[ニューヨーク 12日 ロイター] - 米国株式市場はほぼ変わらず。米卸売物価指数(PPI)の予想外の下落を受け、米利下げ期待が強まる半面、銀行の決算が強弱入り混じる内容となったことで、相場は上下に振れる展開となった。
2023年12月のPPIは前月比0.1%下落と、市場予想(0.1%上昇)に反し下落した。財(モノ)の価格が下落する一方、サービスの価格は変わらずだった。
CMEのフェドウォッチによると、米連邦準備理事会(FRB)が3月に少なくとも0.25%ポイントの利下げを実施する確率は79.5%と、前日の73.2%から上昇した。
シンプリファイ・アセット・マネジメントのチーフストラテジスト、マイケル・グリーン氏は、前日発表された米消費者物価指数(CPI)がインフレ加速を示唆した半面、「PPIは幾分異なる状況を示した」とし、「FRBが制約されることなく明確に利下げを決定できる可能性が高まった」と述べた。
週間では、主要株価3指数はそろって上昇し、ダウ工業株30種は0.34%高、S&P500種は1.84%高、ナスダック総合は3.09%高。S&Pは昨年12月中旬以来、ナスダックは11月初旬以来の大幅な上昇率となった。
この日は米金融大手が軒並み昨年第4・四半期の決算を発表した。
バンク・オブ・アメリカ(BofA)は1.06%安。四半期決算では、37億ドルの一時的な費用計上が響き、大幅減益となった。
米大手銀行ウェルズ・ファーゴ(Wファーゴ)も3.34%安。24年通期の純金利収入(NII)が前年比7─9%減少する可能性があると警告した。
一方、シティグループは1.04%高。第4・四半期は18億ドルの赤字となったものの、組織再編の一環で、今後2年間で2万人を削減すると発表したことが材料視された。
JPモルガン・チェースは0.73%安。四半期決算は減益となったものの、年間では過去最高利益を達成した。
S&P銀行株指数は最大1.7%下落した後、下げ幅を縮小し1.26%安で終了した。
電気自動車(EV)大手テスラは3.67%安。中国での新モデルの一部値下げと、紅海の物流混乱に伴う部品不足で、独ベルリン近郊の工場で2週間、自動車生産の大半を停止すると発表したことが売り材料となった。
ニューヨーク証券取引所では値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を1.4対1の比率で上回った。ナスダックでは1.1対1で値下がり銘柄が多かった。
米取引所の合算出来高は105億7000万株。直近20営業日の平均は120億6000万株。