(決算速報)
マーチャント・バンカーズ<3121>(東証スタンダード)は8月10日の取引時間終了後に23年3月期第1四半期連結業績を発表した。前年同期の収益不動産売却益の反動で全体として大幅減収・赤字だが、この要因を除けば概ね順調だった。そして通期大幅増益予想を据え置いた。マーチャント・バンキング事業の成長が牽引する見込みだ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。なお自己株式取得も発表している。株価は安値圏の小幅レンジでモミ合う形だが下値固め完了感を強めている。目先的には第1四半期業績を嫌気する動きが優勢になる可能性もあるが、自己株式取得も評価して下値限定的だろう。
■23年3月期1Qが前年の反動で赤字だが通期大幅増益予想据え置き
23年3月期第1四半期連結業績は、売上高が前年同期比74.7%減の3億11百万円、営業利益が25百万円の赤字(前年同期は3億01百万円の黒字)、経常利益が37百万円の赤字(同2億87百万円の黒字)、親会社株主帰属四半期純利益が40百万円の赤字(同2億17百万円の黒字)だった。マーチャント・バンキング事業における前年同期の収益不動産売却益の反動で全体として大幅減収・赤字だが、この要因を除けば概ね順調だった。
マーチャント・バンキング事業は売上高が84.8%減の1億62百万円、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が92.0%減の30百万円だった。前年同期の国内および海外企業からの投資収益、収益不動産の一部売却の反動で大幅減収減益だが、賃貸用不動産から得られる賃貸収入は安定的に推移した。
オペレーション事業は売上高が8.1%減の1億56百万円、利益が15百万円の赤字(前年同期は16百万円の赤字)だった。コロナ禍の影響で減収・赤字だが、行動制限の緩和によって各事業の業績は持ち直し傾向となっている。
通期連結業績予想は据え置いて、売上高が22年3月期比1.1%増の27億50百万円、営業利益が49.2%増の5億円、経常利益が64.4%増の3億60百万円、親会社株主帰属当期純利益が3.3倍の2億30百万円としている。配当予想は22年3月期と同額の2円(期末一括)としている。
事業環境として、コロナ禍の影響が和らいで下期以降に経済活動の回復を見込んでいる。そしてマーチャント・バンキング事業の成長が牽引し、オペレーション事業におけるホテルオペレーション撤退などの影響を吸収して大幅増益予想としている。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。
なお自己株式取得も発表している。上限26万株・65百万円で取得期間は22年8月12日~22年12月30日としている。
■株価は下値固め完了
株価は安値圏の小幅レンジでモミ合う形だが下値固め完了感を強めている。目先的には第1四半期の業績を嫌気する動きが優勢になる可能性もあるが、自己株式取得も評価して下値限定的だろう。8月10日の終値は281円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS7円80銭で算出)は約36倍、今期予想配当利回り(会社予想の2円で算出)は約0.7%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS136円39銭で算出)は約2.1倍、そして時価総額は約83億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)