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ネオジャパンは上値試す、25年1月期大幅増収増益予想で1Q順調

発行済 2024-06-25 09:32
更新済 2024-06-25 09:35
© Reuters.  ネオジャパンは上値試す、25年1月期大幅増収増益予想で1Q順調

[日本インタビュ新聞社] -  ネオジャパン<3921>(東証プライム)は、自社開発のグループウェアdesknet‘s NEOクラウドサービスを主力として、製品ラインアップ拡充による市場シェア拡大戦略、アライアンス戦略、東南アジア市場開拓戦略を推進している。25年1月期は大幅増収増益で過去最高業績予想としている。第1四半期はソフトウェア事業が好調に推移した増収効果に加え、売上総利益率の上昇や販管費の抑制なども寄与して大幅増益と順調だった。そして配当予想を上方修正した。また24年9月にはdesknet‘s NEOクラウドの価格改定を予定しており、通期連結業績予想に上振れ余地がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は急伸して年初来高値更新を更新した。利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。

■自社開発グループウェアのクラウドサービスが主力

 ビジネス・ITコミュニケーションツール開発企業である。自社開発のグループウェアdesknet‘s NEOのクラウドサービス(月額課金収入)を主力に、大企業向け中心のプロダクト(パッケージソフト販売のライセンス収入およびサポートサービス収入)も展開している。

 海外展開は19年6月米国子会社DELCUIを設立、19年12月マレーシアに合弁会社NEOREKA ASIAを設立、21年2月タイに子会社Neo Thai Asiaを設立した。また24年4月にはフィリピンに子会社NEOPhilippineを設立し、拠点開設は3ヶ国となった。当面は投資が先行する形だが、ASEAN全域においてグループウェアdesknet‘s NEOブランドの確立を目指す。

 24年1月期の売上高構成比は、グループウェアを中心とするビジネスICTツールのソフトウェア事業が69%(クラウドサービスが45%、プロダクトが24%、技術開発が1%)、子会社Pro-Spireのシステム開発サービス事業が31%、海外事業が1%、調整額が▲2%、営業利益構成比はソフトウェア事業が94%、システム開発サービス事業が8%、海外事業が▲2%、調整額が0%だった。

■ユーザー数は増加基調

 グループウェアdesknet‘s NEOは、すべての組織のDX推進を支えるオールインワン改善プラットフォームである。多機能・使いやすさ・高品質・低価格を強みとしている。24年3月には、利用ユーザーの声を受けて14機能・80項目に及ぶ機能拡張を行った最新バージョン8.5の提供を開始した。

 グループウェアdesknet‘s NEOの大規模導入事例として、22年7月に、神奈川県横浜市が整備する最大6万人が利用する市区局共通グループウェアとして、desknet‘s NEOが全面的に採用(東芝デジタルソリューションズが市区局共通グループウェア構築事業を受託)された。23年10月には神奈川県横浜市へ要配慮施設利用者の安全を守る避難確保計画の作成支援システムを提供した。業種・業態・規模を問わず幅広く企業・官公庁・自治体に採用され、自治体・政府機関1100以上(都道府県庁18含む)に導入されている。

 なお神奈川県横浜市へ提供している要配慮施設利用者の安全を守る「避難確保計画システム」および「避難訓練実績システム」が24年5月に稼働開始した。この「避難確保計画システム」も全国の自治体への導入を推進することで、地域の防災・減災に貢献する。

 グループウェアdesknet‘s NEO以外の製品ラインアップとしては、ノンプログラムで誰でもWebアプリを簡単に作成できるノーコード業務アプリ作成ツールAppSuite、新しいコミュニケーションツールとしてのセキュリティ特化型ビジネスチャットChatLuckも提供しており、グループウェアdesknet‘s NEOとの連携を強化している。

 24年2月には、グループウェアdesknet‘s NEOのパッケージ版であるスモールライセンスとエンタープライズライセンスを統合、ノーコードアプリ作成ツールAppSuiteのパッケージ版であるスモールライセンスとエンタープライズライセンスを統合し、それぞれパッケージ版ライセンスとして販売開始した。

 24年6月には、カスタマーコミュニケーションハブとしてNEOPORTの提供を開始した。メール、チャット、動画音声メッセージなど多様化するカスタマーとのコミュニケーションチャネルを共通のプラットフォームに統合し、AI・自動化技術も活用してチームでの顧客対応業務を効率化させるクラウド型の新しいコミュニケーションツールである。今後はグループウェアdesknet‘s NEOやノーコード業務アプリ作成ツールAppSuiteなどとの連携機能も増強する。

