[日本インタビュ新聞社] - 協立情報通信<3670>(東証スタンダード)は、中堅・中小企業のICT化を支援するソリューション事業、およびドコモショップ運営のモバイル事業を展開している。成長に向けた基本方針として事業ポートフォリオの再構築、継続収益の拡大、サステナブル経営などを推進している。24年3月期(第2四半期から非連結決算に移行)は、前期連結決算との比較で増収増益予想としている。第2四半期累計の営業利益と経常利益の進捗率がやや低水準の形だが、ソリューション事業が順調であること、モバイル事業の収益が緩やかながらも改善基調であることなどを勘案すれば、通期会社予想の達成は可能と考えられる。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。株価は水準を切り上げてボックスレンジから上放れの動きを強めている。高配当利回りなど指標面の割安感も評価材料であり、上値を試す展開を期待したい。
■ソリューション事業とモバイル事業を展開
中堅・中小企業のICT(情報通信技術)化を支援するソリューション事業、およびドコモショップ運営のモバイル事業を展開している。なお23年10月10日に創業60周年を迎えた。
23年3月期は、ソリューション事業の売上高が16億26百万円で営業利益(全社費用等調整前)が3億87百万円、モバイル事業の売上高が33億56百万円で営業利益が2億17百万円だった。
ソリューション事業は、NEC<6701>、NTTドコモ<9437>、オービックビジネスコンサルタント<4733>、日本マイクロソフト、サイボウズ<4776>の主要パートナー企業5社の製品・サービスを融合し、会計情報ソリューションやマイクロソフト365サービスなど、情報インフラ、情報コンテンツ、情報活用の3分野を総合したワンストップソリューションの経営情報ソリューションサービスを提供している。
体感型フューチャーラボの「協立情報コミュニティー」において、製品活用体験セミナー、フェア、イベント、システム導入相談会、教育サービスなどを提供していることも特徴だ。23年6月にはオービックビジネスコンサルタントより「OBCパートナーアワード 2022-2023 地域優秀賞」を受賞した。23年9月にはMicrosoft365セミナー(クラウド体験・聴講セミナー)を全面リニューアルした。
モバイル事業はNTTドコモの一次代理店であるティーガイア<3738>の代理店として、ドコモショップ6店舗(東京都内2店舗、埼玉県内4店舗)を運営し、個人向けモバイル端末などの店頭販売、および法人向けモバイルソリューション(ドコモ法人・モバイルサービス)を展開している。
なお23年10月には、ドコモショップ三郷インター店(埼玉県三郷市)が「NTTドコモ関信越支社2023年度第1四半期NPS優良店舗」になった。NTTドコモ関信越支社管轄270店舗のうち10店舗が表彰された。また23年11月末にドコモショップイオンタウン吉川美南店(埼玉県吉川市)を閉店する。不採算店舗の整理と人員の効率化を図る。
■中期経営計画
スマホ市場の成長鈍化やクラウドSaaSの急速な普及など、事業環境の変化に対応して、23年6月に中期経営計画を見直した。新たな中期経営計画(24年3月期~26年3月期、ローリング方式)では、最終年度26年3月期の目標値には売上高60億円、営業利益4億円、当期純利益2.6億円、純資産23億円、EPS222円、BPS1960円を掲げている。株主還元については配当性向30%~40%程度を目途に、業績連動による適正な配当を実施するとともに、業績悪化時も一定水準を維持する方針としている。
成長に向けた基本方針としては、事業ポートフォリオの再構築、継続収益の拡大、サステナブル経営を推進するとしている。
事業ポートフォリオの再構築では、収益構造(売上高)の目標として、23年3月期実績49.8億円(法人系25.5億円、店舗系24.3億円)から、26年3月期に60億円(法人系40億円、店舗系20億円)へ、さらに長期目標の100億円(法人系80億円、店舗系20億円)を目指すとしている。24年3月期~25年3月期はパートナー共創の強化、融合事業サービスの強化、継続収益サービスの進化、26年3月期以降は事業拡張の強化、営業エリアの拡大、サービス領域の拡大を推進する。
継続収益の拡大では、売上規模の拡大を図りつつ、継続収入金額・比率の目標として、23年3月期実績9億67百万円・19%から、26年3月期に13億80百万円・23%を目指すとしている。クラウドサービスの深化、サブスク型サービスの拡大、サポートサービスの強化などを推進する。
サステナブル経営の推進については、経営理念のもと、すべてのステークホルダーに配慮し、環境負荷低減への貢献、ダイバーシティ推進と人財育成、顧客・パートナーとの共創、コーポレートガバナンスの充実などサステナブル(ESG、DSGs)経営を推進する。
