[東京 8日 ロイター] - ドル/円 JPY= ユーロ/ドル EUR= ユーロ/円 EURJPY= 正午現在 119.93/95 1.1210/14 134.45/49 午前9時現在 119.71/73 1.1243/47 134.60/64 NY午後5時 119.73/75 1.1265/70 134.89/93
正午のドル/円は、ニューヨーク市場午後5時時点に比べ、小幅にドル高/円安の1 19円後半。この日も実需筋のフローがドルを押し上げたが、上値では海外短期筋の売り が流入し、120円を目前に伸び悩んだ。7日に行われた英下院総選挙の出口調査の結果 が伝わると、英ポンドが急伸。対ドルで1週間ぶり高値を付けた。ユーロ/ポンドは1. 3%急落した。
ドルは119.60円台で東京市場の取引を開始した。本邦勢は仲値にかけて買いが 優勢で、「グッドネームの買いが入っていた」(外銀)とされ、大手投資家のフローが観 測されたという。ドルはこうしたフローに乗り、119.97円まで上値を伸ばしたが、 高値では、海外勢の戻り売りが上値を抑えた。
オーストラリア準備銀行(中銀、RBA)は8日に発表した四半期金融政策報告で、 インフレと成長見通しを引き下げた。ただ、景気には明るい兆しも見え始めたと指摘し、 追加利下げについては明確にしなかった。 豪ドルは同報告を挟んで一時0.7863ドル付近まで下落したが、足元では0.7 888ドル付近まで小幅に反発している。
<英総選挙の出口調査受け、英ポンド急伸>
英国で7日に行われた下院総選挙(定数650)の出口調査では、続投を目指すキャ メロン首相率いる保守党が第一党となる勢いとなった。保守党と自由民主党を合わせた獲 得議席数は326議席で過半数を獲得する見通しだ。
英ポンドは、出口調査の結果が伝わる直前は1.52ドル半ばを推移していたが、結 果がわかると急伸して1.54ドル台に乗せ、現在1.5439ドルと1週間ぶりの高値 圏にある。
同調査では、同国から独立を目指すスコットランド民族党SNPの躍進が目立ったが 、同時に、イングランドとスコットランドの政治的分断を浮き彫りにし、スコットランド 独立をめぐる住民投票を求める機運が再び高まる可能性があるとの指摘が出ていた。 また、保守党は2017年までにEU離脱に関する国民投票を実施する方針だが、自 由民主党は消極的であるため、保守党が同党と連合しない可能性も残っているという。
市場では「英国はEU離脱問題やスコットランド問題を抱えている。英ポンドが安定 的な上昇トレンドに入ったと見るのは時期尚早だろう」(邦銀)との声が聞かれた。
<米上院がTPA法案の審議を来週開始>
米上院共和党のマコネル院内総務は7日、環太平洋連携協定(TPP)の妥結に不可 欠な貿易促進権限(TPA、通称ファストトラック)をオバマ大統領に付与する法案につ いて、上院での審議を来週に開始する方針を示した。 マコネル院内総務は、TPA法案の審議に入るための動議に対する採決を12日に設 定した。法案の審議に入るには60票以上の賛成が必要となる。 同法案をめぐっては、米国内の労働組合が廃案に追い込む運動を展開。労組側は、T PPが成立すれば国内の雇用が失われるなどと主張している。
為替市場との関連では「ドル高の米経済への影響が顕在化しつつあるなかで、ドル/ 円が大きく上昇した場合には、TPPおよびTPAに反対する一部米議員からの反発を招 き、米製造業からの批判の声が高まり、日米のTPP交渉に支障をきたす可能性が高い」 (JPモルガン・チェース銀行)との指摘が出ている。 「TPAが米国議会(特に下院)を通過する可能性が五分五分とみられる中、日米両 国政府が交渉の妨げとなる可能性がある、あらゆるノイズを避けようとすることは理にか なっているだろう」(同)との指摘が出ている。 「日米間合意とTPAの米議会通過を経て、全体会合でTPP全ての交渉分野におけ る合意がなされるまでは、日米両政府ともに過度のドル高/円安を望まない状況が続き、 ドル/円の上値を抑制する可能性がある」(同)という。
(為替マーケットチーム)