規制についても、厳密な経済分析の「憂慮すべき」欠如を示していると訴える。
規制当局は、予見できないショックから銀行システムを守るため、増資など新たな規制が必要だと主張しているが、シティグループのジェーン・フレイザーCEOは「孤立した」銀行の破綻に対して、米国が「不注意にも」金融システムを崩壊させることがあってはならないと警告している。
公聴会には他にバンク・オブ・アメリカ(BofA)のブライアン・モイニハンCEO、ウェルズ・ファーゴのチャールズ・シャーフCEO、ゴールドマン・サックスのデービッド・ソロモンCEO、モルガン・スタンレーのジェームズ・ゴーマンCEO、ステート・ストリートのロナルド・オハンリーCEO、BNYメロンのロビン・ビンスCEOが出席する。
公聴会は、委員会の議論をけん引する民主党穏健派に対し、大手行が、規制強化が貸し渋りを招き、零細企業・消費者に悪影響を及ぼし得ると説得する機会になる。
ゴーマンCEOはバーゼル規制は「全く不要であり、米経済の競争力を損ない、金融サービス業界の規制の緩い分野への活動を駆り立てるものだ」と証言する。