■スタンダード市場上場維持基準適合に向けた計画書
22年4月に実施された東京証券取引所の市場再編に関してはスタンダード市場を選択し、21年12月15日付でスタンダード市場上場維持基準適合に向けた計画書を開示している。中期経営計画2024で打ち出した基本戦略を着実に遂行し、定量目標の達成による収益力の強化・利益の拡大、株主還元の充実、コーポレートガバナンスの充実、資本政策の検討・実施、IR活動の充実と情報発信の強化などによって企業価値の向上(時価総額の上昇)を図り、26年3月期にスタンダード市場上場維持基準の充足を目指すとしている。
なお資本政策の検討・実施については、流通株式比率37%以上の維持と株主利益に配慮しつつ、流通株式時価総額の適合に資する各施策(自己株式の処分、非流通株式の縮減、ストック・オプションの従業員行使など)について是非を検討する。
そして23年6月には、計画に基づく進捗状況をリリースした。23年3月末時点で、流通株式時価総額がスタンダード市場の上場維持基準を充たしていないが、当初計画通り26年3月期までに、上場維持基準を充たすために各種取組を推進するとしている。
■24年3月期増収増益予想
24年3月期の業績(23年7月1日付で子会社の神奈川協立情報通信を吸収合併して第2四半期より非連結に移行、11月8日付で修正)予想は売上高が52億円、営業利益が2億50百万円、経常利益が2億56百万円、当期純利益が2億23百万円としている。従来の連結業績予想に対して、特別利益に抱合せ株式消滅差益70百万円を計上(第2四半期に計上)するため、当期純利益を57百万円上方修正した。配当予想は据え置いて23年3月期と同額の55円(期末一括)としている。予想配当性向は29.5%となる。
なお、23年3月期の連結業績(売上高49億83百万円、営業利益1億84百万円、経常利益1億92百万円、親会社株主帰属当期純利益1億23百万円)との比較で見ると、実質的に増収増益予想となる。
第2四半期累計(非連結)は売上高が24億66百万円、営業利益が89百万円、経常利益が96百万円、四半期純利益が1億33百万円だった。前年同期の連結業績(売上高22億68百万円、営業利益73百万円、経常利益78百万円、親会社株主帰属四半期純利益47百万円)との比較で見ると、実質的に増収増益で着地した。ソリューション事業が順調だった。
ソリューション事業は、売上高が8億64百万円で営業利益(全社費用等調整前)が2億37百万円だった。連結ベースの前年同期(売上高7億23百万円、営業利益1億62百万円)との比較で増収増益だった。基幹業務システムのクラウドサービスへの移行、DX化を推進するための各種ソリューション・機器の提案・導入支援が順調だった。セミナー・イベント開催も奏功した。なお第2四半期末時点の受注残高は前年比12.5%増の3億02百万円となった。大型案件が増加した。
モバイル事業は、売上高が16億02百万円で営業利益が66百万円だった。連結ベースの前年同期(売上高15億44百万円、営業利益1億20百万円)との比較で、増収ながら減益だった。なお店舗事業においては、高性能・高価格のスマートフォンおよび付属品等副商材の売上が伸長し、緩やかながら収益改善傾向としている。
四半期別に見ると、第1四半期(連結)は売上高が10億34百万円で営業利益が14百万円、第2四半期(非連結)は売上高が14億32百万円で営業利益が75百万円だった。
通期予想に対する第2四半期累計の進捗率は売上高47%、営業利益36%、経常利益38%、当期純利益60%である。営業利益と経常利益の進捗率がやや低水準の形だが、ソリューション事業が順調であること、モバイル事業の収益が緩やかながらも改善基調であることなどを勘案すれば、通期会社予想の達成は可能と考えられる。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。
■株主優待制度は毎年3月末の株主対象
株主優待制度は毎年3月末時点で5単元(500株)以上保有株主を対象として、保有株式数に応じて島根県の特産品を贈呈(詳細は会社HP参照)する。
■株価はボックス上放れ
株価は水準を切り上げてボックスレンジから上放れの動きを強めている。高配当利回りなど指標面の割安感も評価材料であり、上値を試す展開を期待したい。1月4日の終値は1658円、今期予想PER(会社予想のEPS186円17銭で算出)は約9倍、今期予想配当利回り(会社予想の55円で算出)は約3.3%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1578円86銭で算出)は約1.1倍、そして時価総額は約20億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・Media-IR 株式投資情報編集部)