日経平均は5日ぶり反落。
289.48円安の26759.99円(出来高概算6億1319万株)で前場の取引を終えている。
28日の米株式市場ではNYダウが491.27ドル安と大幅続落。
中国が新型コロナ規制を緩和したことが好感されて買い先行。
NY連銀のウィリアムズ総裁が「経済が強く、景気後退は基本シナリオではない」と発言したことも買いを後押し。
しかし、その後発表された6月の消費者信頼感指数が予想以上に悪化し、景気後退懸念が強まると次第に売り圧力が強まり下落転換。
引けにかけて売りが加速し、主要株価指数は大幅に下落した。
ナスダック総合指数は-2.97%と大幅続落。
米株安を引き継いで日経平均は235.24円安からスタート。
朝方は売りが先行し、下げ幅は一時350円を超えた。
アジア市況が軟調ななか、その後は安値圏でのもみ合いとなった。
個別では、ルネサス (TYO:6723)、東エレク (TYO:8035)の半導体関連、村田製 (TYO:6981)、ローム<
6963>、日本電産 (TYO:6594)のハイテクのほか、SHIFT (TYO:3697)、メルカリ (TYO:4385)のグロース
(成長)株が全般大きく下落。
川崎汽船 (TYO:9107)、郵船 (TYO:9101)、INPEX (TYO:1605)、SMC (TYO:6273)、ブリヂストン (TYO:5108)、AGC (TYO:5201)など景気敏感株でも弱いものが目立つ。
第1四半期の大幅減益決算が嫌気されたピックルス (TYO:2925)は急落し、東証プライム市場の値下がり率トップとなっている。
一方、大阪チタ (TYO:5726)が大幅に続伸。
三井物産 (TYO:8031)、三菱商事 (TYO:8058)の商社のほか、三菱重 (TYO:7011)、IHI (TYO:7013)の防衛関連が堅調。
JAL (TYO:9201)やJR東 (TYO:9020)、資生堂 (TYO:4911)、イオン (TYO:8267)など内需系がしっかり。
しまむら (TYO:8227)は好決算を評価する動きが継続。
原発再稼働機運の高まりを追い風に東京電力HD (TYO:9501)が大幅高、電力スポット価格の恩恵銘柄として電源開発 (TYO:9513)も高い。
6月の月次売上動向が手掛かりとなったアスクル (TYO:2678)、自社株買いが好感されたスギHD (TYO:7649)が急伸し、東証プライム市場の値上がり率上位に入った。
レーティング格上げが観測されたヤマハ (TYO:7951)、ビックカメラ (TYO:3048)も上昇。
セクターではゴム製品、ガラス・土石、海運が下落率上位となった一方、電気・ガス、石油・石炭、不動産が上昇率上位となった。
東証プライム市場の値下がり銘柄は全体の63%、対して値上がり銘柄は32%となっている。
前日の日経平均は後場に盛り返して終値で27000円を回復。
日経平均先物については、夜間取引に序盤の米株高を映して一時27220円まで上値を伸ばしていた。
しかし、その後の経済指標の悪化を受けた急速な基調転換もあり、本日の日経平均は1%を超える下落率で前場を終えている。
前日も指摘したが、27000円は心理的な節目として目先の戻り達成感が台頭しやすいうえ、この水準には25日、75日、13週、26週の主要移動平均線が集中しており、強力な上値抵抗帯として意識されやすい。
前日の27000円回復で懸念が払拭されたかとも思ったが、今日の下落で改めてこうしたネガティブな捉え方が優勢となりそうだ。
前日、コンファレンス・ボード(CB)が発表した6月の米消費者信頼感指数は98.7と、前月から4.5pt低下し、2021年2月以来の低水準となった。
インフレ圧力による景気後退懸念が消費者センチメントの重荷になっている。
また、今後6カ月の見通しを映す期待指数は66.4と、約10年ぶりの水準にまで低下。
さらに、雇用が「十分にある」との回答比率は小幅ながら低下し、今後6カ月の間に所得が減少するとの回答比率は2020年8月以来の高さとなった。
米連邦準備制度理事会(FRB)は深刻な景気後退を避けられる理由として労働市場の堅調さを挙げているが、こうした見方に徐々に黄色信号が灯り始めている。
また、気掛かりなのは原油先物価格と米10年債利回りの動き。
CB消費者信頼感指数の結果を受けて景気後退懸念が強まった中でも、前日の原油先物価格は深刻な供給不足に対する懸念から上昇、米10年債利回りも低下したとはいえ小幅にとどまり、先週後半の一時3%割れを窺う水準からは大きく上昇した位置にある。
一方で、期待インフレ率の指標とされる米10年物ブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)は2.48%(-0.07pt)と大きく低下。
名目金利から期待インフレ率を差し引いた実質金利は+0.70%
と、再びじわり上昇基調にある。
先週は景気後退懸念が強まるなかでも、金利の低下がハイテク・グロース株を押し上げ、全体の底上げに寄与した。
しかし、本日は景気後退懸念が再燃するなかでも実質金利が上昇し、景気敏感株だけでなくハイテク・グロース株も弱いという構図になっている。
月末にかけては、年金基金のリバランス(資産配分の再調整)目的の買いから上昇に期待する向きも多いが、こうした需給要因が剥落した月替わりの7月以降は、上述した背景から改めて相場の下落に警戒が必要だろう。
後場の日経平均については軟調継続を予想。
アジア市況が総じて下落しているうえ、今晩は、欧州中央銀行(ECB)主催の経済フォーラムでパウエルFRB議長やラガルドECB総裁など要人らが討論会で発言する予定。
金融政策の動向に加えて、景気やインフレの先行きについての見方が注目され、イベント前に買い戻しは期待しにくいだろう。