 24年1月期末時点で、desknet‘s NEOのプロダクト累計販売実績は23年1月期末比4.6%増の438.4万ユーザー、クラウドユーザー数は7.9%増の52.1万ユーザー、AppSuiteのプロダクト累計販売実績は79.8%増の31.1万ユーザー、クラウドユーザー数は31.8%増の5.8万ユーザーとなった。

■成長戦略

 中期業績目標値には、26年1月期売上高78億75百万円、営業利益16億95百万円、当期純利益11億70百万円、1株当たり利益78円50銭、1株当たり配当31円、配当性向39.5%を掲げている。

 成長戦略として国内累計販売ユーザー数1000万ユーザー、グループウェア国内トップシェアを目指し、グループウェアdesknet‘s NEOを核とするエンタープライズ向け製品ラインアップ拡充戦略、市場シェア拡大戦略、シナジーが見込めるアライアンスへの戦略投資、マレーシアの合弁会社を拠点とするクラウドサービスの東南アジア市場開拓戦略などを推進している。

 22年11月には、横浜市が募集した民間企業のデジタル技術を活用して行政サービスのDX化を進めるプロジェクト「YOKOHAMA Hack!」の第1回実証実験事業者に選定され、横浜市と共同で「要配慮施設利用者の安全を守る避難確保計画の取組強化」の実証実験を開始した。AppSuiteとdesknet‘s NEOを活用する。

 22年12月には神奈川県鎌倉市の市区局共通の情報共有基盤として、グループウェアdesknet‘s NEO、ビジネスチャットChatLuck、業務アプリ作成ツールAppSuiteの3製品が実証実験を終えて採用決定した。23年12月には神奈川県鎌倉市が、ビジネスチャットChatLuck上で生成AI「ChatGPT」の全庁での実証実験を開始した。

 23年1月には、国や地方自治体、民間企業などが一体となって、日本全国あらゆる人のスキルをアップデートする“リスキング”に取り組む新たな試みである「日本リスキングコンソーシアムに、リスキングパートナーとしてトレーニングプログラムの提供を開始した。ノーコードツールAppSuiteを使いこなすためのメニューからスタートし、順次追加していく予定としている。

 23年4月には経済産業省のIT導入補助金2023においてIT導入支援事業者として採択され、グループウェアdesknet‘s NEO、ノーコードアプリ作成ツールAppSuite、ビジネスチャットChatLuckが補助金の対象ツールとして認定された。24年6月には経済産業省が定める「DX認定事業者」に認定された。

■さまざまな賞を受賞

 23年2月には、法人向けIT製品・サービス比較サイトITトレンドが選出する2022年下半期Good Productバッジにおいて、グループウェアdesknet‘s NEOがグループウェア部門を受賞した。

 23年8月には、日経コンピュータ誌(日経BP発行)の「日経コンピュータ顧客満足度調査2023~2024」において、グループウェア/ビジネスチャット部門で第1位を獲得した。

 24年4月には、アイティクラウドが運営するITreview Grid Award 2024 Springにおいて、グループウェアdesknet‘s NEO、ビジネスチャットChatLuck、ノーコードアプリ作成ツールAppSuiteがそれぞれ4部門で最高位である「Leader」を受賞した。24年6月にはアイティクラウドが運営するITreview BEST software Japan 2024において、グループウェアdesknet‘s NEOが「ワークフロー」カテゴリーでTOP50に選出された。

 また24年6月にはスマートキャンプ社が運営するBOXIL SaaS AWARD Summer 2024において、グループウェアdesknet‘s NEO、ビジネスチャットChatLuckがそれぞれ2部門で4つの賞を受賞した。

■アライアンスも活用

 23年9月にはフィリピン経済特区庁(PEZA)と、適切なICTシステムの開発と導入に関する基本合意(MOU)を締結した。海外政府機関とのMOU締結は同社にとって初となる。

 24年3月には、米国FanKave社との「FanVoice AI」のサブライセンス契約締結、および日本での「FanVoice AI」サービスの提供開始を発表した。音声・動画による「顧客の生の声」をAIが分析し、顧客のニーズや感情などの定性データを収集できるAI VoC(Voice of Customer)サービスである。日本企業では初のサブライセンス契約となる。

■サステナビリティ経営

 サステナビリティ経営への取り組みとして、22年11月にはクラウドサービス情報開示認定機関ASPISより、クラウドサービスにおける信頼・安全性の推進に多大なる貢献をしたサービス・事業者として最優秀・資格継続賞を受賞した。08年7月に7番目の事業会社として情報開示認定企業に認定されて以来、この資格を14年維持している。

 23年4月には、神奈川県「かながわSDGsパートナー」に認定された。また、横浜市のSDGs認証制度Y-SDGsにおいて上位認証である「Superior(スーペリア)」を取得した。さらにESG経営への取り組みを強化するため、23年5月にサステナビリティ委員会を設置、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に賛同を表明した。

