■業績動向
(1) 2017年3月期第2四半期業績
宇徳 (T:9358)の2017年3月期第2四半期は、営業収入が23,077百万円、前年同期比5.9%減、経常利益が1,242百万円、同20.5%減、親会社株主に帰属する四半期純利益が1,081百万円、同14.3%増となった。
期初予想と比べると、営業収入で2.2%の未達だったものの、経常利益で3.5%増、親会社株主に帰属する四半期純利益で35.1%増となった。
親会社株主に帰属する四半期純利益が予想を上回ったのは、固定資産売却益351百万円を特別利益に計上したことによる。
事業別では、港湾事業が前年同期比で増収増益、プラント・物流事業が減収減益、その他事業が減収増益となった。
a)港湾事業
港湾事業の営業収入は、前年同期比6.3%増の10,779百万円、経常利益が同40.5%増の902百万円だった。
東京港、横浜港ともにコンテナターミナル関係の取扱量が堅調に推移した。
両港の外貿易額は、減少が続いているものの、同社の取扱量は堅調に推移した。
商船三井が大型コンテナ船の北米ルート往復を開始した。
完成車の輸出は、前下期から回復に転じており、前上期と今上期の比較では3割程度の伸びとなった。
一方、常陸那珂の茨城港からの建機や貨物輸出は低迷した。
また、横浜港からの北米並びに中国向け輸出減少に歯止めがかかっていない。
東京税関貿易統計によると、2016年4月から9月までの6ヶ月間の東京港の輸出額は2兆9,117億円、前年同期比7.2%減、輸入額は5兆1,406億円、同9.6%減となった。
為替が円高に推移したものの、輸入の減少が続いた。
一方、輸出は9月単月で7ヶ月ぶりに前年同月比を上回った。
同期間の横浜港の輸出額は3兆3,417億円、前年同期比9.7%減、輸入額は1兆8,602億円と、同20.3%減となった。
縮小傾向に変化がみられなかった。
b)プラント・物流事業
当第2四半期のプラント・物流事業の営業収入は前年同期比14.7%減の12,068百万円、経常利益が同66.1%減の299百万円に終わった。
プラント工事は、一般工事及び電力関係が低調に推移し業績悪化を招いた。
一般貨物に大きな変化はなかった。
2016年4月にサービスを開始した内陸型倉庫は、新規事業の立ち上げ期であるため、スペースがすべて埋まっておらず、オペレーションでも不慣れなところが出た。
1)貸借対照表
当第2四半期末の総資産は36,647百万円と前期末比288百万円増加した。
受取手形及び営業未収入金が641百万円減少した一方、現金及び預金が623百万円、関係会社短期貸付金が371百万円増加した。
一方、負債は10,165百万円と9百万円の増加であった。
支払手形及び営業未払金及び未払法人税等が増加した。
有利子負債は704百万円と128百万円増加した。
流動比率は316.4%、自己資本比率が72.1%と財務の健全性は高い。
2)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期末の現金及び現金同等物の期末残高は、3,508百万円となった。
営業活動によるキャッシュ・フローは、1,905百万円のプラスとなった。
主な要因は、税金等調整前四半期純利益の計上、減価償却費と営業債権の減少である。
投資活動によるキャッシュ・フローは、貸付金の回収や有形固定資産の売却による収入があったものの、有形固定資産の取得などで、695百万円のマイナスであった。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払などで321百万円のマイナスとなった。
(2) 2017年3月期予想
2017年3月期は、営業収入が前期比4.1%増の49,400百万円、経常利益が同0.3%減の3,100百万円とほぼ横ばいの予想だ。
経常利益31億円は、巡航速度とみている。
a)港湾事業
港湾事業は、大口顧客である商船三井とのすり合わせを経て予想を策定している。
前期比9.0%の増収、8.0%の経常増益を見込んでいる。
前述の新アライアンスの稼働は、来年4月以降に予定されており、当期中には大きな影響を与えない。
