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生化学工業は24年3月期通期予想を上方修正、営業・経常利益は減益幅縮小して純利益は増益転換

発行済 2023-11-10 09:44
更新済 2023-11-10 10:05
© Reuters.  生化学工業は24年3月期通期予想を上方修正、営業・経常利益は減益幅縮小して純利益は増益転換

[日本インタビュ新聞社] - (決算速報)

 生化学工業<4548>(東証プライム)は11月8日の取引時間終了後に24年3月期第2四半期累計連結業績を発表した。売上原価率の上昇や販管費の増加で減益だった。ただし通期予想を上方修正し、前回予想に対して営業・経常利益は減益幅が縮小、純利益は増益に転じる見込みとした。中国向けアルツや国内医薬品の売上が想定を上回る見込みだ。なお第2四半期累計の営業・経常利益は修正後の通期予想を超過達成の形となっているが、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI-6603の承認申請に向けた費用が第3四半期以降に集中する見込みとしている。ただし会社予想は依然として保守的な印象が強く、再上振れの可能性がありそうだ。収益拡大を期待したい。株価は地合い悪化も影響して上値を切り下げる形だ。上方修正に対して反応薄だったが、高配当利回りや1倍割れの低PBRも評価材料であり、調整一巡して出直りを期待したい。

■24年3月期2Q累計減益、通期予想は上方修正

 24年3月期第2四半期累計の連結業績は売上高が前年同期比4.7%増の180億61百万円、営業利益が43.2%減の14億82百万円、経常利益が35.4%減の23億27百万円、親会社株主帰属四半期純利益が33.1%減の21億02百万円だった。

 売上面は、医薬品事業における米国の単回投与関節機能改善剤ジェル・ワンの販売数量減少、LAL事業における前年同期の大型装置の反動減や新型コロナウイルス感染症関連特需の収束がマイナス要因だったが、一方で国内医薬品や中国向けアルツの出荷数量増加、ロイヤリティーの増加、円安効果などにより増収で着地した。利益面は、売上原価率の上昇、円安に伴う海外子会社等の販管費の増加などにより減益だった。なお研究開発費は0.1%増の34億10百万円だった。営業外収益では為替差益が減少(前年同期は7億73百万円、当期は5億82百万円)した。

 医薬品事業は売上高が12.0%増の130億91百万円、営業利益が8.9%減の10億62百万円だった。売上高の内訳は国内医薬品が10.2%増の64億02百万円、海外医薬品が0.4%減の43億67百万円、医薬品原体・医薬品受託製造が8.3%増の16億22百万円、ロイヤリティーが6億99百万円(前年同期は1百万円)だった。

 国内医薬品では、関節機能改善剤アルツや眼科手術補助剤オペガン類の出荷数量が増加した。海外医薬品では、米国の単回投与関節機能改善剤ジェル・ワンが22年7月の保険償還制度変更の影響で減少、5回投与関節機能改善剤スパルツFXが出荷時期の調整や円安効果で増収、中国向けアルツが前年第1四半期の包装資材変更に伴って出荷がなかった反動で大幅増収だった。医薬品原体・医薬品受託製造では、海外子会社ダルトン社の医薬品受託製造が円安も寄与して増収だった。また第1四半期にロイヤリティー収入6億99百万円を計上した。

 LAL事業は売上高が10.7%減の49億70百万円、営業利益が70.9%減の4億20百万円だった。国内における前年同期の大型装置販売の反動、海外子会社ACC社における新型コロナウイルス感染症関連特需の収束により減収減益だった。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高96億61百万円、営業利益12億98百万円、経常利益19億59百万円、第2四半期は売上高84億00百万円、営業利益1億84百万円、経常利益3億68百万円だった。第1四半期にロイヤリティー収入6億99百万円を計上している。

 通期の連結業績予想(11月8日付で売上高、各利益とも上方修正)は、売上高が23年3月期比7.9%増の361億円、営業利益が38.5%減の13億円、経常利益が26.7%減の22億50百万円、親会社株主帰属当期純利益が16.2%増の26億円としている。配当予想は据え置いて23年3月期と同額の26円(第2四半期末13円、期末13円)としている。予想配当性向は54.6%となる。

 第2四半期累計の実績および下期の状況を鑑みて、前回予想に対して売上高を35億50百万円、営業利益を12億円、経常利益を7億円、親会社株主帰属当期純利益を11億50百万円、それぞれ上方修正した。売上高は一転増収、営業利益と経常利益は減益幅縮小、親会社株主帰属当期純利益は一転増益の見込みとした。期中平均為替レートについては、期初時点の1USドル=130円から第3四半期1USドル=145円に変更した。研究開発費については前回予想から3億50百万円増額して、23年3月期比4.9%増の75億50百万円とした。親会社株主帰属当期純利益については海外子会社の利益減少による法人税等の減少も寄与する見込みだ。

 修正後の通期セグメント別売上高計画は、医薬品事業が13.5%増の258億円(国内医薬品が9.1%増の123億円、海外医薬品が13.1%増の96億50百万円、医薬品原体・医薬品受託製造が8.0%増の31億50百万円、ロイヤリティーが6億98百万円増加の7億円)で、LAL事業が4.0%減の103億円としている。

 なお第2四半期累計の営業・経常利益は修正後の通期予想を超過達成の形となっているが、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI-6603の承認申請に向けた費用が第3四半期以降に集中する見込みとしている。ただし会社予想は依然として保守的な印象が強く、再上振れの可能性がありそうだ。収益拡大を期待したい。

■株価は調整一巡

 株価は地合い悪化も影響して上値を切り下げる形だ。上方修正に対して反応薄だったが、高配当利回りや1倍割れの低PBRも評価材料であり、調整一巡して出直りを期待したい。11月9日の終値は779円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS47円66銭で算出)は約16倍、今期予想配当利回り(会社予想の26円で算出)は約3.3%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1232円41銭で算出)は約0.6倍、そして時価総額は約443億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・Media-IR株式投資情報編集部)

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