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ヒーハイストは下値切り上げ、23年3月期減収減益予想だが24年3月期収益改善期待

発行済 2023-01-06 08:55
更新済 2023-01-06 09:05
© Reuters.  ヒーハイストは下値切り上げ、23年3月期減収減益予想だが24年3月期収益改善期待

 ヒーハイスト<6433>(東証スタンダード)は直動機器を主力として、精密部品加工やユニット製品も展開している。小径リニアボールブッシュの世界トップメーカーである。成長戦略として「スマート生産プロジェクト」の一環とする設備投資や開発投資を推進している。23年3月期は中国ロックダウン影響による販売減少、原材料調達遅延による生産高減少、原材料価格高騰の影響などで減収減益予想としている。ただし積極的な事業展開で24年3月期の収益改善を期待したい。株価は地合い悪化も影響して反発力の鈍い展開だが、22年9月の昨年来安値圏から徐々に下値を切り上げて底固め完了感を強めている。低PBRも評価材料であり、出直りを期待したい。

■小径リニアボールブッシュの世界トップメーカー

 20年7月1日付で商号をヒーハイスト精工からヒーハイストに変更した。独自の球面加工技術や鏡面加工技術をコア技術として、直動機器(リニアボールブッシュや球面軸受けなど)、精密部品加工(レース用部品や試作部品の受託加工など)、ユニット製品(液晶製造装置向けなど)を展開している。

 小径リニアボールブッシュの世界トップメーカーである。リニアボールブッシュは機械装置の稼働部に用いられる部品で、金属と金属の接触面を鋼球が転がりながら移動することで摩擦による影響を低減し、機械装置の寿命を延ばす役割を担っている。

 22年3月期の製品別売上構成比は直動機器67%、精密部品加工29%、ユニット製品4%だった。主要販売先はTHK<6481>および本田技研工業<7267>である。収益面では産業機械・電子部品・自動車関連の設備投資動向の影響を受けやすく、設備投資関連のため四半期業績が変動しやすい特性もある。

■生産能力向上と採算性向上を推進

 収益力向上および経営基盤強化に向けた重点方針として、生産能力向上とコストダウンによる採算性向上、QCDの徹底追求による顧客対応力の強化、顧客ニーズに適合した応用製品の開発と販売、主力製品リニアボールブッシュの競争力強化による拡販、提案型技術営業による新規顧客開拓、海外販売網の構築・強化、従業員の上昇志向と能力の向上を推進している。

 21年10月にはESG経営の一環として、秋田県の大学生有志(国際教養大学、秋田大学、秋田県立大学の3大学)が進めている花火打ち上げプロジェクト「輝け!僕らの秋田ゆめ花火プロジェクト」に協賛した。21年11月には、川越市と川越商工会議所が認定・表彰する「川越ものづくりブランドKOEDO E―PRO」において、クサビ式減速機構を搭載した超精密1軸ステージおよび超精密XYθステージが令和3年度大賞を受賞した。

 22年5月には「スマート生産プロジェクト」の一環として、直動機器の増産を目的として埼玉工場の敷地内に「無人工場棟」を建設すると発表した。投資金額は約2億円(生産設備、移動費用を含まない)で、22年10月着工予定、23年3月完成予定としている。

■23年3月期減収減益予想だが24年3月期収益改善期待

 23年3月期連結業績予想(22年11月11日付で下方修正)は売上高が22年3月期比10.0%減の24億67百万円、営業利益が97.4%減の6百万円、経常利益が95.2%減の12百万円、親会社株主帰属当期純利益が98.8%減の2百万円としている。配当予想(11月11日付で期末1円下方修正)は22年3月期比3円減配の1円(期末一括)としている。

 第2四半期累計は、売上高が前年同期比16.3%減の11億72百万円、営業利益が8百万円の赤字(前年同期は1億79百万円の黒字)、経常利益が0百万円の赤字(同1億78百万円の黒字)、親会社株主帰属四半期純利益が5百万円の赤字(同1億27百万円の黒字)だった。

 中国ロックダウン影響による販売減少、原材料調達遅延による生産高減少、原材料価格や光熱費・物流費の高騰の影響などで計画を下回り赤字着地した。部門別売上高は、直動機器が中国ロックダウン影響などで10.0%減の7億96百万円、精密部品加工がレース用部品の減少で30.3%減の2億84百万円、ユニット製品は中国市場での受注停滞や販売先の設備投資延期などで14.3%減の92百万円だった。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高が5億66百万円で営業利益が7百万円の赤字、第2四半期は売上高が6億06百万円で営業利益が1百万円の赤字だった。

 通期連結業績予想については、期初予想に対して売上高を2億40百万円、営業利益を99百万円、経常利益を92百万円、親会社株主帰属当期純利益を72百万円、それぞれ下方修正した。中国ロックダウン影響による販売減少、原材料調達遅延による生産高減少、原材料価格高騰の影響などで減収減益予想としている。さらに「スマート生産プロジェクト」の一環とする設備投資や開発投資といった成長投資も考慮している。ただし積極的な事業展開で24年3月期の収益改善を期待したい。

■株価は下値切り上げ

 株価は地合い悪化も影響して反発力の鈍い展開だが、22年9月の昨年来安値圏から徐々に下値を切り上げて底固め完了感を強めている。低PBRも評価材料であり、出直りを期待したい。1月5日の終値は243円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS44銭で算出)は約552倍、今期予想配当利回り(会社予想の1円で算出)は約0.4%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS517円09銭で算出)は約0.5倍、そして時価総額は約15億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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