【先週の概況】■英国のEU離脱期限延期などでリスク回避の円買い縮小先週のドル・円は下げ渋り。
米国の2月消費者物価コア指数(CPI)が市場予想を下回ったことや、英国議会下院は政府のEU離脱協定修正案を否決したことから、リスク回避のドル売りが一時優勢となった。
ただ、日本銀行の金融政策決定会合に向けて追加緩和の思惑が広がったことや、米中協議の進展が改めて期待されたことでリスク回避のドル売りは一服した。
また、英国議会下院は13日、合意ないEU離脱を否決したことから、主要通貨に対するポンド買いが活発となり、この影響でドル・円の取引ではドル買い・円売りが優勢となった。
15日のニューヨーク外為市場でドル・円は一時111円39銭まで下落した。
3月のNY連銀製造業景気指数が悪化したことや、2月鉱工業生産が市場予想を下回ったことが嫌気された。
ただ、その後発表された米3月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値は市場予想を上回ったことから、ドル売りは後退し、ドル・円は111円47銭でこの週の取引を終えた。
ドル・円の取引レンジ:110円88銭−111円90銭。
【今週の見通し】■ドルは上げ渋りか、パウエル米FRB議長の会見内容を見極める展開今週のドル・円は上げ渋りか。
英国議会は欧州連合(EU)からの強硬離脱(合意なき離脱)を否決し、離脱の期限を3月29日から6月30日まで延長することを模索している。
一方、欧州の主要経済指標は景気回復の遅れを示唆しており、ポンドやユーロは目先も買いづらく、対欧州通貨でドルが再び選好される可能性がある。
この動きはドル・円の取引にも影響を与えそうだ。
ただ、3月19-20日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)の会合では政策金利の据え置きが決定される公算。
会合後に予定されているパウエルFRB議長の記者会見では、利上げを急がない姿勢が表明されるとみられており、ハト派寄りの発言内容になるとの見方が多い。
直近の米雇用統計では失業率の低下などで雇用情勢は改善する反面、消費者物価指数などインフレ率は鈍化しつつあり、市場参加者は経済成長の減速を意識している。
FOMC会合の結果判明を受け、追加利上げ期待はさらに低下し、ドル売りがやや強まる展開も想定したい。
また、貿易・通商分野における米中協議については、「米企業が中国の提携先に技術移転を強制されないようにすることや、米国の知的財産権の全面的な保護について米国側は譲歩することはない」との見方が多く、協議が難航すれば円買いも入りやすいだろう。
米貿易赤字是正のための貿易交渉に関しては、日本との協議への思惑が広がっており、為替条項などで円安政策が封じられるとの観測が浮上している。
そのため、一部で投機的な円買いが発生する可能性がある。
【米・連邦公開市場委員会(FOMC)】(19-20日開催予定)FRBは19-20日に連邦公開市場委員会(FOMC)を開催する。
現行の政策金利据え置きの公算。
FOMC会合終了後にパウエル議長の記者会見が予定されており、一段のハト派寄りのスタンスが示されればドル売りを誘発か。
【米・3月フィラデルフィア連銀製造業景気指数】(21日発表予定)21日発表の米3月フィラデルフィア連銀製造業景気指数は4.0と、2月の-4.1から改善する見通し。
市場予想とおおむね一致した場合、景気悪化に対する警戒感は低下し、株高を通じてドル買いに振れそうだ。
予想レンジ:110円00銭−113円00銭