 24年3月には横浜市が取り組む「横浜健康経営認証」において最高クラスの「横浜健康経営認証クラスAAA」に認定(認証期間は24年4月1日から2年間)された。24年3月には経済産業省と日本健康会議が進める健康経営優良法人認定制度において健康経営優良法人2024(大規模法人部門)に認定(5年連続)された。

 24年6月には厚生労働大臣が認定する「くるみん認定」を取得した。またスポーツ庁が推進する「Sport in Lifeコンソーシアム」に加盟した。さらに24年10月27日開催(予定)の横浜マラソン2024に協賛する。

■上場維持基準適合に向けた計画書

 23年1月31日時点で流通時価総額がプライム市場の上場維持基準に適合しない状況となったため、23年4月26日付で上場維持基準適合に向けた計画を作成・公表した。広告宣伝費については26年1月期まで24年1月期と同水準程度の投資を継続するが、認知度向上効果やストック型売上の安定的成長を基盤として業績の向上を図るとともに、株主還元施策の強化、IR活動強化による認知度向上、ESG/サステナビリティへ経営の取り組み強化、流通株式比率の向上などを推進し、企業価値の向上(時価総額の増大)に努めるとしている。計画期間は26年1月末までとしている。

 そして24年4月24日付で進捗状況をリリースした。24年1月31日時点で流通株式時価総額が上場維持基準を充たしていないが、引き続き各種取組を進めるとしている。

■25年1月期大幅増益予想で1Q順調

 25年1月期の連結業績予想は売上高が24年1月期比6.4%増の70億37百万円、営業利益が23.8%増の16億05百万円、経常利益が17.8%増の16億19百万円、親会社株主帰属当期純利益が14.8%増の10億98百万円としている。

 配当については6月14日付で配当政策の変更および配当予想の上方修正を発表した。25年1月期より中間配当を実施する。これに伴って25年1月期の年間配当予想を1円上方修正し、24年1月期比5円増配の28円(第2四半期末14円、期末14円)とした。予想配当性向は35.6%となる。

 第1四半期の連結業績は売上高が前年同期比2.6%増の16億80百万円、営業利益が11.0%増の4億36百万円、経常利益が16.8%増の4億68百万円、親会社株主帰属四半期純利益が17.2%増の3億15百万円だった。主力のソフトウェア事業が好調に推移した増収効果に加え、売上総利益率の上昇や販管費の抑制なども寄与した。

 ソフトウェア事業は売上高(外部顧客への売上高)が2.8%増の11億81百万円で、セグメント利益(調整前営業利益)が9.5%増の4億52百万円だった。売上高の内訳は、クラウドサービスが7.2%増の7億68百万円(グループウェアdesknet‘s NEOクラウドが8.1%増の6億43百万円、ノーコード業務アプリ作成ツールAppSuiteクラウドが33.1%増の52百万円、ビジネスチャットChatLuckクラウドが10.1%増の19百万円など)で、プロダクトが4.9%減の3億94百万円、技術開発が10.3%増の19百万円だった。プロダクトは好調だった前期の反動で減収だが、期初計画を上回る水準だった。

 ソフトウェア事業のストック売上高(プロダクトのサポートサービス料+クラウドサービスの月間サービス利用料)は9.0%増の9億35百万円、ストック売上比率は4.5ポイント上昇して79.2%となった。またグループウェアdesknet‘s NEOの期末時点のプロダクト累計販売実績数は4.1%増の440.4万ユーザー、クラウドユーザー数は6.6%増の53.3万ユーザーとなった。

 システム開発サービス事業(子会社のPro-SPIRE)は売上高が1.5%増の5億円で営業利益が21.9%増の13百万円、海外事業は売上高が66.9%増の5百万円で営業利益が29百万円の損失(前年同期は30百万円の損失)だった。

 通期連結業績予想は期初計画を据え置いている。大幅増収増益で過去最高業績の見込みとしている。主力事業が好調に推移し、コスト面では人件費やソフトウェア償却費が増加する一方で広告宣伝費が減少することも寄与する見込みだ。第1四半期の進捗率は売上高24%、営業利益27%、経常利益29%、親会社株主帰属当期純利益29%と順調だった。また24年9月にはdesknet‘s NEOクラウドの価格改定を予定しており、通期連結業績予想に上振れ余地がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は上値試す

 株価は急伸して年初来高値更新を更新した。利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。6月24日の終値は1651円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS78円55銭で算出)は約21倍、今期予想配当利回り(会社予想の28円で算出)は約1.7%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS427円03銭で算出)は約3.9倍、そして時価総額は約246億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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