(第10段落のコスト削減額を一部訂正します)
[ロサンゼルス 10日 ロイター] - 米メディア・娯楽大手ウォルト・ディズニーが10日発表した1─3月期決算は、利益が市場予想と一致した。動画配信事業の赤字幅が前期比4億ドル縮小する一方、会員数が減少し、株価は引け後の取引で4.4%下落した。
ボブ・アイガー最高経営責任者(CEO)は動画配信サービスについて「ディズニー+(プラス)」と「Hulu」を統合した新たなアプリを提供することで、年内にサービスを拡充すると表明。利用者の視聴体験を改善し、広告主により多くの機会を提供できるようになるとした。
欧州では年内にディズニー+に広告付きプランを追加すると明らかにし「広告で何ができるか探り始めたばかりだ」とアナリスト向け電話会見で述べた。
動画配信部門の営業損益は6億5900万ドルの赤字で、赤字幅は前期の11億ドルから縮小。値上げやマーケティング費用の削減が奏功した。
全体の業績は希薄化後1株利益が0.93ドルで、リフィニティブがまとめたアナリスト予想と一致した。売上高は218億2000万ドルと、アナリスト予想の217億9000万ドルをやや上回った。
ディズニー+の会員数は前期比400万人減の1億5780万人。インドで退会が目立ったほか、昨年12月に値上げを実施した米国やカナダでも減少した。
インサイダー・インテリジェンスのアナリスト、ポール・ベルナ氏は、アナリストの間では会員数が100万人以上増えると予想されていたと指摘。
メディア企業に対しては動画配信事業の黒字化を求める声が高まっているが、PPフォーサイトのアナリスト、パオロ・ペスカトーレ氏は、それでも投資家は「会員数の純増に固執」しているようだと指摘。「顧客獲得と業績の微妙なバランスを取るのは容易ではない」と述べた。
GPブルハウンドのファンドマネジャーは、マーケティング費の圧縮が会員数の減少につながっていないか投資家は疑問視していると述べた。
昨年11月にCEOに復帰したアイガー氏は人員削減などによる55億ドル(訂正)のコスト削減を打ち出したが、この日の会見で55億ドルを上回るとの見通しを示した。
テーマパーク部門の営業利益は前年同期比23%増の22億ドル。上海ディズニーリゾート、仏パリのディズニーランド、香港ディズニーランド・リゾートの伸びが寄与した。
スポーツ専門チャンネルなどテレビ局を手掛ける部門の営業利益は35%減の18億ドルで、従来型のテレビ放送事業も苦戦していることが示された。