商船三井の2017年3月期のコンテナ船事業は、売上高が前期比10.3%減の6,450億円、経常損失が320億円へ増加する予想になっている。
前期削減された北米欧州航路の寄港数が復活されたもの、他社へ移った顧客をすべて取り戻すのは困難だろう。
また、利益率の低い営業収入が増加する見込みのため、経常利益率がほぼ横ばいを予想している。
同社の営業収益は、取扱量に左右されるため、海運市況や運賃の低下に大きな影響を受けない。
b)プラント・物流事業
プラント・物流事業は、営業収入は前期並み、経常利益は8.2%減を予想している。
プラント事業は、スポット工事の集合体になるが、手持ち工事で特別な案件がないため通常の利益率を予想の前提としている。
前期発生したタイの石化プロジェクトのような一時的なマイナス要因がなくなるものの、特筆すべき大型プロジェクトもない。
マレーシアの大型プロジェクトは、前段階の工事が遅れていたが、今下期から営業収入に立つ。
2018年度にかけて、営業収入への計上が予定されている。
2016年10月に、同社はJEXから海外引越事業を除く物流事業を譲受した。
JEXは、商船三井の連結子会社であり、MOLグループ内の物流事業を同社にまとめることになる。
JEXの株主は、商船三井(持ち株比率:84.04%)、同社(同12.95%)、国際コンテナ輸送(同3.01%)と商船三井グループ企業が株主リストに名を連ねていた。
JEXの2015年3月期の業績は、売上高が前期比1.3%増の5,038百万円、経常利益が同46.0%増の92百万円であった。
売上規模が同社の10分の1程度となる。
今後のより大きなM&Aのための良い経験とする。
規模に違いがあるものの、JEXのオペレーションに優れたものがあれば、それを積極的に取り入れる意向だ。
今下期の活動は、新しい試みとして始めた内陸型の物流センターのオペレーションのブラッシュアップとJEXとの合併シナジー効果の発揮に注力する。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
(1) 2017年3月期第2四半期業績
宇徳 (T:9358)の2017年3月期第2四半期は、営業収入が23,077百万円、前年同期比5.9%減、経常利益が1,242百万円、同20.5%減、親会社株主に帰属する四半期純利益が1,081百万円、同14.3%増となった。
期初予想と比べると、営業収入で2.2%の未達だったものの、経常利益で3.5%増、親会社株主に帰属する四半期純利益で35.1%増となった。
親会社株主に帰属する四半期純利益が予想を上回ったのは、固定資産売却益351百万円を特別利益に計上したことによる。
事業別では、港湾事業が前年同期比で増収増益、プラント・物流事業が減収減益、その他事業が減収増益となった。
a)港湾事業
港湾事業の営業収入は、前年同期比6.3%増の10,779百万円、経常利益が同40.5%増の902百万円だった。
東京港、横浜港ともにコンテナターミナル関係の取扱量が堅調に推移した。
両港の外貿易額は、減少が続いているものの、同社の取扱量は堅調に推移した。
商船三井が大型コンテナ船の北米ルート往復を開始した。
完成車の輸出は、前下期から回復に転じており、前上期と今上期の比較では3割程度の伸びとなった。
一方、常陸那珂の茨城港からの建機や貨物輸出は低迷した。
また、横浜港からの北米並びに中国向け輸出減少に歯止めがかかっていない。
東京税関貿易統計によると、2016年4月から9月までの6ヶ月間の東京港の輸出額は2兆9,117億円、前年同期比7.2%減、輸入額は5兆1,406億円、同9.6%減となった。
為替が円高に推移したものの、輸入の減少が続いた。
一方、輸出は9月単月で7ヶ月ぶりに前年同月比を上回った。
同期間の横浜港の輸出額は3兆3,417億円、前年同期比9.7%減、輸入額は1兆8,602億円と、同20.3%減となった。
縮小傾向に変化がみられなかった。
b)プラント・物流事業
当第2四半期のプラント・物流事業の営業収入は前年同期比14.7%減の12,068百万円、経常利益が同66.1%減の299百万円に終わった。
