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帰化中国人投資家が日本を乗っ取る?(1)【【中国問題グローバル研究所】

発行済 2024-11-27 16:16
更新済 2024-11-27 16:30
© Reuters.
*16:16JST 帰化中国人投資家が日本を乗っ取る?(1)【【中国問題グローバル研究所】 ◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページでも配信している(※1)遠藤 誉所長の考察を2回に渡ってお届けする。



米中の新産業力を比較考察する本を執筆する過程で、日本を参考比較対象としてみた。
すると、「なぜ日本の製造業はこんなにまで没落してしまったのか」、「なぜNatureの研究者ランキングなどで、日本はここまで低いのか」といった疑問にぶつかった。


そこに共通しているのは「短期的成績が求められるようになったから」という事実で、日本企業の場合、その原因は「物言う株主」(アクティビスト)の存在であることが浮かび上がってきた。
事実、製造業関係の社長を取材したところ、「最近は物言う株主の存在が大きくなりましてね、大型の設備投資など、とてもできません。
短期的に目に見える利益を出さないと、物言う株主が許してくれないんですよ。
日本の製造業が成長などするはずがありません」と嘆いておられた。


その流れの中で(※9)という見出しで、エリオットが南米のアルゼンチンやアフリカの32カ国を「ハゲタカ・ファンド」に巻き込んで「喰い物にしている」状況を解説している。


記事では、米国の金融覇権を維持するための手段の一つが、悪名高い「ハゲタカ・ファンド」だと位置付けている。
「ハゲタカ・ファンド」に目を付けられたが最後、骨の髄まで喰い尽くされるとしている。


記事は米国のエリオットの子会社であるNMLキャピタルの血に飢えた金融攻撃の様子を「経済テロ」と位置づけ、米国の新自由主義が生んだ残虐性を説明しているが、いや、待てよと思う。



◆改革開放はフリードマン理論の下で遂行 ウォール街とつながる中南海
そもそも中国は改革開放を推進するにあたり、冒頭に書いたようにグローバリゼーションを唱え資本市場改革を促した新自由主義経済学者であるミルトン・フリードマンの論理を基礎にしてきた。
フリードマンはシカゴ大学の教授であったため、新自由主義を唱える経済学者を「シカゴ派」とか「シカゴ・ボーイズ」と称する。
彼らは政府による介入を否定し、自由な市場経済を主張した。
その主張が資本市場改革の流れを生み、最終的にはこんにちの「物言う株主」制度へと発展していったと位置付けることもできる。


このフリードマンを中国に招聘すべきだと提案したのは、中国政府のシンクタンク中国社会科学院の世界経済研究所の研究員だ。
この提案が中国政府に採用され、1980年にフリードマンは訪中して中南海のリーダーたちと会っている。
その後も1988年、1993年と、計3回も訪中し、中国のトップリーダーたちに会い、中国における市場経済発展に関する論議をくり返している(※10)のだ。


したがって中国はフリードマンの唱えるグローバリゼーションを基礎に置き、2001年にWTO(世界貿易機関)に正式加盟した。


2000年には米中国交正常化を促したヘンリー・キッシンジャー元国務長官の勧めで清華大学経済管理学院に顧問委員会を設置した(※11)。
ウォール街の金融大手などのトップを顧問委員会の委員にさせたのはキッシンジャーで、当時は中国入りのためにはコンサルティング会社「キッシンジャー・アソシエイツ」を通さなければならなかった。


現在の顧問委員会のトップに君臨しているのはもちろん習近平国家主席(清華大学卒)だが、顧問委員会委員(※12)には、今もウォール街関連の錚々(そうそう)たるメンバーが名を連ねている。


スティーブン・シュワルツマンは習近平が国家主席になった2013年に蘇世民書院(シュワルツマン・カレッジ)(※13)の発足式を挙行した。
蘇世民はシュワルツマンの中国語名だ。
2016年9月から金融を中心としたグローバル・リーダーを養成し、世界に羽ばたかせている。


その意味で、中南海はウォール街と緊密に直結しており、フリードマン理論が生きている。
だから習近平は絶対にグローバリゼーションを変えないのだが、それでいながら社会主義体制を軸にしているので、国家インフラなどは国有企業で固めていて絶対に海外資本の浸食を許さない。
民間企業でも証券法で外資投入をかなり厳しく規制している(※14)のは、外資によって中国企業が破壊されるのを防ぐためであって、決して閉鎖的であるためではない。
中国は外資に対する「企業防衛」が非常に堅固だ。
これは中国の強みだと言えよう。


「帰化中国人投資家が日本を乗っ取る?(2)【中国問題グローバル研究所】」に続く。



この論考はYahoo!ニュース エキスパート(※15)より転載しました。


東証 株価ボード(写真:イメージマート)

(※1)https://grici.or.jp/
(※2)https://www.dailyshincho.jp/article/2022/08181040/?all=1
(※3)https://www.kushim.co.jp/wp-content/uploads/2024/11/ir_20241125-3.pdf
(※4)https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-11-20/SN7ZXST1UM0W00
(※5)https://www.dailyshincho.jp/article/2022/08181040/?all=1
(※6)https://gendai.media/articles/-/135977?imp=0
(※7)https://access-journal.jp/71386
(※8)https://ameblo.jp/s2021751/entry-12796316351.html
(※9)http://www.news.cn/world/2022-09/29/c_1129042829.htm
(※10)https://finance.sina.cn/sa/2006-11-19/detail-ikftpnny2058670.d.html
(※11)https://www.sem.tsinghua.edu.cn/xygk/gwwyh/gwwyhjs.htm
(※12)https://www.sem.tsinghua.edu.cn/guwenweiyuanhuimingdan20241113.pdf
(※13)https://www.sc.tsinghua.edu.cn/gywm.htm
(※14)https://www.chinanews.com.cn/cj/2023/12-29/10137839.shtml
(※15)https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/c39e87aee47e00c6b10bef040ee0ca0c0cc4694b



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