[香港 21日 ロイター] - アジアのマクロ型ヘッジファンドの間で、円安傾向がやがて終わると見込んで備える動きが出ている。日本国債価格の急落の可能性に備えているファンドもある。
シンガポールを拠点とするアジア・ジェネシス・マクロ・ファンドは、円のショートポジションの取引によって今年の総収益の約3%ポイントを得た。同ファンドの8月末時点の純運用収益率は9.3%だった。
スン・ホック・チュア最高投資責任者(CIO)は「1月から円のショートポジションを持ち、1ドル=140円を少し超えたところで決済した。現在は中立の水準になっている」と語った。
チュア氏は1999年にアジア・ジェネシス・アセット・マネジメントを設立。そのジャパン・マクロ・ファンドは2000年3月から09年まで年間18.7%のリターンを上げた。いったん休止後、20年に事業を再開した。
チュア氏は「日本の当局は当然、超円安を懸念すべきで、為替介入を実施する可能性がある」とし、日本のインフレ率が上昇していると例示した。
香港に本拠とするホン・インベストメント・アドバイザーズのシュン・ホン・リウCIOは日銀について「金融政策の変更が大幅に遅れている」と指摘。同社のHCMラピア・ファンド・クラスAは22年8月末までに55%の純運用収益率を上げた。
他の多くのファンドの流れとは逆に、リウ氏は1ドル=130円で円のロングポジションを持ち、1998年や2008年のような急激な円高が容易に起こり得るとの見方を示す。
リウ氏は「私たちは円のロングポジションに確信を持っている」と言及。ロングポジションを他のアジア通貨のショート取引のヘッジとして使っており、これまでのところこのポジションは業績にあまり影響を与えていないと説明した。
チュア氏とリウ氏は日本の金融刺激策は持続的な経済成長をもたらすのではなく単にインフレをあおっただけで、日本国債で起きているバブルがやがて崩壊する可能性があると警告している。