[ニューヨーク 30日 ロイター] - 海外経済の回復懸念や米政局の不透明感から株式市場が不安定化した9月、ドル相場は反発し、金や円をしのぐ安全資産としての地位を示した。
ドル指数は9月1日から29日までに約2%上昇し、月間上昇率は過去1年2カ月で最高に達する勢いとなった。
これに対し、金
ドル反発の背景にはいくつかの要因がある。ドルは3月の高値から8%下落。このため8月に過去最高値を更新した金などに比べ割安感が出ていた。また円の安全資産としての地位は、コロナ禍を受けた世界的な金利低下で優位性が損なわれた可能性がある。
ニューバーガー・バーマンのサノス・バーダス氏は「ドルの反発は、世界的なリスク許容度低下に対する資本市場の反応と関係がある」と言う。
ここ数カ月、ドルの魅力低下につながっていた多くの要因が消えている様子もある。欧州では新型コロナウイルスの感染拡大が加速し、ユーロを押し上げていた景気回復期待が脅かされている。英国では「秩序無き」欧州連合(EU)離脱への懸念がポンドを圧迫している。
加えて、英国とオーストラリアでマイナス金利政策導入の思惑が広がったことも、一部の投資家にとって両国通貨の魅力を失わせた。もっとも、マイナス金利導入の可能性はまだ小さそうだ。
米国では大統領選を巡る不透明感と、年内に議会が景気対策で合意する可能性の低下が、安全資産への需要をあおった。
BCAリサーチのチェスター・ノトニフォー氏は、株式市場の変動率が上がった時や、外為市場が長い安定期を経て荒れた時、ドルは上昇する傾向があると指摘。
ドイツ銀行が算出する外為市場全体のボラティリティー(変動率)<.DBCVIX>は29日時点で8.4と、7月末の5.93から跳ね上がっている。
一方、市場が落ち着きを取り戻せばドルは再び下落するとみて、ドルを売って利益を確定したり、ドル売りポジションを組む市場参加者もいる。
BNPアセット・マネジメントのモムチル・ポジャリエフ氏は「私はこれまでドル強気派だった。しかし今は、だれもが買っているこの機をとらえてドルを売っている」と話した。
アムンディ・パイオニア・アセット・マネジメントのパレシュ・ウパドヤヤ氏は、空売り筋の踏み上げがドル高の追い風になっていると指摘。しかし「これはドル安基調を長引かせるのに必要な健全な調整だ」と考え、ドル安を見込んでユーロとチェココルナの買いを増やしたという。
(Gertrude Chavez-Dreyfuss記者)
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