[東京 13日 ロイター] - 政府は13日、子育て世帯への支援拡充で少子化トレンドの反転を目指す「こども未来戦略方針」を決定した。児童手当の拡充など経済的支援のほか、仕事と育児を両立しやすい環境づくりを進める。岸田文雄首相は、経済成長実現と少子化対策強化を両輪とし、「若者・子育て世代の所得を伸ばす」と語った。対策の財源については、国民に実質的な追加負担を求めない考えも示した。衆院の解散については情勢を見極めたいと語った。
同戦略方針では、今後3年間で優先的に取り組む対策を「こども・子育て支援加速化プラン」として示している。首相は同プランの予算規模は3兆円半ばとし、2030年代初頭までにこども家庭庁の予算倍増を目指すと述べた。財源については、徹底した歳出改革を行い、既存予算を最大限活用するとした。
児童手当は、所得制限を撤廃するとともに、高校生の年代まで支給期間を延長、第3子以降は3万円に倍増する。首相はこれらの措置を「来年10月分から実施したい」と述べた。
子育て世代が優先的に入居できる住宅を今後10年間で計30万戸用意すると表明。このほか、育児休業制度を抜本的に拡充。首相は「育児休業給付に関する予算額は2倍に増える」と強調した。
首相は、具体的な財源確保の結論を年末に先送りしたとの報道があることに自ら言及。歳出改革などを徹底することで実質的に追加負担を生じさせないことを目指す方針は揺るぎないものであり、「先送りとの指摘は適切ではない」と反論した。
日本では少子化のスピードが加速。2016年に出生数が100万人を割り込んで以降、19年に90万人、22年に80万人を割り込んだ。政府には、2030年までに少子化トレンドを反転できなければ、人口減少を食い止められなくなり、持続的な経済成長も難しくなるとの危機感がある。
岸田首相は1月の施政方針演説で、こども・子育て政策について「従来とは次元の異なる対策を実現する」と表明し、出生率が反転するような具体策を検討するよう指示していた。
岸田首相は衆院の解散・総選挙について、会期末が迫ったことで様々な動きが出てくることが見込まれるため「情勢をよく見極めたい」と語った。諸般の情勢を総合して判断していくと述べた。野党が内閣不信任案を提出した場合、解散の大義になるかとの質問にはコメントを控えた。
(杉山健太郎、竹本能文)