[ニューヨーク 29日 ロイター] - 米ゴールドマン・サックス・グループのデービッド・ソロモン最高経営責任者(CEO)は29日、普通株等Tier1比率(CET1)をすでに13%を超える水準に引き上げたと発表、米連邦準備理事会(FRB)の求める水準に向けて、作業を進めているとの声明を発表した。
FRBは前週、大手銀行を対象としたストレステスト(健全性審査)の結果を公表したが、ゴールドマンはライバル行に比べて見劣りしており、市場関係者は同社の対応に注目していた。
同社のCET1は3月時点で12.5%に低下。FRBは10月初めまでにCET1を13.7%とすることを求めている。
同CEOは「当社は必要な時には資本を再増強してきた実績がある」と表明した。
時間外取引の同社株は0.7%上昇。前週末はストレステストの結果を受けて8.6%急落していた。
アナリストは、CET1の上昇について、良い兆候だが、全ての懸念要因が払拭されたわけではないと指摘。
ゴールドマンは先に、新たなリテール・ブランド「マーカス」を発表。キャッシュ・マネジメント事業を開始するなど、従来の投資銀行・トレーディング部門中心の体制から、総合的な商業銀行への転換を目指しているが、アナリストは今後の見通しは不透明だとの見方を示している。
ウルフ・リサーチのアナリスト、スティーブン・チュバク氏は、ゴールドマンが速やかに資本を増強できたのは、恐らくトレーディング部門のおかけだろうと指摘。今年の健全性審査で厳しい評価が出たプライベートエクイティ(PE)やレバレッジドローンへのエクスポージャーも依然として多いと分析している。
ゴールドマンはPEやレバレッジドローンへのエクスポージャーを減らしており、こうしたプロセスを加速すれば、FRBの自己資本比率目標の達成に寄与するが、利益には悪影響が出るという。
モルガン・スタンレーのアナリスト、ベッツィー・グラセック氏は、ゴールドマンについて、バランスシートの縮小で来年の1株利益が約6%目減りする可能性があると推定している。