Shinichi Uchida
[東京 2日 ロイター] - 東証は1日、上場企業に呼びかけている「資本コストや株価を意識した経営」に関するポイントと事例を公表した。昨年3月の呼びかけ以降、中長期の企業価値向上を重視する国内外90社超のファンドなどとの面談を踏まえ、企業の取り組みに対する投資家の期待や投資家目線とのギャップのある事例、個別企業の取り組みなどを参考として示した。
現状分析では、資本コストの把握は投資家の視点から捉えることが期待されていると指摘し、資本収益性や市場評価を巡っては、単に足元の株価純資産倍率(PBR)が1倍超か、自己資本利益率(ROE)が8%超かだけでなく、多面的な分析・評価が期待されるとした。
投資家目線とのギャップが生じている実例では、PBRに関し「そもそも1倍を超えているので、特に対応は必要はないと考え、それ以上の検討は行わない」、市場評価を高める取り組みでは「自社株買いのみの一過性の対応」や既存事業の漸次的改善のみの対応を取り上げた。
株主・投資家との対話に関しては、投資家を恐れて「特段の理由なく、経営陣が消極的」というギャップの実例を挙げ、経営者は投資家と対峙するという姿勢でなく、中長期的な信頼関係を構築し、積極的に協力を得ていく姿勢が期待されると指摘した。