■業績見通し
2019年3月期の業績予想についてサン電子 (T:6736)は、レンジ形式での予想開示を採用しており、売上高を24,500百万円(前期比6.8%減)~25,500百万円(同3.0%減)、営業損失を1,100百万円~200百万円(前期は1,074百万円の損失)、経常損失を1300百万円~400百万円(同1,102百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純損益を650百万円の損失~250百万円の利益(同1,293百万円の損失)と見込んでいる。
売上高は、引く続きDIが大きく拡大するほか、新規事業(AR関連及びVRゲームコンテンツ)についても下期での売上計上を見込んでいるものの、MLCの事業譲渡(第1四半期末を予定)の影響やエンターテインメント関連の落ち込みにより、売上高全体では減収となる見通しである。
なお、レンジ形式の予想開示となっているのは、1)エンターテインメント関連について、業界環境が非常に厳しい上、遊技機メーカーへの規則改正による影響が不透明であること、2)新規IT関連については、新しい分野への挑戦であり、新製品・サービスの開発の進捗及びリリース後の受注に不透明さが残ることが理由である。
一方、損益面では、新規事業にかかる先行費用が継続するとともに、エンターテインメント関連の落ち込みが利益を押し下げる要因となるものの、売上高の拡大とともに下期に向けて損益改善が進むシナリオであり、レンジ上限値で着地すれば最終黒字転換を実現する見通しとなっている。
なお、MLCの事業譲渡に伴う譲渡益として700百万円を見込んでいる。
● 各事業別の売上高予想とその前提
(1) モバイルデータソリューション
売上高は前期比1.5%増の15,610百万円と増収を見込んでいる。
MLCの事業譲渡(第1四半期末)が大きなマイナス要因となるものの、世界的に需要が拡大しているDIが同20.4%増と大きく拡大することによりわずかながら増収を確保する見込みである。
(2) エンターテインメント関連
売上高は6,436百万円(前期比28.0%減)~6,828百万円(同23.6%減)と減収を見込んでいる。
規則改正等の影響により、先行き不透明感の漂う厳しい業界環境が続いていることを考慮し、大幅な減収減益を想定している。
なお、レンジ下限値は損益分岐点の水準となっているようだ。
(3) 新規IT関連
売上高は1,837百万円(前期比22.1%増)~2,347百万円(同56.0%増)と増収を見込んでいる。
レンジ上限値は、AR関連「AceReal」の下期での販売開始を含め、各事業が順調に進捗するシナリオとなっており、弊社推定によれば、M2Mで約20億円、「AceReal」で3億円弱、残りをO2Oソリューションで構成する内訳とみられる。
ただ、「AceReal」を始め、依然として投資フェーズにあるため、損益面では費用先行の状態が続く見通しである。
また、レンジ下限値は、「AceReal」の開発遅延(売上計上なし)の可能性などを保守的に見込むシナリオとなっているようだ。
(4) その他
売上高は617百万円(前期比32.2%増)~715百万円(同52.9%増)と増収を見込んでいる。
レンジ上限値は、スマートフォン向けコンテンツの新規タイトルの販売と既存タイトルの運営による収益の伸びに加えて、下期での販売開始を予定しているVRゲームコンテンツ「DARK ECLIPSE」が順調に立ち上がるシナリオとなっている。
半面、レンジ下限値は、「DARK ECLIPSE」がうまく立ち上がらなかった場合を想定しているようだ。
以上から、弊社では、レンジ下限値は想定されるリスク要因を織り込んだ保守的な水準として捉えており、レンジ内での着地は十分に可能であると判断している。
したがって、いかに上限値に近いところで着地できるかが注目点になるとみている。
なお、1)「AceReal」やVRゲームコンテンツの販売開始が下期となっていることや、2)それに伴って、上期は開発投資が継続すること、3)モバイルデータソリューションの需要期がDIの主要市場である米国や欧州の犯罪捜査機関の予算執行の集中する下期となっていることから、下期偏重の業績予想となっていることには注意が必要である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
