[北京 1日 ロイター] - 欧米自動車大手フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA) (MI:FCHA)と仏グループPSA(旧プジョー・シトロエン・グループ) (PA:PEUP)は対等合併で合意したが、中国市場で両社の問題が直ちに解決される可能性は低い。両社とも現地に適した車種を適正価格で販売するのに、長年苦戦しているためだ。アナリストらが語った。
FCAとPSAは合併により、生産台数ベースで世界4位の自動車グループとなる。ただ、規模の面のみで中国での競争力向上は望めない。両社は中国市場でトレンドに対応し、消費者を取り込むのに遅れ、独フォルクスワーゲン (DE:VOWG_p)や米ゼネラル・モーターズ(GM) (N:GM)など競合相手に大きく水をあけられている。
アナリストによると、PSAは競争力のあるスポーツ用多目的車(SUV)が十分ではない。また、同社とFCAのいずれも、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車、中国市場で好まれるハイテク機能満載の車種の品ぞろえに劣る。
調査会社LMCオートモーティブによると、2018年の中国の新車販売台数は約2800万台だったものの、FCAは15万5215台、PSAは25万7723台にとどまった。9月末時点の中国乗用車市場におけるシェアは、FCAが0.5%、PSAが0.6%。
アナリスト筋は、車種のラインアップが中国市場の好みにマッチし、価格が手ごろな日本や地元のブランドによって圧迫されていると分析している。
上海に拠点を置く調査会社オートモビリティーのトップで、米クライスラーでアジア担当役員を務めた経験を持つビル・ルッソ氏は「両社(FCAとPSA)はいずれも本国市場を非常に重視しており、中国市場の嗜好(しこう)の変化に適応できていない。カーシェアリングやコネクテッドカー(つながる車)、EVに向かう流れを認識した対応を実行していない」と指摘した。