プラント工事は、一般工事及び電力関係が低調に推移し業績悪化を招いた。
一般貨物に大きな変化はなかった。
2016年4月にサービスを開始した内陸型倉庫は、新規事業の立ち上げ期であるため、スペースがすべて埋まっておらず、オペレーションでも不慣れなところが出た。
1)貸借対照表
当第2四半期末の総資産は36,647百万円と前期末比288百万円増加した。
受取手形及び営業未収入金が641百万円減少した一方、現金及び預金が623百万円、関係会社短期貸付金が371百万円増加した。
一方、負債は10,165百万円と9百万円の増加であった。
支払手形及び営業未払金及び未払法人税等が増加した。
有利子負債は704百万円と128百万円増加した。
流動比率は316.4%、自己資本比率が72.1%と財務の健全性は高い。
2)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期末の現金及び現金同等物の期末残高は、3,508百万円となった。
営業活動によるキャッシュ・フローは、1,905百万円のプラスとなった。
主な要因は、税金等調整前四半期純利益の計上、減価償却費と営業債権の減少である。
投資活動によるキャッシュ・フローは、貸付金の回収や有形固定資産の売却による収入があったものの、有形固定資産の取得などで、695百万円のマイナスであった。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払などで321百万円のマイナスとなった。
(2) 2017年3月期予想
2017年3月期は、営業収入が前期比4.1%増の49,400百万円、経常利益が同0.3%減の3,100百万円とほぼ横ばいの予想だ。
経常利益31億円は、巡航速度とみている。
a)港湾事業
港湾事業は、大口顧客である商船三井とのすり合わせを経て予想を策定している。
前期比9.0%の増収、8.0%の経常増益を見込んでいる。
前述の新アライアンスの稼働は、来年4月以降に予定されており、当期中には大きな影響を与えない。
商船三井の2017年3月期のコンテナ船事業は、売上高が前期比10.3%減の6,450億円、経常損失が320億円へ増加する予想になっている。
前期削減された北米欧州航路の寄港数が復活されたもの、他社へ移った顧客をすべて取り戻すのは困難だろう。
また、利益率の低い営業収入が増加する見込みのため、経常利益率がほぼ横ばいを予想している。
同社の営業収益は、取扱量に左右されるため、海運市況や運賃の低下に大きな影響を受けない。
b)プラント・物流事業
プラント・物流事業は、営業収入は前期並み、経常利益は8.2%減を予想している。
プラント事業は、スポット工事の集合体になるが、手持ち工事で特別な案件がないため通常の利益率を予想の前提としている。
前期発生したタイの石化プロジェクトのような一時的なマイナス要因がなくなるものの、特筆すべき大型プロジェクトもない。
マレーシアの大型プロジェクトは、前段階の工事が遅れていたが、今下期から営業収入に立つ。
2018年度にかけて、営業収入への計上が予定されている。
2016年10月に、同社はJEXから海外引越事業を除く物流事業を譲受した。
JEXは、商船三井の連結子会社であり、MOLグループ内の物流事業を同社にまとめることになる。
JEXの株主は、商船三井(持ち株比率:84.04%)、同社(同12.95%)、国際コンテナ輸送(同3.01%)と商船三井グループ企業が株主リストに名を連ねていた。
JEXの2015年3月期の業績は、売上高が前期比1.3%増の5,038百万円、経常利益が同46.0%増の92百万円であった。
売上規模が同社の10分の1程度となる。
今後のより大きなM&Aのための良い経験とする。
規模に違いがあるものの、JEXのオペレーションに優れたものがあれば、それを積極的に取り入れる意向だ。
今下期の活動は、新しい試みとして始めた内陸型の物流センターのオペレーションのブラッシュアップとJEXとの合併シナジー効果の発揮に注力する。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)