[日本インタビュ新聞社] - ■日経平均の急反発、「遠い戦争」楽観論に疑問符
株式市場はフライング好きであり、今回のイラン・イスラエル間の緊張でも過剰反応を示した。日経平均株価は急落後すぐに反発し、中東全面戦争の可能性を軽視している。米国市場も同様の傾向を示すが、日本は資源小国として地政学リスクの影響をより受けやすい。イスラエルの報復攻撃が石油関連施設に及べば、日本経済への影響は甚大となる可能性がある。4月と10月の株価感応度の違いは興味深く、「遠い戦争は買い」か「油の一滴は血の一滴」かの判断が、今後の投資戦略に重要となるだろう。
■個別株の急騰は買いサインか?それとも過剰反応か?
4月と今回10月の株価感応度がどう違い、その違いは何によるのかははなはだ興味深い。あるいはこの違いを比較すると、「遠い戦争は買い」なのか、やはり「油の一滴は血の一滴」なのか今後の「売り、買い、休み」の投資判断や投資銘柄選択のヒントが浮上するかもしれない。今週は、このリサーチにチャレンジしてみたい。
まず日経平均株価である。前述のように4月のイランのイスラエルへのミサイル攻撃では、日経平均株価は、290円安のあと2日続落、1日反発したあと19日には一時3万6733円と売られ、攻撃前水準から約2800円安、下落率は7%超となった。その後、中東リスク後退として小戻したが、4月25日にはイエメンの親イラン武装勢力フーシが、紅海を航海中のタンカーを攻撃したことが伝わり831円安と急落する場面があった。
その後、日経平均株価は、7月11日に上場来高値4万2426円まで買い進まれる株式ブームとなったが、実は、イランのミサイル攻撃前の水準まで戻すのには苦労し、6月末まで2カ月超を要した。今回の超短期の急落幅埋めは楽観に傾き過ぎでフライングと評価されても反論は難しいだろう。
次は個々の関連株の感応度である。例えば産油株のINPEX<1605>(東証プライム)や石油資源開発<1662>(東証プライム)は、4月に高値反応したがたった一日に終わり、上昇率もそれぞれ1%超、4%超にとどまった。ところが今回は、株価の初期反応は、それぞれ5%超、7%超と急伸して4月の上昇率を上回り、さらに前週末に掛けて続伸した。それだけ中東情勢が緊迫化して原油供給の途絶、原油価格上昇を先取りしているもので、これもフライングといえばフライングといえないこともない。
このフライングのうち、日経平均株価と個々の関連株のいずれが正しいかは、イスラエルのイランに対する報復攻撃次第になることはいうまでもない。ただ安全第一で万が一に備えるとすれば、「転ばぬ先の杖」として個別関連株のフライングに分があることになる。産油株、資源株、海運株、さらに安全資産の金価格関連株などにスタンバイする選択肢も一考余地がありそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)