*15:22JST エスプール Research Memo(2):ビジネスソリューション事業と人材ソリューション事業を展開(1)
■事業概要
エスプール (TYO:2471)の事業セグメントは、ビジネスソリューション事業と人材ソリューション事業の2つに区分されている。
2023年11月期の事業セグメント別構成比で見ると、売上高はビジネスソリューション事業が48.5%、人材ソリューション事業が51.5%とほぼ拮抗しているが、セグメント利益の構成比はビジネスソリューション事業が70.3%と高くなっている。
これは付加価値の高い障がい者雇用支援サービスの成長が続いているためで、中期的に見てもビジネスソリューション事業の構成比は上昇傾向が続くものと見込まれる。
1. ビジネスソリューション事業
ビジネスソリューション事業は、障がい者雇用支援サービス、ロジスティクスアウトソーシングサービス、採用支援サービス、広域行政BPOサービス、環境経営支援サービス、セールスサポートサービスなどを子会社で展開しているほか、本体でプロフェッショナル人材サービスやその他新規事業の開発等を行っている。
2023年11月期の売上構成比で見ると、障がい者雇用支援サービスが55.0%と過半を占めており、次いでロジスティクスアウトソーシングが11.7%、広域行政BPOサービスが11.1%、環境経営支援サービスが7.6%となっている。
2021年6月より開始した広域行政BPOサービスや2020年6月に子会社化したブルードットグリーン(株)で展開する環境経営支援サービスの、2事業の構成比が年々上昇していることが特徴だ。
また、2023年11月期の利益構成比では、障がい者雇用支援サービスが同事業セグメントの8割強と大半を占めている。
(1) 障がい者雇用支援サービス
障がい者雇用支援サービスは、子会社の(株)エスプールプラスで展開している。
同社が賃借した土地や建物内で養液栽培施設を構築し、「わーくはぴねす農園」として企業に貸し出すとともに(栽培設備は販売)、同農園に従事する障がい者(主に知的障がい者)やその管理者を企業に紹介することで収入を得るビジネスモデルである。
2010年の事業開始以降、2023年11月までに首都圏及び愛知県、大阪府で合計46農園を開設しており、契約企業606社に対して3,774人の障がい者雇用を創出している。
従来、農園は屋外のみであったが、2020年8月に屋内型農園「Plus東京板橋」(東京都板橋区)を開設したのを皮切りに、都市部では屋内型農園での展開も進めている(2023年11月末で11園)。
また、自治体と連携協定を締結して農園を開設するケースもある(同12園)。
自治体と連携することによって、候補用地の確保や就業を希望する障がい者の募集活動が効率的に進むといったメリットがある。
基本的なビジネスモデルは、賃借した約3千坪の土地にビニルハウス農園を構築し、150~180区画程度に分割して契約企業に対して区画ごとに栽培設備を販売するとともに、農園で就業する障がい者と管理者の人材紹介を行うものである。
また、月々の運営管理料を得るフロー型とストック型を組み合わせたハイブリッド型のビジネスモデルである。
6区画(障がい者3人、管理者1人)を1パッケージとして販売しており、栽培設備は約150万円/区画(屋内型の場合は約180万円)、障がい者の紹介料は軽度と重度で異なるが平均で約60万円、管理者は約50万円となっている。
このため、6区画販売すれば約1,100万円の売上となる。
また、運営管理料は立地によって異なるが、月額で4~5万円/区画(屋内型は6.5万円/区画)で設定している。
栽培設備販売と紹介料に関してはフロー売上となるが、運営管理料はストック売上として毎月得られることになり、安定収益源となる。
仮に期初に屋外型で1農園(150区画)を販売した場合、当年度の売上高としては、栽培設備販売で225百万円、人材紹介料で50百万円、管理収入で81百万円、合計で356百万円となる。
一方で、設備投資額は約2.5億円(ビニルハウス、車両等。
減価償却期間は4~14年)となる。
販売初年度はフロー売上が計上されるため利益率が高くなるが、2年目以降はフロー売上がなくなり、減価償却費や維持費用が残るため利益率が低下することになる。
2023年11月期の営業利益率は約36%の水準だが、ストック売上だけで見ると10%台と見られる。
また、屋内型農園の場合は、設備投資額で3.5~4.5億円となるほか、電気料金や賃料負担が屋外型と比べると重くなるため、開園後の販売の進捗状況によって利益率が低くなるリスクがある。
就業者の定着率は約92%(就職後1年間)と一般企業に就職するよりも高く、同社サービスの長所の1つとなっている。
就業者が安心して働ける環境を整備しており、顧客企業や就業者またはその家族からの評価も高い。
解約は2023年11月期で12社発生したが、いずれも顧客事由(新型コロナウイルス感染症拡大による業績不振、経営体制の変更等)となっている。
解約で空いた区画については、栽培設備の状態が良好な場合は定価からディスカウントして新規顧客企業に再販しているが、人材紹介については解約先企業で就労していた人員をそのまま新規顧客企業に引き継ぐことから紹介料は徴収していない。
利益面への影響については、栽培設備を再販することによる利益貢献額が紹介料を上回るため、解約後の区画を再販するケースのほうが利益率はやや高くなるようだ。
(2) ロジスティクスアウトソーシングサービス
子会社の(株)エスプールロジスティクスで展開するロジスティクスアウトソーシングサービスでは、主にEC事業者向けの商品発送代行業務を行っている(物流センター運営代行業務については2023年11月期で終了)。
2023年11月期の売上構成比は、EC通販発送代行業務が約92%を占めており、品川センター(東京都港区、2018年2月開設、2,200坪)と流山センター(千葉県流山市、2023年7月開設、3,515坪)の2拠点で運営している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
