■業績動向
(1) 2016年9月期連結業績
a) 2016年9月期連結業績の概要
レカム (T:3323)の2016年9月期連結業績は、売上高が前期比18.9%増の4,421百万円、営業利益は124百万円(前期は営業損失64百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比88.4%増の54百万円となり、2ケタ増収、営業利益は黒字転換した。
なお、2期連続で2ケタ増収となったのは2007年9月期以来9期ぶり。
ただ、会社計画(売上高5,500百万円、営業利益280百万円、親会社株主に帰属する当期純利益220百万円)対比では、売上高、各利益ともに計画を下回った。
売上高が前期比で2ケタ増収となったのは、主力の情報通信事業のほかすべての事業が2ケタの伸びを記録したことが要因。
売上の拡大に併せて売上総利益は前期比31.8%増の1,197百万円となったほか、売上総利益率は利益率の高いBPO事業や海外法人事業の拡大が寄与し27.1%と前期に比べ2.7ポイント上昇した。
一方、販管費は人員が増加しなかったために同10.4%増の1,073百万円にとどまった。
以上のことから、営業利益は黒字転換した。
一方、会社計画対比で売上高、営業利益が計画を下回った要因として、1) 4月より開始した電力小売事業において子会社のレカムエナジーパートナーと同社の営業担当者との連携体制構築等に時間がかかり、電力販売そのものに加えて電力販売先へのアップセルも計画未達となった、2)中国・上海でのLED照明販売事業が商品供給の遅れ等から未達となった、などを挙げることができる。
ただ、未達の要因となった海外法人事業、BPO事業の受注実態は、計画未達とはいえ数値面ほど悪くはないと推察される。
b)セグメント別の動向
1)情報通信事業
情報通信事業の売上高は前期比15.3%増の4,075百万円と2ケタ増収を確保し、セグメント利益は49百万円(前期は69百万円の営業損失)と黒字転換した。
売上高をチャネル別に見ると、加盟店が新規3店舗開業したこととLEDやセキュリティ商材等の販売支援を強化したことなどにより、同18.5%増の1,825百万円となったほか、関連会社がコスモ情報機器の子会社化(2015年7月)によるフル寄与やヴィーナステックジャパンのUTM販売が軌道に乗りつつあることがかさ上げ要因として働いたことから同138.1%増の273百万円となり、情報通信事業セグメントの伸びをけん引した。
なお、直営店の売上高は営業人員をBPO事業や海外法人事業へシフトしたことがマイナス要因となったために、同4.1%増の1,802百万円にとどまった。
販売品目別の売上高を見ると、2015年2月からサービスを開始した「Ret’sひかり」によるストック収益の積み上げ(回線数:15年9月末2,334→16年9月末3,475)により光回線サービスが前期比296.5%増の351百万円へ急拡大したほか、サービス&サポートが子会社オーパスの外部工事受注が増加したために、同20.0%増の442百万円と大幅に増加。
加えて、デジタル複合機が2015年9月期第4四半期(7月−9月)に導入した独自の販売プランが奏功し同20.6%増の871百万円へ増大したほか、サーバーも同24.7%増の239百万円と順調に推移した。
ただ、注力しているUTMについては、製品のバージョンアップされた新製品を販売するにあたり、旧製品の在庫販売を優先的に行ったことの一時的な影響により同6.4%減の369百万円へ減少したほか、LEDについても営業マンを中国へシフトした影響から同15.7%減の177百万円へ減少した。
2) BPO事業
BPO事業の売上高は前期比88.6%増の249百万円、セグメント利益は59百万円(前期は1百万円の営業損失)へ黒字転換した。
増収となったのは、新規業務の受託が順調に拡大したことに加えて、継続顧客の売上げの積み上げが着実に進展したためだ。
一方、セグメント利益が黒字転換した要因として、大連と長春のBPOセンターでアメーバ経営※を導入したことによる生産性向上効果が大きく寄与したことを挙げることができる。
※稲盛和夫(いなもりかずお)氏が京セラ社長時代に考案した経営管理手法。
企業の人員を6~7人の小集団(アメーバ)に組織し、アメーバごとに「時間当たり採算=(売上げ−経費)÷労働時間」を算出。
時間当たり採算の最大化を図る。
労働時間短縮や売上増加策を実行することにより目標達成を目指す。
3)海外法人事業
海外法人事業の売上高は前期比87.3%増の96百万円、セグメント利益は同779.1%増の20百万円と大幅な増収・増益となった。
2016年4月から上海市で販売活動を開始したLED照明販売が好調に推移したことが主要因。
特に、日系企業が多い上海に出店したことにより、製造業の工場での電力料金の削減需要を掘り起こすことに成功し、件数、受注単価ともに増加、利益拡大の原動力となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 森本 展正 )
