[マラケシュ 11日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)理事会メンバー2人は、ECBはインフレ率の目標回帰に向け大きく前進したとして、利上げ終了の可能性を示唆した一方、新たなショックを受けてECBは引き締めサイクルを継続する必要がまだあるかもしれないとの見解を示した。
クノット・オランダ中銀総裁は11日、「インフレ率を目標に戻すために重要な進歩を遂げたが、まだ前途は長く険しい」と指摘。「現時点で政策は良好な状態にあると確信している」とした上で「われわれは警戒を怠らず、ディスインフレのプロセスが停滞した場合には金利をさらに調整する用意がある」と語った。
ECBは2025年までにインフレ率を目標に戻す「確かな見通し」を持っているとした。
ユーロ圏では製造業がリセッション(景気後退)に陥りサービス業も困難に直面しつつあるため、経済の停滞期にあるとの見方を示した。
「現在経験している経済の冷え込みはある意味では望ましいことでもある」と述べ、成長が鈍化すれば需要が減少しインフレ抑制につながると指摘した。
中期的には見通しは明るく、成長率は回復する可能性が高いと述べた。
またデコス・スペイン中銀総裁は、一部で懸念されている基調的なインフレ率でさえも曲がり角を迎えており、今は当面金利を据え置き、その後利下げに転じるのが理に適ったシナリオと言及。「市場は現行の金利を十分な期間にわたって現行(の設定)に維持する必要があるかもしれないと解釈しているが、金利低下も想定している。これは私にとってわれわれが責務を果たすという市場の確信のようなものだ」とした。
ただ、経済見通しを巡る不確実性が特に高まっていることから、新たなショックが生じる可能性があり、異なる決断が必要になるだろうとした。
さらに短期的な見通しが非常に弱く、第3・四半期がマイナス成長になる可能性があるが、実質所得の回復が来年の景気回復をけん引するとした。