エスプール (TYO:2471)の事業セグメントは、ビジネスソリューション事業と人材ソリューション事業の2つに区分されている。
2023年11月期の事業セグメント別構成比で見ると、売上高はビジネスソリューション事業が48.5%、人材ソリューション事業が51.5%とほぼ拮抗しているが、セグメント利益の構成比はビジネスソリューション事業が70.3%と高くなっている。
これは付加価値の高い障がい者雇用支援サービスの成長が続いているためで、中期的に見てもビジネスソリューション事業の構成比は上昇傾向が続くものと見込まれる。
1. ビジネスソリューション事業
ビジネスソリューション事業は、障がい者雇用支援サービス、ロジスティクスアウトソーシングサービス、採用支援サービス、広域行政BPOサービス、環境経営支援サービス、セールスサポートサービスなどを子会社で展開しているほか、本体でプロフェッショナル人材サービスやその他新規事業の開発等を行っている。
2023年11月期の売上構成比で見ると、障がい者雇用支援サービスが55.0%と過半を占めており、次いでロジスティクスアウトソーシングが11.7%、広域行政BPOサービスが11.1%、環境経営支援サービスが7.6%となっている。
2021年6月より開始した広域行政BPOサービスや2020年6月に子会社化したブルードットグリーン(株)で展開する環境経営支援サービスの、2事業の構成比が年々上昇していることが特徴だ。
また、2023年11月期の利益構成比では、障がい者雇用支援サービスが同事業セグメントの8割強と大半を占めている。
(1) 障がい者雇用支援サービス
障がい者雇用支援サービスは、子会社の(株)エスプールプラスで展開している。
同社が賃借した土地や建物内で養液栽培施設を構築し、「わーくはぴねす農園」として企業に貸し出すとともに(栽培設備は販売)、同農園に従事する障がい者(主に知的障がい者)やその管理者を企業に紹介することで収入を得るビジネスモデルである。
2010年の事業開始以降、2023年11月までに首都圏及び愛知県、大阪府で合計46農園を開設しており、契約企業606社に対して3,774人の障がい者雇用を創出している。
従来、農園は屋外のみであったが、2020年8月に屋内型農園「Plus東京板橋」(東京都板橋区)を開設したのを皮切りに、都市部では屋内型農園での展開も進めている(2023年11月末で11園)。
また、自治体と連携協定を締結して農園を開設するケースもある(同12園)。
自治体と連携することによって、候補用地の確保や就業を希望する障がい者の募集活動が効率的に進むといったメリットがある。
基本的なビジネスモデルは、賃借した約3千坪の土地にビニルハウス農園を構築し、150~180区画程度に分割して契約企業に対して区画ごとに栽培設備を販売するとともに、農園で就業する障がい者と管理者の人材紹介を行うものである。
また、月々の運営管理料を得るフロー型とストック型を組み合わせたハイブリッド型のビジネスモデルである。
6区画(障がい者3人、管理者1人)を1パッケージとして販売しており、栽培設備は約150万円/区画(屋内型の場合は約180万円)、障がい者の紹介料は軽度と重度で異なるが平均で約60万円、管理者は約50万円となっている。
このため、6区画販売すれば約1,100万円の売上となる。
また、運営管理料は立地によって異なるが、月額で4~5万円/区画(屋内型は6.5万円/区画)で設定している。
栽培設備販売と紹介料に関してはフロー売上となるが、運営管理料はストック売上として毎月得られることになり、安定収益源となる。
仮に期初に屋外型で1農園(150区画)を販売した場合、当年度の売上高としては、栽培設備販売で225百万円、人材紹介料で50百万円、管理収入で81百万円、合計で356百万円となる。
一方で、設備投資額は約2.5億円(ビニルハウス、車両等。
減価償却期間は4~14年)となる。
販売初年度はフロー売上が計上されるため利益率が高くなるが、2年目以降はフロー売上がなくなり、減価償却費や維持費用が残るため利益率が低下することになる。
2023年11月期の営業利益率は約36%の水準だが、ストック売上だけで見ると10%台と見られる。
また、屋内型農園の場合は、設備投資額で3.5~4.5億円となるほか、電気料金や賃料負担が屋外型と比べると重くなるため、開園後の販売の進捗状況によって利益率が低くなるリスクがある。
就業者の定着率は約92%(就職後1年間)と一般企業に就職するよりも高く、同社サービスの長所の1つとなっている。
就業者が安心して働ける環境を整備しており、顧客企業や就業者またはその家族からの評価も高い。
解約は2023年11月期で12社発生したが、いずれも顧客事由(新型コロナウイルス感染症拡大による業績不振、経営体制の変更等)となっている。
解約で空いた区画については、栽培設備の状態が良好な場合は定価からディスカウントして新規顧客企業に再販しているが、人材紹介については解約先企業で就労していた人員をそのまま新規顧客企業に引き継ぐことから紹介料は徴収していない。
利益面への影響については、栽培設備を再販することによる利益貢献額が紹介料を上回るため、解約後の区画を再販するケースのほうが利益率はやや高くなるようだ。
(2) ロジスティクスアウトソーシングサービス
子会社の(株)エスプールロジスティクスで展開するロジスティクスアウトソーシングサービスでは、主にEC事業者向けの商品発送代行業務を行っている(物流センター運営代行業務については2023年11月期で終了)。
2023年11月期の売上構成比は、EC通販発送代行業務が約92%を占めており、品川センター(東京都港区、2018年2月開設、2,200坪)と流山センター(千葉県流山市、2023年7月開設、3,515坪)の2拠点で運営している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)