[16日 ロイター] - ウクライナのゼレンスキー大統領は16日、世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダボス会議)で演説した。ロシアのウクライナ侵攻開始から約2年を迎える中、ロシアの勝利を阻止するために西側諸国の結束とウクライナへの支援を訴えた。
ゼレンスキー大統領は、西側諸国によるウクライナ支援へのためらいや戦闘激化を巡る懸念によって戦争が長引くおそれがあると警告。「プーチン氏は変わらない。プーチン氏や他の侵略者に巣食う狂気がまん延しないよう、われわれ全員が変わらなければならない」と述べた。
現在の状況で紛争を凍結することには強く反対するとも言明した。
また、対ロシア制裁を適切に実施する必要があると指摘。ロシアの原子力部門が制裁対象になっていないことは西側諸国の弱さを物語っているとし「それぞれの制裁措置に感謝している。ただ、平和を実現に近づけることで、制裁措置が完全に機能するよう配慮する全ての人に報いることができる」と語った。
演説後の質疑応答では、欧州連合(EU)からの財政支援を巡り「前向きなシグナル」を受け取ったとしたほか、米国が数週間以内に追加支援を承認することを期待していると述べた。
また、国際パートナーからの支援が「ウクライナ経済を強化し、それによってウクライナはあなた方の安全を強化する」とし、ウクライナ支援の重要性を強調。「(ロシアによる侵攻が)ウクライナのみに関する問題だと考えるのは根本的な誤りだ。ロシアがウクライナを越えて新たに侵攻していく方角だけでなく、その時期でさえも一段と明確になる」と述べた。
<NATO事務総長ら、支援継続を表明>
北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長と欧州委員会のフォンデアライエン委員長もゼレンスキー氏に同調。西側諸国がウクライナの勝利を望むなら、兵器と資金の供給を継続しなければならないとの考えを示した。
ストルテンベルグ事務総長はダボス会議で行った演説で、ウクライナへの支援は「慈善事業」ではなく、NATOの安全保障への投資だと表明。「われわれはウクライナと共にある必要がある。ある時点でロシアは代償が高すぎると理解し、公正な和平に同意するだろう。ただ、今はウクライナと共にいなければならない」と語った。
フォンデアライエン委員長は「ウクライナは2024年以降も予測可能な資金提供が必要だ。国土を守り、正当的に領土を(ロシアから)取り戻すために、十分かつ持続的な兵器の供給が必要だ」と述べた。
ゼレンスキー氏はダボス会議の合間に、ブリンケン米国務長官やサリバン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)、米JPモルガン・チェースの幹部や国際投資家らと会談した。