*12:06JST ファンペップ Research Memo(6):皮膚潰瘍向け治療薬は第3相臨床試験の再度実施するか協議中
■ファンペップ (TYO:4881)の主要開発パイプラインの動向
2. SR-0379(皮膚潰瘍)
「SR-0379」は皮膚潰瘍(褥瘡(床ずれ)及び糖尿病性潰瘍)の治療薬として、2021年6月より国内で第3相臨床試験が進められ、2022年11月に速報結果が発表された。
結論から言えば、主要評価項目である「簡単な外科的措置に至るまでの日数」において、プラセボ群と比較して日数を短縮する傾向が見られたものの、統計学的な有意差は得られなかった。
ただ、安全性に関しては治験薬と因果関係のある有害事象もなく、高い安全性が確認されたとしている。
現在の皮膚潰瘍の治療法では、皮膚組織が欠損した場合、感染の疑いがある場合にはまず細菌の付着・増殖を抑えるための治療(消毒剤や抗生物質などを使用)を一定期間施してから、組織再生のための治療(細胞増殖因子の投与)を行う必要があり、長い治療期間を要することが課題となっていた。
「SR-0379」は、創傷治癒促進効果に加えて抗菌作用もあることから、従来よりも治療期間を短縮できる効果が見込まれ、患者のQOL向上につながる治療薬として期待されている。
今回の臨床試験では外科的措置(縫合、植皮、有茎皮弁)が必要な重度な患者(入院患者)120例を対象に、プラセボ対照二重盲検比較試験を実施した。
主要評価項目である「簡単な外科的措置に至るまでの日数」については、統計学的有意差には至らなかったものの、試験データから特定の症例では効果のあることが確認された。
このため、対象患者を絞って再度、第3相臨床試験を実施すれば成功する可能性は高い。
問題は対象を絞り込むことで当初の想定よりも市場規模が小さくなり、ビジネスとして成立するかどうかという点にある。
同社は今後対象患者の設定をPMDAと相談しながら検討する予定で、最終的には契約先の塩野義製薬との協議のうえ第3相臨床試験を再度実施するか決定することになる。
開発継続となれば、2024年にも第3相臨床試験を開始するものと予想される。
皮膚潰瘍は患者や医療現場からも治療期間の短縮に対するニーズが強く、高齢化社会の進展に伴い「寝たきり患者」や糖尿病性皮膚潰瘍患者が増加傾向にあることからも社会ニーズにマッチした製品と言える。
「SR-0379」は誰にでも使えるスプレー式でベッドサイドに置けるため、安定性や利便性の面でもメリットがある。
同社では各種統計データから、皮膚潰瘍患者数を国内で約100万人(褥瘡約20万人、糖尿病性潰瘍約80万人)、米国で約230万人(褥瘡約50万人、糖尿病性潰瘍約180万人)と試算しており、糖尿病性潰瘍患者の何割程度を対象に含めることができるかが、開発継続のカギを握ることになる。
現在、皮膚潰瘍治療薬としては軟膏タイプのものから湿布、スプレータイプのものまで様々なものがあるが、スプレータイプの治療薬となる「フィブラストスプレー(科研製薬 (TYO:4521))」は薬価が約7千円/瓶で、国内売上は約27億円(2023年3月期実績)である。
すべての皮膚潰瘍患者で利用されることになれば、国内だけで潜在市場は約100億円程度となるが、適応対象範囲を絞り込む必要があるため市場規模は当初想定よりも小さくなる。
今後のPMDAとの協議により、既存薬を上回る需要が見込めると判断した場合には開発を継続するものと弊社では見ている。
なお、塩野義製薬と締結した全世界を対象としたライセンス契約では、契約総額(契約一時金、開発マイルストーン、販売マイルストーンの合計)が100億円となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
2. SR-0379(皮膚潰瘍)
「SR-0379」は皮膚潰瘍(褥瘡(床ずれ)及び糖尿病性潰瘍)の治療薬として、2021年6月より国内で第3相臨床試験が進められ、2022年11月に速報結果が発表された。
結論から言えば、主要評価項目である「簡単な外科的措置に至るまでの日数」において、プラセボ群と比較して日数を短縮する傾向が見られたものの、統計学的な有意差は得られなかった。
ただ、安全性に関しては治験薬と因果関係のある有害事象もなく、高い安全性が確認されたとしている。
現在の皮膚潰瘍の治療法では、皮膚組織が欠損した場合、感染の疑いがある場合にはまず細菌の付着・増殖を抑えるための治療(消毒剤や抗生物質などを使用)を一定期間施してから、組織再生のための治療(細胞増殖因子の投与)を行う必要があり、長い治療期間を要することが課題となっていた。
「SR-0379」は、創傷治癒促進効果に加えて抗菌作用もあることから、従来よりも治療期間を短縮できる効果が見込まれ、患者のQOL向上につながる治療薬として期待されている。
今回の臨床試験では外科的措置(縫合、植皮、有茎皮弁)が必要な重度な患者(入院患者)120例を対象に、プラセボ対照二重盲検比較試験を実施した。
主要評価項目である「簡単な外科的措置に至るまでの日数」については、統計学的有意差には至らなかったものの、試験データから特定の症例では効果のあることが確認された。
このため、対象患者を絞って再度、第3相臨床試験を実施すれば成功する可能性は高い。
問題は対象を絞り込むことで当初の想定よりも市場規模が小さくなり、ビジネスとして成立するかどうかという点にある。
同社は今後対象患者の設定をPMDAと相談しながら検討する予定で、最終的には契約先の塩野義製薬との協議のうえ第3相臨床試験を再度実施するか決定することになる。
開発継続となれば、2024年にも第3相臨床試験を開始するものと予想される。
皮膚潰瘍は患者や医療現場からも治療期間の短縮に対するニーズが強く、高齢化社会の進展に伴い「寝たきり患者」や糖尿病性皮膚潰瘍患者が増加傾向にあることからも社会ニーズにマッチした製品と言える。
「SR-0379」は誰にでも使えるスプレー式でベッドサイドに置けるため、安定性や利便性の面でもメリットがある。
同社では各種統計データから、皮膚潰瘍患者数を国内で約100万人(褥瘡約20万人、糖尿病性潰瘍約80万人)、米国で約230万人(褥瘡約50万人、糖尿病性潰瘍約180万人)と試算しており、糖尿病性潰瘍患者の何割程度を対象に含めることができるかが、開発継続のカギを握ることになる。
現在、皮膚潰瘍治療薬としては軟膏タイプのものから湿布、スプレータイプのものまで様々なものがあるが、スプレータイプの治療薬となる「フィブラストスプレー(科研製薬 (TYO:4521))」は薬価が約7千円/瓶で、国内売上は約27億円(2023年3月期実績)である。
すべての皮膚潰瘍患者で利用されることになれば、国内だけで潜在市場は約100億円程度となるが、適応対象範囲を絞り込む必要があるため市場規模は当初想定よりも小さくなる。
今後のPMDAとの協議により、既存薬を上回る需要が見込めると判断した場合には開発を継続するものと弊社では見ている。
なお、塩野義製薬と締結した全世界を対象としたライセンス契約では、契約総額(契約一時金、開発マイルストーン、販売マイルストーンの合計)が100億円となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)