[日本インタビュ新聞社] - ■政局混迷が招く株価乱高下、市場の先行き不透明感強まる
「政治の一寸先は闇」といわれる。しかし相場の方も、「一寸先は闇」どころか「板子一枚下は地獄」と不安定である。いまさらながらこの危うさを思いしらされたのが、もう1週間も経つが、10月27日に投開票された衆議院議員選挙である。選挙結果は、事前の情勢分析通りに自公の政権与党の過半数割れの大惨敗であった。日経平均株価は、10月15日の公示日以降、2300円超も急落していたのである。当コラムも含めて大方の市場関係者は、選挙速報をウオッチしながらショック安を覚悟したに違いないのである。
ところが蓋を開けてみれば、ショック安どころかサプライズ高である。日経平均株価は、3日間で1300円超高も大幅反発した。リバウンド当初は、政局不安を売り込んだ売り方の買い戻しとタカをくくっていたが、主力株が上値追いに勢いを強めると、新たなストーリーが必要となって、圧勝した野党の党首の政策を先取りする「野田トレード」、「玉木トレード」などまでがささやかれ始めた。
しかし一本道、一筋縄でいかないのも「相場の一寸先は闇」のしからしむところである。3連休前の前週末は2日間で日経平均株価は、1200円超幅も急落し、ほぼ往って来いとなってしまった。総選挙結果の揺り戻しともいえる。投資家心理は、こうも揺さぶられると現在位置が、平時なのか非常時なのかつかみどころを失い戸惑うことになる。11月11日召集の特別国会の首相指名選挙で、少数政権与党となった石破内閣が、どう多数派工作に折り合いをつけるのか、野党がどう対応するのか、政局は混迷続きとなる可能性もあるからだ。マネーが、自らの物理法則に従って冷徹に動くのとはウラハラである。
■米大統領選も不透明要因に、世界市場が警戒
米国市場も、あるいは平時か非常時か見極めがつかいない混迷に見舞われるかもしれない。きょう5日に大統領選挙の投開票日を迎えるからだ。大統領選挙は、ハリス副大統領とトランプ前大統領とがデッドヒートを続けており、どちらに軍配が上がるのか、選挙自体が無事終了するのかも見通せず、こちらも「政治の一寸先は闇」となる可能性はゼロではない。米国市場は、週明け4日にダウ工業株30種平均(NYダウ)が、さすがに選挙前の持ち高調整売りで257ドル安と反落したようだが、総選挙前に大きく下落した東京市場とは異なり、NYダウが上場来高値追いとなっていた場面もあり、開票結果次第で平時、非常時のどちらに振れるかウオッチは怠れない。
投資スタンスとしても、諺の「治にいて乱を忘れず」か、逆に「乱にいて治を忘れず」か悩ましいこと限りない。そこで今週の当コラムは、なお政局不安が懸念される相場環境下、「乱にて治を忘れず」となる可能性のあるカタリスト(株価材料)に注目することにした。その一つは、女性活躍推進関連銘柄だろう。少数与党となった石破内閣は、「政治とカネ問題」はもちろん、補正予算・来年度予算の編成、来年度の税制改革など難題が待ち受けており、野党との政策協議・合意に向けた多数派工作の一環として、総選挙前から野党各党が主張していた選択制夫婦別姓制度やパート従業員の手取りをふやす「103万円の壁」引き上げのジェンダーフリー政策への譲歩、妥協などを迫まられるはずだからだ。今回の総選挙で当選した女性議員が、73人と過去最高となったことも、加速エンジンになると期待される。
候補株は、経済産業省と東京証券取引所が共同で公募・選定している「なでしこ銘柄」のほか、女性が社長に就任している上場会社、女性(フェメール)の健康問題やライフスタイルの課題をハイテク技術(テクノロジー)で解決するフェムテック関連株など幅広い。また米国の大統領選挙でハリス副大統領が当選すれば、米国初の女性大統領として「ガラスの天井」を打ち破るサポート材料にもなり、関連株の「一寸先は光」の展望を拓かせることになりそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)