(1) 2016年9月期連結業績
a) 2016年9月期連結業績の概要
レカム (T:3323)の2016年9月期連結業績は、売上高が前期比18.9%増の4,421百万円、営業利益は124百万円(前期は営業損失64百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比88.4%増の54百万円となり、2ケタ増収、営業利益は黒字転換した。
なお、2期連続で2ケタ増収となったのは2007年9月期以来9期ぶり。
ただ、会社計画(売上高5,500百万円、営業利益280百万円、親会社株主に帰属する当期純利益220百万円)対比では、売上高、各利益ともに計画を下回った。
売上高が前期比で2ケタ増収となったのは、主力の情報通信事業のほかすべての事業が2ケタの伸びを記録したことが要因。
売上の拡大に併せて売上総利益は前期比31.8%増の1,197百万円となったほか、売上総利益率は利益率の高いBPO事業や海外法人事業の拡大が寄与し27.1%と前期に比べ2.7ポイント上昇した。
一方、販管費は人員が増加しなかったために同10.4%増の1,073百万円にとどまった。
以上のことから、営業利益は黒字転換した。
一方、会社計画対比で売上高、営業利益が計画を下回った要因として、1) 4月より開始した電力小売事業において子会社のレカムエナジーパートナーと同社の営業担当者との連携体制構築等に時間がかかり、電力販売そのものに加えて電力販売先へのアップセルも計画未達となった、2)中国・上海でのLED照明販売事業が商品供給の遅れ等から未達となった、などを挙げることができる。
ただ、未達の要因となった海外法人事業、BPO事業の受注実態は、計画未達とはいえ数値面ほど悪くはないと推察される。
b)セグメント別の動向
1)情報通信事業
情報通信事業の売上高は前期比15.3%増の4,075百万円と2ケタ増収を確保し、セグメント利益は49百万円(前期は69百万円の営業損失)と黒字転換した。
売上高をチャネル別に見ると、加盟店が新規3店舗開業したこととLEDやセキュリティ商材等の販売支援を強化したことなどにより、同18.5%増の1,825百万円となったほか、関連会社がコスモ情報機器の子会社化(2015年7月)によるフル寄与やヴィーナステックジャパンのUTM販売が軌道に乗りつつあることがかさ上げ要因として働いたことから同138.1%増の273百万円となり、情報通信事業セグメントの伸びをけん引した。
なお、直営店の売上高は営業人員をBPO事業や海外法人事業へシフトしたことがマイナス要因となったために、同4.1%増の1,802百万円にとどまった。
販売品目別の売上高を見ると、2015年2月からサービスを開始した「Ret’sひかり」によるストック収益の積み上げ(回線数:15年9月末2,334→16年9月末3,475)により光回線サービスが前期比296.5%増の351百万円へ急拡大したほか、サービス&サポートが子会社オーパスの外部工事受注が増加したために、同20.0%増の442百万円と大幅に増加。
加えて、デジタル複合機が2015年9月期第4四半期(7月−9月)に導入した独自の販売プランが奏功し同20.6%増の871百万円へ増大したほか、サーバーも同24.7%増の239百万円と順調に推移した。
ただ、注力しているUTMについては、製品のバージョンアップされた新製品を販売するにあたり、旧製品の在庫販売を優先的に行ったことの一時的な影響により同6.4%減の369百万円へ減少したほか、LEDについても営業マンを中国へシフトした影響から同15.7%減の177百万円へ減少した。
2) BPO事業
BPO事業の売上高は前期比88.6%増の249百万円、セグメント利益は59百万円(前期は1百万円の営業損失)へ黒字転換した。
増収となったのは、新規業務の受託が順調に拡大したことに加えて、継続顧客の売上げの積み上げが着実に進展したためだ。
一方、セグメント利益が黒字転換した要因として、大連と長春のBPOセンターでアメーバ経営※を導入したことによる生産性向上効果が大きく寄与したことを挙げることができる。
※稲盛和夫(いなもりかずお)氏が京セラ社長時代に考案した経営管理手法。
企業の人員を6~7人の小集団(アメーバ)に組織し、アメーバごとに「時間当たり採算=(売上げ−経費)÷労働時間」を算出。
時間当たり採算の最大化を図る。
労働時間短縮や売上増加策を実行することにより目標達成を目指す。
3)海外法人事業
海外法人事業の売上高は前期比87.3%増の96百万円、セグメント利益は同779.1%増の20百万円と大幅な増収・増益となった。
2016年4月から上海市で販売活動を開始したLED照明販売が好調に推移したことが主要因。
特に、日系企業が多い上海に出店したことにより、製造業の工場での電力料金の削減需要を掘り起こすことに成功し、件数、受注単価ともに増加、利益拡大の原動力となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 森本 展正 )