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アングル:深まるロシアの対中貿易、依存リスク拡大も一部企業には追い風

発行済 2024-03-18 16:21
更新済 2024-03-18 16:28
© Reuters.  中ロ国境を流れるアムール川の近くを拠点として物流事業を営むニキータ・ミネンコフ氏。経営は順調だったが、ロシアによるウクライナ侵攻が始まって以来、業績はさらに伸びた。写真
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Gleb Stolyarov

[13日 ロイター] - 中ロ国境を流れるアムール川の近くを拠点として物流事業を営むニキータ・ミネンコフ氏。経営は順調だったが、ロシアによるウクライナ侵攻が始まって以来、業績はさらに伸びた。2年連続で売上高は倍増の勢いだ。

ミネンコフ氏が経営するユーラシア・ロジスティクス・グループをはじめ、多くのロシア企業が中国との貿易の急増による恩恵を受けている。ウクライナ侵攻と経済制裁の発動に伴い、西側企業がロシア市場を放棄したことが発端だ。

こうした成功は、中ロ両国政府がますます経済的な結びつきを強めていることを浮き彫りにしている。中国はロシア経済の生命線である同国産原油の輸入を増やす傍ら、自動車や機械類を中心とした製品を供給している。

中国の2023年貿易データによれば、ロシア向けの自動車輸出は2022年に比べ約7倍となり、輸出額は約100億ドルも急増した。

中国が他の産油国に比べ割安なロシア産原油に飛びついたことで、中ロ間の貿易総額は過去2年間で64%の大幅増となり、2400億ドルに達した。

ロシアのペスコフ報道官は今週、記者団に対して、「体系的かつ相互に利益のある貿易・経済協力の発展だ」と語った。「これがまだピークではなく、さらに伸び続けていくことを期待している」

世界貿易量は、2023年には0.8%増と減速する見込みだが、2024年には3.3%増へと回復する予想になっている。

中国はウクライナ侵攻にもかかわらずロシアとの貿易に意欲を見せており、今週末に行われるロシア大統領選挙でさらに6年間の続投を狙うプーチン大統領にとって、経済方面で救いの手を差し伸べている形だ。

シンクタンク、欧州改革センター(CER)でアシスタントディレクターを務めるザック・マイヤーズ氏は、「中ロ貿易の急増は、時間の経過とともに経済制裁がその効果を失っていくことを簡潔に示している。制裁に参加しない国が、西側企業の撤退で生まれた経済的チャンスにつけこんでいくからだ」と語る。

西側企業のロシア市場撤退により特に大きな恩恵を被ったのが中国の自動車メーカーだ。西側の自動車メーカーの多くが資産や工場を急いで投げ売りしたためだ。

ロシア自動車市場において10%に満たなかった中国企業のシェアは、ロシアが「特別軍事作戦」と称するウクライナ侵攻が始まってから2年間で50%超へと急拡大した。

以前はフォルクスワーゲンやルノー、ステランティスの製品を販売していたディーラーも、「吉利」や「奇瑞」といった中国ブランドに乗り換えた。

「長安」を扱うモスクワ郊外ムイチシチのディーラーで営業部長を務めるブラディスラフ・ベルシニン氏は、「他に選択肢はない」と語る。「利益も出るようになってきた。中国企業は実にすばやく適応しつつある」

「(中国車に対する)買い手の意識も明らかに変わりつつある。中国ブランドに対する従来の見方とは違って、信頼するようになっている」

市場分析会社オートスタットによれば、ロシアにおける「長安」の販売台数は、2022年の2550台から2023年には約4万7800台へと増加し、年間販売台数で5位にランクされた。オートスタットのデータでは、今年2月の時点で、ロシアで販売される自動車ブランドの上位10社のうち、8社が中国企業だった。

<「無制限」のパートナーシップ>

CERのマイヤーズ氏は、中ロ貿易の拡大は双方にとってのリスクをはらんでいる、と語る。

「ロシアにとってのリスクはかなりのものだ。中国のロシアへの依存度よりも、ロシアの中国への依存度の方がはるかに高い。中国は『パートナー』ではあるが、ロシアから見た不信感は強い」とマイヤーズ氏は言う。

「中国にとっては今もロシアより西側諸国の方がはるかに大きな貿易相手であり、西側諸国の制裁が相当数の中国企業に影響を及ぼすようになれば、中国としては失うものが大きい」

ロシア政府のペスコフ報道官は、そうしたリスクを一蹴する。

「中国への依存度という点が経済的・政治的脅威になるとは考えていない。プーチン大統領も習(近平)主席も、特別軍事作戦の開始以前から、貿易・経済関係を2000億ドル以上の規模に拡大することを目標に掲げていた」

今のところ、ロシアの自動車市場の回復は中国企業に支えられている。2022年は、乗用車の販売台数がわずか62万6276台という深刻な後退となった。2023年の販売台数は、開戦前である2021年の152万台には及ばないものの、106万台まで戻している。

自動車ディーラーのベルシニン氏は、「欧州ブランドに関する展望は依然として不透明だが、事業は維持しなければならない。だから中国ブランドに頼ることになる」と語る。

アムール川を隔てて中国に面する都市、ブラゴベシチェンスクを拠点とする物流企業を経営するミネンコフ氏は、2022年に売上高が倍増したと話す。

「2023年の年明けは驚くほどの需要があった。あらゆるものが買い漁られていた」とミネンコフ氏はロイターに語った。「中国が突然貿易を停止するかもしれないという懸念があって、パニック効果が生じたからだ」

ミネンコフ氏が経営するユーラシア・ロジスティクスは、産業用・建設用機器を中心とする製品の輸入や物流サービスを得意としている。

SPARKインターファクスが提供するロシア企業の業績データによれば、同グループの中心企業2社の収益は、2022年に前年比で290%増の9億7000万ドルとなった。2023年についてはまだデータがない。

ロシア政府は、「無制限」のパートナーシップの一環として、対中関係強化を熱心に進めている。

ロシアは今年、極東地域への鉄道による物資輸送能力を拡大するための予算を、2023年に比べて約40%増となる3660億ルーブル(約5926億円)に拡大する計画だ。

バイカル・アムール鉄道やトランス・シベリア鉄道などによる輸送能力は、2023年の年間1億7300万トンから、2030年には2億1000万トンに拡大する見込みとなっている。

主として、石炭や石油、その他の鉱産資源を中心とした中国およびそれ以外のアジア諸国との貿易拡大を進める狙いだ。

中国製の掘削機やフォークリフトを輸入するモスクワのKSTで営業部門を率いるエフゲニー・グドコフ氏は、2年前には中国からの供給などほとんど見られなかった、と話す。

© Reuters.  中ロ国境を流れるアムール川の近くを拠点として物流事業を営むニキータ・ミネンコフ氏。経営は順調だったが、ロシアによるウクライナ侵攻が始まって以来、業績はさらに伸びた。写真は、ウラジオストクの港に並ぶ中国からの新車。2023年8月撮影(2024年 ロイター/Tatiana Meel)

「我が社の事業はスペアパーツの取引が中心だった」とグドコフ氏は言う。だが、欧州市場がロシアを締め出し、中国製の機器に対する需要が急増する中で、KSTは針路を変えた。

「需要が供給を生む」とグドコフ氏。「私たちが市場を生み出したのではない。市場が私たちを生み出した」

(翻訳:エァクレーレン)

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