■中期経営計画と成長戦略
(1)現中期経営計画の概要と進捗状況
城南進学研究社 (T:4720)を取り巻く事業環境は厳しい状況が続いている。
少子化という大波に加えて、受験市場におけるサービスの多様化、大学入試におけるAO・推薦入試の拡大、など様々な波が同社を含めた塾・予備校業界を揺さぶっている状況だ。
前述のように同社は、そうした厳しい環境に対してトレンドを先取りし、収益構造を柔軟に変えることで対応してきた。
それを良く表しているのがサービス別の生徒数の構成比の変化だ。
2005年においては予備校が84.3%を占めていたが、2016年には予備校の比率は20.6%に低下し、代わって個別指導が70.7%に上昇している。
映像授業(マナビス)も8.7%にまで高まってきている。
さらに重要なことは、直近3年間で見た場合、総生徒数が増加トレンドを歩んでいる点だ。
局所的ではあるが、少子化の大波のなかで生徒数増加を一定期間持続できている点はポジティブに評価できるだろう。
この3年間は、同社が2015年3月期−2017年3月期の3ヶ年中期経営計画に取り組んでいる3年間でもある。
同社は1)社会環境の変化に応じた成長戦略の推進、2)事業の再構築とシナジー効果の追求、3)顧客満足度(CS)の向上を軸としたブランドの構築、の3点を基本戦略とし、それぞれの項目をさらに深堀りする形で、様々な施策を実行してきた。
弊社では、同社の強みは、小回りの利く事業規模や、それを生かせる経営のフレキシビリティと意思決定の速さ、顧客満足度重視の経営哲学、などにあると考えている。
そうした強みが、現行中期経営計画の中でも十分発揮され、「城南AO推薦塾」開講から始まってeラーニング「デキタス」の導入など、様々な施策が実行された。
久ケ原スポーツクラブの子会社化で参入したスポーツ事業も、今後の発展可能性が当初想定していたものよりも大きくなる可能性が出てきている。
また、今中期経営計画の特筆すべき点に、ICT(Information and Communication Technology、情報通信技術)の積極的活用が挙げられる。
同社は従来からマナビスを始めとして各種デジタル教材を活用してきたが、今中計では教育のICT化を1つのテーマとして掲げ、マナビス事業の拡大や電子黒板を活用した授業「@Active Loop」、eラーニング教材「デキタス」など各種デジタル教材の投入を行った。
これらデジタル教材は後述するように新たな成長戦略の一翼を担うと期待されている。
業績面の進捗状況を見ると、売上高は計画を大きく上回り、また利益面でも計画に対して超過達成をしてきた。
最終年度の2017年3月期についても、今回発表された期初業績予想は、中期経営計画の業績計画に対して売上高は322百万円上回っている。
利益面では営業利益で15百万円、経常利益で30百万円がそれぞれ中期経営計画の業績計画に対して未達となる予想となっている。
この点については、後述するように、超過達成の可能性はあると弊社では考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
(1)現中期経営計画の概要と進捗状況
城南進学研究社 (T:4720)を取り巻く事業環境は厳しい状況が続いている。
少子化という大波に加えて、受験市場におけるサービスの多様化、大学入試におけるAO・推薦入試の拡大、など様々な波が同社を含めた塾・予備校業界を揺さぶっている状況だ。
前述のように同社は、そうした厳しい環境に対してトレンドを先取りし、収益構造を柔軟に変えることで対応してきた。
それを良く表しているのがサービス別の生徒数の構成比の変化だ。
2005年においては予備校が84.3%を占めていたが、2016年には予備校の比率は20.6%に低下し、代わって個別指導が70.7%に上昇している。
映像授業(マナビス)も8.7%にまで高まってきている。
さらに重要なことは、直近3年間で見た場合、総生徒数が増加トレンドを歩んでいる点だ。
局所的ではあるが、少子化の大波のなかで生徒数増加を一定期間持続できている点はポジティブに評価できるだろう。
この3年間は、同社が2015年3月期−2017年3月期の3ヶ年中期経営計画に取り組んでいる3年間でもある。
同社は1)社会環境の変化に応じた成長戦略の推進、2)事業の再構築とシナジー効果の追求、3)顧客満足度(CS)の向上を軸としたブランドの構築、の3点を基本戦略とし、それぞれの項目をさらに深堀りする形で、様々な施策を実行してきた。
弊社では、同社の強みは、小回りの利く事業規模や、それを生かせる経営のフレキシビリティと意思決定の速さ、顧客満足度重視の経営哲学、などにあると考えている。
そうした強みが、現行中期経営計画の中でも十分発揮され、「城南AO推薦塾」開講から始まってeラーニング「デキタス」の導入など、様々な施策が実行された。
久ケ原スポーツクラブの子会社化で参入したスポーツ事業も、今後の発展可能性が当初想定していたものよりも大きくなる可能性が出てきている。
また、今中期経営計画の特筆すべき点に、ICT(Information and Communication Technology、情報通信技術)の積極的活用が挙げられる。
同社は従来からマナビスを始めとして各種デジタル教材を活用してきたが、今中計では教育のICT化を1つのテーマとして掲げ、マナビス事業の拡大や電子黒板を活用した授業「@Active Loop」、eラーニング教材「デキタス」など各種デジタル教材の投入を行った。
これらデジタル教材は後述するように新たな成長戦略の一翼を担うと期待されている。
業績面の進捗状況を見ると、売上高は計画を大きく上回り、また利益面でも計画に対して超過達成をしてきた。
最終年度の2017年3月期についても、今回発表された期初業績予想は、中期経営計画の業績計画に対して売上高は322百万円上回っている。
利益面では営業利益で15百万円、経常利益で30百万円がそれぞれ中期経営計画の業績計画に対して未達となる予想となっている。
この点については、後述するように、超過達成の可能性はあると弊社では考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)