■千葉銀行 (T:8331)の決算動向
(1)銀行決算を見るポイント
一般の事業会社の売上高と営業外収益を足し合わせたものが「経常収益」と呼ばれるもので、貸出金利息や有価証券利息配当金等の資金運用収益や各種手数料収入などによって構成されている。
そこから、資金利息等の資金調達費用や経費、与信関係費用(貸倒引当金繰入額や不良債権処理額)などの「経常費用」を差し引いたものが「経常利益」となっている。
ただし、銀行本来の収益力を判断する上で重要となるのは、「業務粗利益」及び「業務純益」と呼ばれる指標である。
「業務粗利益」は、一般の事業会社の売上総利益に相当するもので、「資金利益(貸出及び有価証券等による運用収益から預金等による調達原価を差し引いた利鞘収益)」と「役務取引等利益(送金や各種金融商品の販売等に関する手数料収益等)」、「特定取引利益(トレーディング目的による有価証券等の市場取引やデリバティブ取引から生じた損益)」、「その他業務利益(外国為替売買損益、国債や株式の売買損益等)」で構成される。
また、「業務粗利益」から「経費」と「与信費用の一部(一般貸倒引当金繰入額)」を差し引いたものが「業務純益」となる。
また、「コア業務純益」とは、一般貸倒引当金繰入前の業務純益から国債等債券売買損益を除いたものである。
「業務粗利益」を稼ぐためには、その大部分を占める「資金利益」の重要性が最も大きい。
「資金利益」を増やすためには、預貸金残高をバランスよく増加させるか、預貸金利ざやの拡大を図ることがポイントとなるため、その両面に注目する必要がある。
一方、「資金利益」に依存せずに「業務粗利益」を増やす手段として各行が注力しているのが「役務取引等利益」の拡大である。
これは信用リスクを伴わない収益源として魅力があり、送金や事務手数料のほか、銀行窓口で取扱いが可能となった投資信託や各種保険商品など預かり資産による手数料収入が含まれている。
また、同行を含めてほぼすべての地銀がそうであるが、預金残高が貸出金残高を上回ることによる余剰資金が発生しており、そのほとんどを有価証券で運用しているため、運用パフォーマンス(受取利息や配当金等による有価証券利回りのほか、売却損益や評価損益の状況等)も注意すべき項目である。
特に最近の傾向として、貸出金利回りの低下(預貸金利ざやの縮小)に伴う「資金利益」の減少を、国債及び株式の売却益や過去に積み増した貸倒引当金の戻入益によってカバーする構造が業界全体でみられるため、収益の増減要因を正確に読み取る必要がある。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
(1)銀行決算を見るポイント
一般の事業会社の売上高と営業外収益を足し合わせたものが「経常収益」と呼ばれるもので、貸出金利息や有価証券利息配当金等の資金運用収益や各種手数料収入などによって構成されている。
そこから、資金利息等の資金調達費用や経費、与信関係費用(貸倒引当金繰入額や不良債権処理額)などの「経常費用」を差し引いたものが「経常利益」となっている。
ただし、銀行本来の収益力を判断する上で重要となるのは、「業務粗利益」及び「業務純益」と呼ばれる指標である。
「業務粗利益」は、一般の事業会社の売上総利益に相当するもので、「資金利益(貸出及び有価証券等による運用収益から預金等による調達原価を差し引いた利鞘収益)」と「役務取引等利益(送金や各種金融商品の販売等に関する手数料収益等)」、「特定取引利益(トレーディング目的による有価証券等の市場取引やデリバティブ取引から生じた損益)」、「その他業務利益(外国為替売買損益、国債や株式の売買損益等)」で構成される。
また、「業務粗利益」から「経費」と「与信費用の一部(一般貸倒引当金繰入額)」を差し引いたものが「業務純益」となる。
また、「コア業務純益」とは、一般貸倒引当金繰入前の業務純益から国債等債券売買損益を除いたものである。
「業務粗利益」を稼ぐためには、その大部分を占める「資金利益」の重要性が最も大きい。
「資金利益」を増やすためには、預貸金残高をバランスよく増加させるか、預貸金利ざやの拡大を図ることがポイントとなるため、その両面に注目する必要がある。
一方、「資金利益」に依存せずに「業務粗利益」を増やす手段として各行が注力しているのが「役務取引等利益」の拡大である。
これは信用リスクを伴わない収益源として魅力があり、送金や事務手数料のほか、銀行窓口で取扱いが可能となった投資信託や各種保険商品など預かり資産による手数料収入が含まれている。
また、同行を含めてほぼすべての地銀がそうであるが、預金残高が貸出金残高を上回ることによる余剰資金が発生しており、そのほとんどを有価証券で運用しているため、運用パフォーマンス(受取利息や配当金等による有価証券利回りのほか、売却損益や評価損益の状況等)も注意すべき項目である。
特に最近の傾向として、貸出金利回りの低下(預貸金利ざやの縮小)に伴う「資金利益」の減少を、国債及び株式の売却益や過去に積み増した貸倒引当金の戻入益によってカバーする構造が業界全体でみられるため、収益の増減要因を正確に読み取る必要がある。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)