[ロンドン 13日 ロイター] - 人事管理の専門家団体、英人事教育協会(CIPD)が13日に公表した最新の四半期調査によると、企業が今年想定している賃上げ率の中央値は5%と前期の4%から切り上がり、CIPDがデータ集計を開始した2012年以降で最も高くなった。ただ2桁台の伸びが続く足元の物価上昇率を依然として大きく下回っている。
調査は1月3日から25日まで、企業経営者2012人を対象に実施した。
現場では新規採用や人材の引き留めに苦戦しているもよう。回答企業の半数以上が求人ポストを穴埋めできない問題を抱えていると明かし、残りの約3分の1も向こう半年でそうした事態に直面するとの見通しを示した。こうした中で、採用担当者の55%が今年、基本給ないし変動給の引き上げを計画しているという。
CIPDのシニア労働エコノミスト、ジョン・ボーイズ氏は「物価とそれに伴う生活費が上昇しているという経済環境を踏まえると、労働市場は驚くほどの堅調を維持しており、そうした下で専門的な技能と労働力がなお欠乏している」と指摘した。
調査では、想定賃上げ率の「官民格差」が拡大し、民間部門は5%だったのに対して、公的部門は前期の3%から2%に下振れ。公的部門で働く看護師や教員などが賃上げと職場環境改善を求めて相次いでストライキを起こしている背景として、こうした生活の苦しさが浮き彫りになった。