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萩原工業 Research Memo(3):価格競争に終始しない、高収益のビジネスモデルを構築(1)

発行済 2018-07-17 15:03
更新済 2018-07-17 15:20
萩原工業 Research Memo(3):価格競争に終始しない、高収益のビジネスモデルを構築(1)
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■萩原工業 (T:7856)の事業概要

1. 事業概要
売上高は、フラットヤーンなど合成樹脂を用いた関連製品を製造・販売する合成樹脂加工製品事業とコア技術のフラットヤーン技術を応用した産業機械を製造・販売する機械製品(エンジニアリング)事業に分かれる。
2017年10月期の連結売上高(23,238百万円)の事業別構成比は、合成樹脂加工製品事業が76.4%(うち、シート・建築資材関連:24.1%、産業資材関連:34.3%、生活資材関連:14.6%、その他合成樹脂:3.4%)、機械製品事業が23.6%であった。
売上高営業利益率は、合成樹脂加工製品事業が12.1%、機械製品事業は10.6%といずれも高水準にある。


2. 製品ラインアップ
同社の合成樹脂加工製品事業の市場は、「生活・レジャー」「農水産」「梱包・物流」「産業資材」「建築・土木」をカバーしている。
生活向け製品は、レジャーシート、人工芝、木目調マットなどがある。
売上依存度は、BtoCよりもBtoBの方が高い。


農水産向け製品は、UVシート、機能品、鶏舎用カーテンクロスなどがある。
機能品は、遮光性・採光性、防水性・浸水性、防風性・通気性、遮熱性などいくつもの機能を用途に合わせてデザインする。
梱包・物流市場向けは、粘着テープクロス、コンテナーバッグ、トラックシートなどになる。
トップシェアを持つ粘着テープクロスでは、テープの手切れが良い上、タテにもヨコにも用途に合った大きさにカットできる特長を持つ。
産業資材は、UVクリアシートやフラットヤーン、モノフィラメント原糸などになる。


建築・土木向けは、防炎シート、ソフトメッシュシート、大型土のう、デザインシートなどがある。
PE(ポリエチレン)防炎シート・クロスは、塩ビ品に比べて軽量で、強度及び光透過性に優れる。
工事現場で使用されるため、軽量なことが作業効率を向上させ、工期の短縮化に貢献する。
作業員の労力を低減し、運搬コストも削減する。
防炎物質であるとともに、焼却時には塩素化ダイオキシン類の発生がない。
解体工事などに使われる防音シートには、塩ビ品に比べて寒冷地などの現場でも劣化や硬化が起こりにくいオレフィン系素材を使用している。
塩ビシートに比べ軽量であることから、作業軽減効果がある。
土のうは、国産最高峰の約3年の耐性を実現した製品をラインアップしている。
また、紫外線劣化防止剤を添加した中期的な(約2年)耐候性機能を有した土のうには、白地に黒い横線を入れることで、誰でも均等量の土を充填できる工夫が施されている。


同社は常に、従来の製品ラインアップに機能性を高めた新製品を投入している。
通気性、透水性を兼ね備えた土木クロス「グランドバリアクロス」は、雑草の育成・成長を抑制し、草刈作業を軽減する。
太陽光発電システムなどにも敷設されている。


3. 収益性重視の経営
同社は、コモディティ化した製品市場での価格競争を避け、新規参入者がないニッチ市場でトップシェアを維持することで高収益を上げている。
トップシェアを持つのは、人工芝用パイルヤーン、多機能化したブルーシート、土のう、カーペット基布などである。
後述するモルタル・コンクリート用ポリプロピレン補強繊維では、世界的にもトップにある。
競争の激しい大きな市場ではなく、残存者利得が得られる、同社が強みを発揮できるニッチ市場をターゲットとするブルーオーシャン戦略を取っている。


同社のビジネスのスタンスは、製品の機能を売るのではなく、本来の役割を提供することにある。
例えば、運送会社にとって重要なのは、粘着テープのコストよりも作業者の人件費であり、梱包作業時間の短縮であることから、作業者の効率の上がる製品の開発・提供をしている。
顧客が本来的な役割として求めるものに適合させた製品は、汎用品に比べて2~3割高い値付けが可能となる。
この製品機能の先にある顧客が求める本来の価値を志向することで、価格競争に終始しない、高収益のビジネスモデルを構築している。


過去にバブル崩壊によるマイナス経済時に業績を悪化させたが、同社は立ち直りが早かった。
2008年9月に起こったリーマンショック後の2009年10月期は、前期比22.5%の減収、同41.0%の営業減益となった。
事業環境の変化に俊敏に対応することで、2010年10月期は同1.3%の増収、同52.6%の営業増益とV字回復を果たした。
競争力が強く、収益性も高い製品を戦略製品群と位置付け、拡販することで、それらの売上高構成比を引き上げる施策を取っている。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)

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