■要約
1. 事業概要
エニグモは、CtoC型※1のソーシャル・ショッピング・サイト「BUYMA(バイマ)」の運営を主力としている「BUYMA」は、海外在住の個人がパーソナルショッパー(出品者)となって、ファッション関連を中心とする世界中の話題のアイテムを幅広く紹介し、国内の会員向けに出品、販売できるプラットフォームである世界139ヶ国に在住するパーソナルショッパーは約10万人、登録会員数は467万人に上る(2017年10月末)個々人のセンスで発掘した幅広い品ぞろえや中間業者を介さないことによる価格の適正性など、これまでの流通システムとは異なる新しい価値を創出することで高い成長性を実現してきた最近では、ユーザー層の幅も広がっており、これまでのF1層※2中心からメインストリームのサービスへと次のステージに移ってきた同社は、ターゲットユーザーを1,000万人から4,000万人に再定義するとともに、独自のブランドイメージを保持しながら、幅広いユーザーの満足度を高めるための施策に取り組んでいる
※1 一般消費者間で行われる取引(Consumer to Consumer)
※2 20〜30歳代女性
2. 2018年1月期第3四半期(累計)決算の概要
2018年1月期第3四半期(累計)の業績は、総取扱高が前年同期比10.4%増の24,933百万円に拡大し、売上高も同6.1%増の3,062百万円に伸長した一方、営業利益は同17.8%減の997百万円と先行費用の影響等により減益となったただ、2017年9月13日付の修正予想に対しては、おおむね計画どおりの進捗のようだ主力の「BUYMA」において、会員数及びアクティブ会員数の伸びが増収に寄与したただ、総取扱高や売上高の伸びが前期までの高い水準と比べて緩やかなのは、新規会員獲得の伸び悩みとアクティブ率の低下によるものであり、第2四半期までの流れを引き継いだ格好と言えるすなわち、前々期(2016年1月期)に実施した大規模なマスキャンペーン効果の一巡に加えて、前期(2017年1月期)に好調であったスニーカーのような間口の広い普段使い商品の取扱いがなかったことがライトユーザーをつかまえきれず、結果的に新規会員獲得やアクティブ率に影響を及ぼしたものと考えられるもっとも、ファッション感度の高いヘビーユーザーについて言えば、総取扱高は順調に伸びており、「BUYMA」自体の価値(トレンドを捉えた品ぞろえなど)に変調を来たしているわけではないまた、成長再加速に向けた新たなマーケティング施策についても、年末商戦を含む第4四半期に入ってからの本格実施であるため、第3四半期の業績には反映されていない一方、損益面で営業減益となったのは、インフラ・決済基盤の強化など、今後の事業拡大に向けた先行費用によるものであり、当初の計画どおりである
3. 2018年1月期の通期業績予想
2018年1月期の通期業績予想について同社は、第3四半期までの実績や足元の状況等を踏まえ、2017年9月13日付の修正予想を据え置いており、売上高を前期比6.5%増の4,418百万円、営業利益を同19.5%減の1,423百万円と増収減益を見込んでいる業績予想の達成のためには、第4四半期の売上高1,356百万円(前年同期比7.4%増)、営業利益426百万円(同23.2%減)が必要となる弊社では、そもそも第4四半期に偏重する傾向(年末商戦による業績寄与が大きい)があることや、第4四半期に入ってからのマスキャンペーン効果等を勘案すると、同社の業績予想は十分に達成可能な水準と捉えているポイントは、今回初めて試みるショートスパンのマーケティング施策がどのくらいの効果を生み出すのかにあるだろうすなわち、その成果や手応えが、今後の成長性(及び成長スピード)を判断するうえで、重要なレファレンス(判断材料)になるものと注目している
4. 成長戦略
同社の中期戦略の方向性は、「ファッションアイテムと出会い、購入し、そして、使わなくなったアイテムをリセールできる出会いから処分までを一気通貫で提供する」という「BUYMA経済圏」の確立を目指すものであるすなわち、「BUYMA」の成長を軸として、メディア事業(アイテムとの出会い)やリセール事業(使わなくなったアイテムの販売)との連携を強化するともに、更なる関連事業を生み出すことで事業拡大を図る戦略と言える中期目標として、増収増益を基調としながら営業利益50億円の早期実現を目指すまた、海外展開にも積極的に取り組む方針である
弊社では、「BUYMA」の今後の成長性について、認知度の更なる拡大や魅力的な品ぞろえによる訴求はもちろん、ターゲットユーザーの拡大や外部環境(eコマースの拡大やCtoC取引の普及等)の後押しもあることから、国内においても十分に拡大余地があるものとみており、少なくとも同社が当面の到達点としているアクティブ会員数300万人、総取扱高1,000億円の達成は可能であると評価している今後も同社の将来を大きく左右する、1)「BUYMA」自体の成長、2)「BUYMA」を軸とした事業領域の拡大(「BUYMA 経済圏」の確立)、3)「GLOBAL BUYMA(英語版BUYMA)」の進展等をフォローしていきたい
■Key Points
・2018年1月期第3四半期(累計)は増収ながら先行費用等により減益決算
・第2四半期までの流れを引き継ぎ、増収率は緩やかな水準にとどまるも計画どおりの進捗
・新たなマーケティング施策により第4四半期からの成長再加速を目論む
・初めての試みとなるショートスパンのマーケティング施策の効果や手応えに注目
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
