[日本インタビュ新聞社] - ■究極のバリュー株に注目!PBR1倍割れ、PER市場平均下回り、配当利回り3%超の銘柄が多数存在
「理屈は後から貨車でくる」ムードとなってきた。前週末5日は、連騰疲れで一服したものの、日経平均株価は3カ月半ぶりに史上最高値を更新し、TOPIX(東証株価指数)も1989年12月18日につけた上場来高値を34年7カ月ぶりに更新した。相場も、カラ梅雨模様の猛暑続きの天気と同様に早くもサマーラリーに拍車が掛かっているからだ。「八百屋の店先に並んだ大根以外はすべてカブは買い」と無差別買いにまではいかずとも、諸株高騰に向けあとからあとから買い材料が出てフォローしてくれそうに投資家心理を煽り立てているようにみえる。
■政治の季節到来!英国、フランス、イランで政権交代
現に「ほぼトラ」をこの最高値更新のカタリスト(株価材料)とするマーケットコメントも聞こえてきた。米国の大統領選挙の第1回目のテレビ討論会で、バイデン候補が選挙撤退論が強まるほど敗勢となり、トランプ候補の再選を先取りその持論の減税策などが株価押し上げに一役買うと期待したものだ。しかもこの7月は、世界的に政治の季節である。英国の下院選挙で保守党が大敗し14年ぶりに労働党に政権交代し、またフランスの下院選挙でも左派連合が最大勢力となりマクロン大統領が政治的妥協を迫られ、イランの大統領選挙でも米欧協調も改革派大統領が当選している。お膝元の日本でも、昨7日の東京都知事の七夕選挙で、自民・公明党が支援した小池百合子知事が3選されたが、岸田文雄首相は、9月の自民党総裁選挙での再選に向け党内の支持を固め切れるのか、それともなお「岸田下ろし」が強まるのか暑い夏になる。それでも「理屈は後から貨車でくる」で「一寸先は闇」の政治状況に展望が拓かれるかもしれない。
それで思い出すのが、現在只今ではもう誰も話題にさえしなくなったあの1989年12月29日につけた日経平均株価の3万8915円高値である。実はこの高値示現には前段階のカタリストがあった。1989年11月9日の「ベルリンの壁」崩壊である。東西冷戦の終わりを象徴し、東西ドイツの統合が、市場拡大、経済の活性化を牽引するとする「平和の配当」期待を高めた。日経平均株価は、この「平和の配当」を囃し立て3万8915円高値までなお約3200円上値を伸ばした。結局この急騰は、バブルにバブルを上塗りする結果となってしまったが、政治の季節なら「一寸先は闇」か「一寸先は光明」かのどちらにも転ぶ可能性がある。
■日米中央銀行の金融政策決定会合が最大のカタリスト
もちろん最大のカタリストは、7月30日、31日に同時開催される日米中央銀行の金融政策決定会合の決定である。決定される金融政策がタカ派かハト派か、タカ派でもハト派含みか、ハト派でもタカ派含みかによってトレンドが決まり、それを先取りして金利も為替も株価も流動化し、グロース株(成長株)とバリュー株(割安株)とのせめぎ合いが続くことになる。しかしこの勝ち組と負け組の二極化では、最高値追いには限界生じる。「全員勝ち組化」が望ましく、そのためにまさしく「理屈は後から貨車でくる」ことが期待されることになる。
そこで今週の当コラムでは、「全員勝ち組化」を先取りして「究極のバリュー株」にスポットライトを当てることにした。「究極のバリュー株」とは、日経平均株価もTOPIXも最高値追いが期待される相場環境下で、なおPBRが1倍を割れ、PERが市場平均を下回り、配当利回りが3%以上をキープしている銘柄である。この超出遅れのバリュー株は、日経平均株価の構成銘柄にも東証プライム市場にもスタンダード市場にもグロース市場にもまだ数多く残っており、こうした銘柄のキャッチアップは株価がさらに上値を追ううえでは不可欠となるからでもある。今週週明けは、決算期の迫ったETF(上場投資信託)の分配金捻出のために1兆円超の売り需要の発生が観測され、株価下押し要因として懸念されているが、押したところは買いチャンスとして臨みたい。(情報提供:日本インタビュ新聞社・Media-IR 株式投資情報編集部)