2019年3月期の業績予想についてサン電子 (T:6736)は、レンジ形式での予想開示を採用しており、売上高を24,500百万円(前期比6.8%減)~25,500百万円(同3.0%減)、営業損失を1,100百万円~200百万円(前期は1,074百万円の損失)、経常損失を1300百万円~400百万円(同1,102百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純損益を650百万円の損失~250百万円の利益(同1,293百万円の損失)と見込んでいる。
売上高は、引く続きDIが大きく拡大するほか、新規事業(AR関連及びVRゲームコンテンツ)についても下期での売上計上を見込んでいるものの、MLCの事業譲渡(第1四半期末を予定)の影響やエンターテインメント関連の落ち込みにより、売上高全体では減収となる見通しである。
なお、レンジ形式の予想開示となっているのは、1)エンターテインメント関連について、業界環境が非常に厳しい上、遊技機メーカーへの規則改正による影響が不透明であること、2)新規IT関連については、新しい分野への挑戦であり、新製品・サービスの開発の進捗及びリリース後の受注に不透明さが残ることが理由である。
一方、損益面では、新規事業にかかる先行費用が継続するとともに、エンターテインメント関連の落ち込みが利益を押し下げる要因となるものの、売上高の拡大とともに下期に向けて損益改善が進むシナリオであり、レンジ上限値で着地すれば最終黒字転換を実現する見通しとなっている。
なお、MLCの事業譲渡に伴う譲渡益として700百万円を見込んでいる。
● 各事業別の売上高予想とその前提
(1) モバイルデータソリューション
売上高は前期比1.5%増の15,610百万円と増収を見込んでいる。
MLCの事業譲渡(第1四半期末)が大きなマイナス要因となるものの、世界的に需要が拡大しているDIが同20.4%増と大きく拡大することによりわずかながら増収を確保する見込みである。
(2) エンターテインメント関連
売上高は6,436百万円(前期比28.0%減)~6,828百万円(同23.6%減)と減収を見込んでいる。
規則改正等の影響により、先行き不透明感の漂う厳しい業界環境が続いていることを考慮し、大幅な減収減益を想定している。
なお、レンジ下限値は損益分岐点の水準となっているようだ。
(3) 新規IT関連
売上高は1,837百万円(前期比22.1%増)~2,347百万円(同56.0%増)と増収を見込んでいる。
レンジ上限値は、AR関連「AceReal」の下期での販売開始を含め、各事業が順調に進捗するシナリオとなっており、弊社推定によれば、M2Mで約20億円、「AceReal」で3億円弱、残りをO2Oソリューションで構成する内訳とみられる。
ただ、「AceReal」を始め、依然として投資フェーズにあるため、損益面では費用先行の状態が続く見通しである。
また、レンジ下限値は、「AceReal」の開発遅延(売上計上なし)の可能性などを保守的に見込むシナリオとなっているようだ。
(4) その他
売上高は617百万円(前期比32.2%増)~715百万円(同52.9%増)と増収を見込んでいる。
レンジ上限値は、スマートフォン向けコンテンツの新規タイトルの販売と既存タイトルの運営による収益の伸びに加えて、下期での販売開始を予定しているVRゲームコンテンツ「DARK ECLIPSE」が順調に立ち上がるシナリオとなっている。
半面、レンジ下限値は、「DARK ECLIPSE」がうまく立ち上がらなかった場合を想定しているようだ。
以上から、弊社では、レンジ下限値は想定されるリスク要因を織り込んだ保守的な水準として捉えており、レンジ内での着地は十分に可能であると判断している。
したがって、いかに上限値に近いところで着地できるかが注目点になるとみている。
なお、1)「AceReal」やVRゲームコンテンツの販売開始が下期となっていることや、2)それに伴って、上期は開発投資が継続すること、3)モバイルデータソリューションの需要期がDIの主要市場である米国や欧州の犯罪捜査機関の予算執行の集中する下期となっていることから、下期偏重の業績予想となっていることには注意が必要である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)