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ウォール街を知るハッチの独り言 S&P500とオルカン(マネックス証券 岡元 兵八郎)

発行済 2024-01-10 09:35
更新済 2024-01-10 09:45
© Reuters.
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*09:35JST ウォール街を知るハッチの独り言 S&P500とオルカン(マネックス証券 岡元 兵八郎) さて、マネックス証券の「メールマガジン新潮流」が、1月9日に配信されました。

そのなかから今回は、同証券のチーフ・外国株コンサルタント、『ハッチ』こと岡元兵八郎氏のコラム「S&P500とオルカン」の内容をご紹介いたします。



最近「S&P500かオルカンか?」という議論を耳にすることが増えてきました。
YouTubeのような動画投稿型SNSにおいて、投資関係のインフルエンサーたちが、S&P500とオルカンを比べ今後どちらがパフォーマンスが良いか持論を語るのです。


S&P500は米国を代表する株価指数、一方のオルカンとは、MSCIオール・カントリー・ワールド指数(ACWI)という、世界の先進国市場23か国と新興国24か国の株式で構成され、世界の株式市場の時価総額のおよそ85%に相当する株価指数への連動を目指す投資信託の略称なのですが、私はこの二つの単語を聞いて昔の苦労話を思い出しました。


今でこそ、誰でも手軽に100円からS&P500やオルカンのパフォーマンスに連動する投資信託に投資できますが、私が社会人になった1987年にはプロの機関投資家と呼ばれる金融機関ですらS&P500に手軽に投資をすることはできませんでした。
S&P500に連動する投資はS&P500指数採用銘柄の500銘柄に投資をする必要があるのですが、当時の運用会社や証券会社のトレーディングインフラでは500銘柄を自由に売買することはできなかったのです。
取引後の事務処理はかなりマニュアルで、顧客へ送っていた約定報告はファックスで送っていたような時代です。
当時の日本のプロの金融機関が米国株に投資をする場合には、S&P500ではなくNYダウ(ダウ工業株30種平均)への投資から始まりました。
30銘柄程度であればなんとか対応ができたからです。


米国1か国での投資だけでも大変だったのが、その後日本の金融機関が私たち日本人の年金運用のために、国際分散投資の名の下で世界中の先進国の株式市場へ投資をするようになっていきました。

国によって株式市場が開いている時間が違うのは当たり前、加えて通貨、取引税、取引の慣習などが違うこともあり、当時取引を100%ミスなく行うことは至難の技でした。

そうこうするうちに、今度は新興国の株式市場への投資が始まったのです。


当時米国の証券会社で機関投資家営業の責任者をしていた私は、日本の金融機関としては誰も投資をしたことがない国々の株式市場への投資が始まるにあたり、やったことがないからやるのだという志で、実際のトレードを行うニューヨークやロンドンのトレーディングデスクの責任者へ、このトレードを受けても問題なく執行できるか深夜国際電話でやり取りをしていた時代がありました。

そんな難しいトレードを受けて、世界中の株式市場で取引を行い、取引が完了するとなんとも言えない達成感はあったのですが、必ずと言って良いほど、取引のミスが発生しました。
新興国であればあるほど、ミスが起きるのです。

日本からの注文は、会社のロンドンやニューヨークのトレーディングデスク経由で、それぞれの新興国の証券会社へ取引を発注していました。
現地の証券会社のミスであったとしても、日本のプロの投資家のお客様の窓口になっていたのは私のチームですから、そのミスのお詫びにお客様のオフィスへ飛んでいったことも少なくはありませんでした。


その後、証券業界のシステムも大きく進化し、個人投資家が少額で世界中の株式市場に投資ができる投資信託に投資できるようになった今の時代は、素晴らしい時代の到来であり、昔を知っている私にとってまさに隔世の感があります。
ですから、ぜひS&P500でもオルカンでも、皆様のニーズにあったファンドをポートフォリオに加えて、そのメリットを享受していただきたいなと思うのです。


え、私がどちらが良いと思うかですか?私は、16歳から渡米、北米には10年以上住み、米国社会の長所の短所も見てきました。
米国企業で長年働き、仕事でさまざまな米国企業のマネジメントにも会ってきました。
結果、個人的には世界経済を代表する米国のグローバル企業で構成されているS&P500で十分ではないか、というのが私の結論です。


マネックス証券 チーフ・外国株コンサルタント 岡元 兵八郎
(出所:1/9配信のマネックス証券「メールマガジン新潮流」より、抜粋)


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