(仲村幸浩)
289.48円安の26759.99円(出来高概算6億1319万株)で前場の取引を終えている。
28日の米株式市場ではNYダウが491.27ドル安と大幅続落。
中国が新型コロナ規制を緩和したことが好感されて買い先行。
NY連銀のウィリアムズ総裁が「経済が強く、景気後退は基本シナリオではない」と発言したことも買いを後押し。
しかし、その後発表された6月の消費者信頼感指数が予想以上に悪化し、景気後退懸念が強まると次第に売り圧力が強まり下落転換。
引けにかけて売りが加速し、主要株価指数は大幅に下落した。
ナスダック総合指数は-2.97%と大幅続落。
米株安を引き継いで日経平均は235.24円安からスタート。
朝方は売りが先行し、下げ幅は一時350円を超えた。
アジア市況が軟調ななか、その後は安値圏でのもみ合いとなった。
個別では、ルネサス (TYO:6723)、東エレク (TYO:8035)の半導体関連、村田製 (TYO:6981)、ローム<
6963>、日本電産 (TYO:6594)のハイテクのほか、SHIFT (TYO:3697)、メルカリ (TYO:4385)のグロース
(成長)株が全般大きく下落。
川崎汽船 (TYO:9107)、郵船 (TYO:9101)、INPEX (TYO:1605)、SMC (TYO:6273)、ブリヂストン (TYO:5108)、AGC (TYO:5201)など景気敏感株でも弱いものが目立つ。
第1四半期の大幅減益決算が嫌気されたピックルス (TYO:2925)は急落し、東証プライム市場の値下がり率トップとなっている。
一方、大阪チタ (TYO:5726)が大幅に続伸。
三井物産 (TYO:8031)、三菱商事 (TYO:8058)の商社のほか、三菱重 (TYO:7011)、IHI (TYO:7013)の防衛関連が堅調。
JAL (TYO:9201)やJR東 (TYO:9020)、資生堂 (TYO:4911)、イオン (TYO:8267)など内需系がしっかり。
しまむら (TYO:8227)は好決算を評価する動きが継続。
原発再稼働機運の高まりを追い風に東京電力HD (TYO:9501)が大幅高、電力スポット価格の恩恵銘柄として電源開発 (TYO:9513)も高い。
6月の月次売上動向が手掛かりとなったアスクル (TYO:2678)、自社株買いが好感されたスギHD (TYO:7649)が急伸し、東証プライム市場の値上がり率上位に入った。
レーティング格上げが観測されたヤマハ (TYO:7951)、ビックカメラ (TYO:3048)も上昇。
セクターではゴム製品、ガラス・土石、海運が下落率上位となった一方、電気・ガス、石油・石炭、不動産が上昇率上位となった。
東証プライム市場の値下がり銘柄は全体の63%、対して値上がり銘柄は32%となっている。
前日の日経平均は後場に盛り返して終値で27000円を回復。
日経平均先物については、夜間取引に序盤の米株高を映して一時27220円まで上値を伸ばしていた。
しかし、その後の経済指標の悪化を受けた急速な基調転換もあり、本日の日経平均は1%を超える下落率で前場を終えている。
前日も指摘したが、27000円は心理的な節目として目先の戻り達成感が台頭しやすいうえ、この水準には25日、75日、13週、26週の主要移動平均線が集中しており、強力な上値抵抗帯として意識されやすい。
前日の27000円回復で懸念が払拭されたかとも思ったが、今日の下落で改めてこうしたネガティブな捉え方が優勢となりそうだ。
前日、コンファレンス・ボード(CB)が発表した6月の米消費者信頼感指数は98.7と、前月から4.5pt低下し、2021年2月以来の低水準となった。
インフレ圧力による景気後退懸念が消費者センチメントの重荷になっている。
また、今後6カ月の見通しを映す期待指数は66.4と、約10年ぶりの水準にまで低下。
さらに、雇用が「十分にある」との回答比率は小幅ながら低下し、今後6カ月の間に所得が減少するとの回答比率は2020年8月以来の高さとなった。
米連邦準備制度理事会(FRB)は深刻な景気後退を避けられる理由として労働市場の堅調さを挙げているが、こうした見方に徐々に黄色信号が灯り始めている。
また、気掛かりなのは原油先物価格と米10年債利回りの動き。
CB消費者信頼感指数の結果を受けて景気後退懸念が強まった中でも、前日の原油先物価格は深刻な供給不足に対する懸念から上昇、米10年債利回りも低下したとはいえ小幅にとどまり、先週後半の一時3%割れを窺う水準からは大きく上昇した位置にある。
一方で、期待インフレ率の指標とされる米10年物ブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)は2.48%(-0.07pt)と大きく低下。
名目金利から期待インフレ率を差し引いた実質金利は+0.70%
と、再びじわり上昇基調にある。
先週は景気後退懸念が強まるなかでも、金利の低下がハイテク・グロース株を押し上げ、全体の底上げに寄与した。
しかし、本日は景気後退懸念が再燃するなかでも実質金利が上昇し、景気敏感株だけでなくハイテク・グロース株も弱いという構図になっている。
月末にかけては、年金基金のリバランス(資産配分の再調整)目的の買いから上昇に期待する向きも多いが、こうした需給要因が剥落した月替わりの7月以降は、上述した背景から改めて相場の下落に警戒が必要だろう。
後場の日経平均については軟調継続を予想。
アジア市況が総じて下落しているうえ、今晩は、欧州中央銀行(ECB)主催の経済フォーラムでパウエルFRB議長やラガルドECB総裁など要人らが討論会で発言する予定。
金融政策の動向に加えて、景気やインフレの先行きについての見方が注目され、イベント前に買い戻しは期待しにくいだろう。
(仲村幸浩)