[日経平均株価・TOPIX(表)]日経平均;22792.76;+76.91TOPIX;1579.88;+3.19[後場の投資戦略] 本日の東京株式市場は米国株がハイテク関連を中心に反発した流れを引き継いだ。
とはいえ、ソフトバンクGや第一三共といった値がさ株の日経平均押し上げ効果が大きく(この2銘柄で約71円押し上げ)、前引け時点での上昇率は日経平均の0.34%に対し、東証株価指数(TOPIX)は0.20%となっている。
時価総額上位の自動車株や銀行株は全般にやや軟調。
業種別騰落率は方向感に乏しい。
東証1部全体では値下がり銘柄の方が多く、ここまでの東証1部売買代金は9000億円にも届かず低調だ。
これから主要企業の決算発表が本格化してくるため、株式市場全体としては積極的な売買を手控えるムードが出てくるのはやむを得ないだろう。
本日は東エレクのほか、信越化 (T:4063)、オムロン (T:6645)、ファナック (T:6954)、日産自 (T:7201)、HOYA (T:7741)、キヤノン (T:7751)などが決算発表を予定している。
米国でもアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)など多くの企業の決算発表が予定されているうえ、明日29日にかけて米連邦公開市場委員会(FOMC)が開かれる。
金融政策は現状維持との見方が大勢だが、新型コロナの再拡大を受けてゼロ金利政策が長期化するとの観測が広がっている。
追加経済対策に伴う国債増発懸念がくすぶるなかでも米長期金利が低位推移し、株価バリュエーションの高いグロース(成長)株の株価下支えとなる一方、日米金利差縮小の思惑から為替が円高傾向に振れ、自動車等の主力輸出株にとっては逆風となりそうだ。
パウエル米連邦準備理事会(FRB)が経済の先行きや今後の金融政策についてどのような認識を示すか注視したい。
このように様子見ムードの強い市場環境だが、決算以外の材料も加わって、第一三共のように個別銘柄の値動きは大きくなっている。
期初時点で今期の業績予想を非開示とした企業が多く、新型コロナを巡る情勢は足元でも流動的。
株式市場はこれまで新型コロナの影響を強く織り込んできたが、それでも4-6月期決算を受けて今後の見通しを修正する余地が大きいのだろう。
主力株の値幅が大きくなると、通常値動きの大きい中小型株には物色が向かいづらくなる。
新興市場ではマザーズ指数が3日続落。
新興ハイテク株への根強い期待を支えに大きく値を崩すことはないだろうが、目先は売買が盛り上がりにくくなるとみておきたい。
前日の先物手口を見ると、日経平均先物でクレディ・スイス証券、TOPIX先物でモルガン・スタンレーMUFG証券といった外資系証券が買い越しとなっていた。
日銀による上場投資信託(ETF)買い入れとともに、株価指数先物を売り持ちしていた海外勢の買い戻しが株式相場全体の下支えとして機能するだろう。
個別株でも東エレクのように信用売り残が信用買い残を上回る「売り長」の銘柄が多く、大方の投資家にとって意外な底堅さにつながっていると考えられる。
しかし、やはりコロナ禍中の決算は強弱がはっきり分かれており、日経平均も積極的に上値を追う展開とはなりづらいだろう。
当面は個別株物色中心の相場展開となり、日経平均はもみ合い推移すると考えられる。
(小林大純)