[上海 3日 ロイター] - 米シンクタンク、グローバル・エナジー・モニター(GEM)によると、世界では現在432件の新たな石炭プロジェクトが計画されている。
新規プロジェクトの年間生産能力は、合計22億8000万トンで、GEMは気候変動対策に逆行する動きだとしている。
新規プロジェクトの4分の3以上は、中国、オーストラリア、インド、ロシアで計画されている。新規プロジェクトの年間生産能力は、中国だけで4億5200万トンという。
GEMのリサーチアナリスト、ライアン・ドリスケル・テート氏は「国際エネルギー機関(IEA)が、排出量実質ゼロに向けて大きく前進することを呼び掛けたばかりだが、石炭会社は2030年までに生産能力を30%拡大することを計画している。これは大きな後退になる」と述べた。
中国の内モンゴル自治区、新疆ウイグル自治区、陝西省、山西省で計画されている新規プロジェクトの生産能力は、世界全体の4分の1近くを占めるという。
中国は2060年までに二酸化炭素の排出量を実質ゼロにする目標を掲げている。習近平国家主席は今年、石炭生産の削減を始める意向を示したが、削減は2026年以降になるとしている。
GEMは、新規プロジェクトにより、企業が最大910億ドルの座礁資産を抱えるリスクがあると推計している。
同氏は「石炭の需要は急激に減少しており、新規の石炭プロジェクトへの融資も中止されつつある」とし「(新規の石炭プロジェクトは)石炭が経済的に存続不可能で、環境上、擁護できないものになる世界で、石炭を生産することになる」と述べた。