[東京 27日 ロイター] - 日銀が27日公表した2月の企業向けサービス価格指数速報は107.6となり、前年比1.8%上昇。1月の1.6%上昇を上回った。旅行需要が押し上げ要因となった。
前年比上昇率の前月対比の押し上げに最も寄与したのは「諸サービス」で2.3%上昇。1月は2.0%上昇だった。中でも「宿泊サービス」は30.1%上昇となり、1月の18.7%上昇を大きく上回った。政府の「全国旅行支援」で需要が喚起され、インバウンド需要の回復も続く中、「さっぽろ雪まつり」などコロナ禍で縮小していた各地のイベントが再開し、押し上げにつながった。
日銀の担当者によると、全国旅行支援を除くと企業向けサービス価格指数の伸び率は1.9%程度になっていたという。国際運輸除く企業向けサービス価格指数は1.7%上昇で、2020年2月以来の伸び率。旅行需要の高まりが押し上げにつながっているという。
<人件費、じわじわと転嫁の動き>
「諸サービス」のうち、「労働者派遣サービス」は1.5%上昇、「建物サービス」は1.2%上昇となった。「労働者派遣サービス」のうち、専門技術者派遣ではソフトウエア開発向けや情報処理技術者で高単価な取引が見られたほか、「建物サービス」の清掃では人件費等の上昇を転嫁する動きが聞かれたという。
日銀の担当者は、人件費の価格転嫁の動きについて、財価格のように分かりやすくコストが上昇している状況にはなく、企業物価指数のように転嫁がスムーズに進むところまでは来ていないが「じわじわと転嫁が広がってきている」と指摘。さらに広がりが出ていくのかしっかりみていきたいとした。
公表している146品目のうち、前年比で上昇したのは97品目、下落したのは18品目。
(和田崇彦)