1. 事業概要
エニグモは、CtoC型※1のソーシャル・ショッピング・サイト「BUYMA(バイマ)」の運営を主力としている「BUYMA」は、海外在住の個人がパーソナルショッパー(出品者)となって、ファッション関連を中心とする世界中の話題のアイテムを幅広く紹介し、国内の会員向けに出品、販売できるプラットフォームである世界139ヶ国に在住するパーソナルショッパーは約10万人、登録会員数は467万人に上る(2017年10月末)個々人のセンスで発掘した幅広い品ぞろえや中間業者を介さないことによる価格の適正性など、これまでの流通システムとは異なる新しい価値を創出することで高い成長性を実現してきた最近では、ユーザー層の幅も広がっており、これまでのF1層※2中心からメインストリームのサービスへと次のステージに移ってきた同社は、ターゲットユーザーを1,000万人から4,000万人に再定義するとともに、独自のブランドイメージを保持しながら、幅広いユーザーの満足度を高めるための施策に取り組んでいる
※1 一般消費者間で行われる取引(Consumer to Consumer)
※2 20〜30歳代女性
2. 2018年1月期第3四半期(累計)決算の概要
2018年1月期第3四半期(累計)の業績は、総取扱高が前年同期比10.4%増の24,933百万円に拡大し、売上高も同6.1%増の3,062百万円に伸長した一方、営業利益は同17.8%減の997百万円と先行費用の影響等により減益となったただ、2017年9月13日付の修正予想に対しては、おおむね計画どおりの進捗のようだ主力の「BUYMA」において、会員数及びアクティブ会員数の伸びが増収に寄与したただ、総取扱高や売上高の伸びが前期までの高い水準と比べて緩やかなのは、新規会員獲得の伸び悩みとアクティブ率の低下によるものであり、第2四半期までの流れを引き継いだ格好と言えるすなわち、前々期(2016年1月期)に実施した大規模なマスキャンペーン効果の一巡に加えて、前期(2017年1月期)に好調であったスニーカーのような間口の広い普段使い商品の取扱いがなかったことがライトユーザーをつかまえきれず、結果的に新規会員獲得やアクティブ率に影響を及ぼしたものと考えられるもっとも、ファッション感度の高いヘビーユーザーについて言えば、総取扱高は順調に伸びており、「BUYMA」自体の価値(トレンドを捉えた品ぞろえなど)に変調を来たしているわけではないまた、成長再加速に向けた新たなマーケティング施策についても、年末商戦を含む第4四半期に入ってからの本格実施であるため、第3四半期の業績には反映されていない一方、損益面で営業減益となったのは、インフラ・決済基盤の強化など、今後の事業拡大に向けた先行費用によるものであり、当初の計画どおりである
3. 2018年1月期の通期業績予想
2018年1月期の通期業績予想について同社は、第3四半期までの実績や足元の状況等を踏まえ、2017年9月13日付の修正予想を据え置いており、売上高を前期比6.5%増の4,418百万円、営業利益を同19.5%減の1,423百万円と増収減益を見込んでいる業績予想の達成のためには、第4四半期の売上高1,356百万円(前年同期比7.4%増)、営業利益426百万円(同23.2%減)が必要となる弊社では、そもそも第4四半期に偏重する傾向(年末商戦による業績寄与が大きい)があることや、第4四半期に入ってからのマスキャンペーン効果等を勘案すると、同社の業績予想は十分に達成可能な水準と捉えているポイントは、今回初めて試みるショートスパンのマーケティング施策がどのくらいの効果を生み出すのかにあるだろうすなわち、その成果や手応えが、今後の成長性(及び成長スピード)を判断するうえで、重要なレファレンス(判断材料)になるものと注目している
4. 成長戦略
同社の中期戦略の方向性は、「ファッションアイテムと出会い、購入し、そして、使わなくなったアイテムをリセールできる出会いから処分までを一気通貫で提供する」という「BUYMA経済圏」の確立を目指すものであるすなわち、「BUYMA」の成長を軸として、メディア事業(アイテムとの出会い)やリセール事業(使わなくなったアイテムの販売)との連携を強化するともに、更なる関連事業を生み出すことで事業拡大を図る戦略と言える中期目標として、増収増益を基調としながら営業利益50億円の早期実現を目指すまた、海外展開にも積極的に取り組む方針である
弊社では、「BUYMA」の今後の成長性について、認知度の更なる拡大や魅力的な品ぞろえによる訴求はもちろん、ターゲットユーザーの拡大や外部環境(eコマースの拡大やCtoC取引の普及等)の後押しもあることから、国内においても十分に拡大余地があるものとみており、少なくとも同社が当面の到達点としているアクティブ会員数300万人、総取扱高1,000億円の達成は可能であると評価している今後も同社の将来を大きく左右する、1)「BUYMA」自体の成長、2)「BUYMA」を軸とした事業領域の拡大(「BUYMA 経済圏」の確立)、3)「GLOBAL BUYMA(英語版BUYMA)」の進展等をフォローしていきたい
■Key Points
・2018年1月期第3四半期(累計)は増収ながら先行費用等により減益決算
・第2四半期までの流れを引き継ぎ、増収率は緩やかな水準にとどまるも計画どおりの進捗
・新たなマーケティング施策により第4四半期からの成長再加速を目論む
・初めての試みとなるショートスパンのマーケティング施策の効果や手応えに注目
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)