[日本インタビュ新聞社] - (決算速報)
TAC<4319>(東証スタンダード)は5月15日の取引時間終了後に24年3月期連結業績を発表した。売上高が伸び悩み、各利益は赤字で着地した。主力の個人教育事業において大学生を主な受講層とする講座が低調だった。法人研修事業の一部の研修実施日程が後ろ倒しになったことなども影響した。25年3月期は黒字予想としている。重点施策として、既存事業の強化、個人教育事業の早期回復、株価純資産倍率(PBR)の改善などに取り組むとしている。積極的な事業展開で収益回復基調を期待したい。株価は年初来安値を更新する展開となったが、1倍割れの低PBRなども評価材料であり、売り一巡して出直りを期待したい。
■24年3月期は赤字、25年3月期は黒字予想
24年3月期の連結業績は、売上高(前受金調整後の発生ベース売上高)が23年3月期比3.6%減の190億01百万円、営業利益が3億07百万円の損失(23年3月期は3億19百万円の利益)、経常利益が3億29百万円の損失(同3億24百万円の利益)、親会社株主帰属当期純利益が2億19百万円の損失(同2億14百万円の利益)だった。配当は23年3月期と同額の6円(第2四半期末3円、期末3円)とした。
売上高が伸び悩み、各利益は赤字で着地した。主力の個人教育事業において大学生を主な受講層とする講座が低調だった。法人研修事業の一部の研修実施日程が後ろ倒しになったことなども影響した。
個人教育事業は、現金ベース売上高が2.1%減の97億65百万円、現金ベース営業利益が10億29百万円の損失(23年3月期は10億74百万円の損失)だった。法人研修事業は、現金ベース売上高が0.5%増の44億45百万円、現金ベース営業利益が4.7%増の10億11百万円だった。
受講者数は、個人受講者が1.4%減の11万1093人、法人受講者が5.7%増の8万8847人で、合計が1.6%増の19万9940人だった。分野別売上高は財務・会計分野が14.0%減収、経営・税務分野が1.2%増収、金融・不動産分野が0.9%増収、法律分野が1.9%増収、公務員・労務分野が9.7%減収、情報・国際分野が1.1%増収、医療・福祉分野が横ばい、その他が15.6%増収だった。
出版事業(TAC出版、W出版)は売上高が4.1%減の42億46百万円、営業利益が30.3%減の8億47百万円だった。第3四半期以降は回復傾向だが、巣ごもり需要の反動減があった第1四半期および第2四半期の影響をカバーするまでには至らず減収減益だった。人材事業は売上高が1.5%減の5億10百万円、営業利益が9.5%減の63百万円だった。TACプロフェッショナルバンクの会計系人材事業は堅調だったが、医療事務スタッフ関西の医療系人材事業における営業費用の増加などが影響した。
全社ベースの業績を四半期別に見ると第1四半期は売上高(前受金調整後の発生ベース売上高)が52億06百万円で営業利益が1億23百万円、第2四半期は売上高が49億19百万円で営業利益が1億29百万円、第3四半期は売上高が42億43百万円で営業利益が5億74百万円の損失、第4四半期は売上高が46億31百万円で営業利益が14百万円だった。なお、同社が重視している前受金調整前の現金ベースの売上高は、第1四半期が前年同期比6.3%減の44億43百万円、第2四半期が2.3%減の55億46百万円、第3四半期が3.7%増の44億69百万円、第4四半期が2.0%減の44億72百万円だった。
25年3月期の連結業績予想は売上高(前受金調整後の発生ベース売上高)が24年3月期比1.1%増の192億20百万円で、営業利益が2億70百万円(24年3月期は3億07百万円の損失)、経常利益が2億20百万円(同3億29百万円の損失)、親会社株主帰属当期純利益が1億50百万円(同2億19百万円の損失)としている。配当予想は24年年3月期比2円減配の4円(第2四半期末2円、期末2円)としている。予想配当性向は48.4%となる。
グループの持続的な事業活動と中長期的な成長を推進するための重点施策として、既存事業の強化、個人教育事業の早期回復、株価純資産倍率(PBR)の改善などに取り組むとしている。積極的な事業展開で収益回復基調を期待したい。
■株価は売り一巡
株価は年初来安値を更新する展開となったが、1倍割れの低PBRなども評価材料であり、売り一巡して出直りを期待したい。5月16日の終値は178円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS8円27銭で算出)は約22倍、今期予想配当利回り(会社予想の4円で算出)は約2.2%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS323円28銭で算出)は約0.6倍、時価総額は約33億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・Media-IR 株式投資情報編集部)