[24日 ロイター] - 米電気自動車(EV)大手テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は24日、2025年後半に米テキサス州の工場で次世代EVの生産を開始する見通しを示した。
ただ、新モデルの増産は困難を伴うとの見方を示したほか、今年の販売減速を警告したことから、株価は時間外取引で6.5%下落した。
ロイターは先に、テスラが新たな量産型EVの生産を25年半ばに開始する計画をサプライヤーに伝えたと報じていた。
マスク氏はアナリスト向け決算説明会で「現時点で25年後半の生産開始を予想している」とし、開発はかなり進んでいると述べた。
新モデルはまずテキサス州で、その後メキシコと、年内に決定する北米外の工場で生産する予定という。
テスラがこの日発表した23年第4・四半期決算は、値下げや需要喚起を狙った販売奨励策の影響で粗利益率が低下した。また、今年は次世代車投入に注力する中で販売台数の伸びが大きく減速する可能性があると警告した。
同社は現在、販売増加の2つの波の間にあるとの見方を示した。最初の波は17年の「モデル3」、20年の「モデルY」発売によるもので、第2波は次世代車体によって今後始まるという。
テスラは「テキサス州ギガファクトリーで次世代車の投入に取り組む中、24年は車両(販売)台数の伸び率が23年より顕著に低くなる可能性がある」とした
ビジブル・アルファによると、市場はテスラの今年の販売台数を220万台と予想している。この通りなら23年比で約21%増となるが、マスク氏が約3年前に設定した長期目標である50%を大きく下回る。テスラは24日、この目標に言及しなかった。
ホッジス・キャピタル・マネジメントのポートフォリオマジャー、ゲーリー・ブラッドショー氏は「販売台数が減少すれば、マスク氏はおそらく値下げしてシェアを確保するだろう。利益率はしばらく苦戦が続く可能性がある」と述べた。
第4・四半期は車両1台当たりの売上原価が前期比で低下したが、テスラは既存モデルについて「コスト減の自然な限界」に近づいているとし、低コスト車投入の必要性が高まっていることが浮き彫りになった。
第4・四半期の粗利益率は17.6%。前年同期は23.8%、前期は17.9%、LSEGがまとめた市場予想は18.3%だった。
規制クレジットを除いた自動車事業の粗利益率も17.2%と、前年同期の24.3%から低下。ただ、前期の16.3%からは改善した。
インターブランドのブランドエコノミクス担当グローバルディレクター、グレッグ・シルバーマン氏は「横ばいの売上高と利益率の大幅低下は、テスラがリーダーとしての優位性を失いつつあり、ブランド面のリーダーシップが弱まっていることを改めて示した」と述べた。
テスラは昨年を通じて値下げを実施してきた。
インベスティング・ドット・コムのシニアアナリスト、ジェシー・コーエン氏は「値下げが終わったとは思わない。EV需要がまだ弱いのが主な理由だ」と語った。
純利益は前年比2倍超の79億ドル。これには繰延税金資産に関連する59億ドルの非現金利益が含まれる。テスラによると、原材料コストの低下や米政府の控除が車両単価引き下げに寄与した一方、「サイバートラック」生産や人工知能(AI)などの研究プロジェクトがコストを押し上げた。
調整後の1株利益は0.71ドルで、市場予想の0.74ドルを下回った。
売上高は3%増の251億7000万ドル。過去3年余りで最も低い伸びとなった。市場予想は256億2000万ドルだった。