■会社概要
(3)トーセイ (T:8923)の特色・強み
a)東京経済圏にエリア特化し、中小規模物件を主要ターゲットとする
事業エリアを東京経済圏(東京を中心に神奈川、埼玉、千葉)に特化しており、棚卸資産の約6割が東京23区内に所在している。
東京経済圏は、世界主要都市の中で経済規模が最大で、収益不動産のストック量、流動性の高さ、オフィスやレジデンスなどの賃貸の需要層の厚みの点で国内の他地域と比較にならない。
日本の人口が減少に転じるなかでも、東京の人口、世帯数は増加傾向が続いており、インバウンド需要の中心地でもある。
2020年東京五輪に向けた数多くの再開発プロジェクトや交通インフラの整備により更なる都市力のアップが期待されている。
取り扱う物件規模は3~20億円の中小規模物件を中心に100億円程度まで幅広い。
ボリュームゾーンは10億円前後。
自己勘定で不動産の再生流動化を手掛ける上場企業は少なくないが、中小規模の築古物件はストックが膨大であるため、仕入れ時における競合はほとんどなく、8割以上を相対で仕入れている。
東京経済圏に特化してきたことにより、物件の目利き力が鍛えられたほか、様々なコネクションを構築してきたことから情報収集力やソーシング力の向上にもつながっている。
b)きめ細かなバリューアップ力
インハウスに一級建築士事務所を抱えており、きめ細かなバリューアップに強みを持っている。
立地、物件特性、ニーズを見極めた上で、32項目の独自の再生チェックポイント「Value UP32」を用いて、コストパフォーマンスに留意しながら的確な再生を行っている。
外観や設備改善のみならずコンバージョン(用途変更)を行ったり、高いリーシング力を生かし、低稼働ビル、空ビルの取得・再生を行うこともある。
空ビルはテナントがいないため再生工事に制約を受けず、事業会社の本社仕様に仕立てることもできる。
こうした場合は利回りを重視する投資家に売却するよりも高く売却できる。
単なる転売業者は不動産市況の悪化の影響が直撃するが、同社の場合、例えば低稼働物件を廉価に仕入れ、バリューアップ及びリースアップによりNOIの向上を図れば、キャップレートが上昇した場合でも影響を吸収することができる。
物件仕入れ時の売上総利益率の目線はキャップレートが変わらない前提で15~20%としており、足元ではキャップレートの低下も享受し、これをかなりかなり上回る利益率となっている。
c)多彩なアセットタイプ、幅広い顧客層を有することによる環境変化への対応力
キャッシュフローの特性が異なる多様な事業ポートフォリオを有するほか、多彩なアセットタイプを取り扱い、幅広い顧客層を有することから、経営資源を不動産市況や金融環境の変化に応じて柔軟に適切な事業、アセットタイプに振り向けることができる。
これにより不動産市況悪化時のリスクを軽減するとともに、不動産市況活況時の収益拡大を図っている。
実際、リーマンショック後も赤字に陥ることなく乗り切った。
(4)バンクフォーメーション
リーマンショック後に多くの不動産会社がリファイナンスに行き詰まり破綻していったことからもわかるように不動産会社は資金調達が命であり、財務戦略は非常に重要。
同社は三菱東京UFJ銀行(三菱UFJフィナンシャル・グループ (T:8306))を筆頭に三井住友銀行(三井住友フィナンシャルグループ (T:8316))、みずほ銀行(みずほフィナンシャルグループ (T:8411))のメガバンク3行を主力取引行とする体制を採っている。
他に政府系金融機関、福岡銀行(ふくおかフィナンシャルグループ (T:8354))や広島銀行 (T:8379)などの有力地銀を始め不動産融資に積極的な地銀30行強と取引がある。
トーセイ・リートのバンクフォーメーションもおおむね同社に準じている。
不動産流動化物件(棚卸資産)にかかる借入期間はおおむね3~5年(投資不動産・固定資産は10~15年の長期の場合もある)と通常の事業期間よりも長めに調達している。
売り急ぐことなく最適なタイミングで物件売却できるような資金調達を目指すとともに、金融環境悪化時のリファイナンスリスクに備えている。
足元の調達金利はアップフロントフィーを含め1.3%程度となっている。
(5)大株主の状況
実質的な創業者で代表取締役社長の山口誠一郎氏が筆頭株主。
2位の(有)ゼウスキャピタルは山口家の資産管理会社。
3~10位の大株主はカストディアン。
大量保有報告書からスパークス・アセット・マネジメント( 株) が2016年6月15日現在で6.3%、ハーリーシキャブが2016年4月1日現在で9.4% を保有していることが確認される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 堀部 吉胤)
(3)トーセイ (T:8923)の特色・強み
a)東京経済圏にエリア特化し、中小規模物件を主要ターゲットとする
事業エリアを東京経済圏(東京を中心に神奈川、埼玉、千葉)に特化しており、棚卸資産の約6割が東京23区内に所在している。
東京経済圏は、世界主要都市の中で経済規模が最大で、収益不動産のストック量、流動性の高さ、オフィスやレジデンスなどの賃貸の需要層の厚みの点で国内の他地域と比較にならない。
日本の人口が減少に転じるなかでも、東京の人口、世帯数は増加傾向が続いており、インバウンド需要の中心地でもある。
2020年東京五輪に向けた数多くの再開発プロジェクトや交通インフラの整備により更なる都市力のアップが期待されている。
取り扱う物件規模は3~20億円の中小規模物件を中心に100億円程度まで幅広い。
ボリュームゾーンは10億円前後。
自己勘定で不動産の再生流動化を手掛ける上場企業は少なくないが、中小規模の築古物件はストックが膨大であるため、仕入れ時における競合はほとんどなく、8割以上を相対で仕入れている。
東京経済圏に特化してきたことにより、物件の目利き力が鍛えられたほか、様々なコネクションを構築してきたことから情報収集力やソーシング力の向上にもつながっている。
b)きめ細かなバリューアップ力
インハウスに一級建築士事務所を抱えており、きめ細かなバリューアップに強みを持っている。
立地、物件特性、ニーズを見極めた上で、32項目の独自の再生チェックポイント「Value UP32」を用いて、コストパフォーマンスに留意しながら的確な再生を行っている。
外観や設備改善のみならずコンバージョン(用途変更)を行ったり、高いリーシング力を生かし、低稼働ビル、空ビルの取得・再生を行うこともある。
空ビルはテナントがいないため再生工事に制約を受けず、事業会社の本社仕様に仕立てることもできる。
こうした場合は利回りを重視する投資家に売却するよりも高く売却できる。
単なる転売業者は不動産市況の悪化の影響が直撃するが、同社の場合、例えば低稼働物件を廉価に仕入れ、バリューアップ及びリースアップによりNOIの向上を図れば、キャップレートが上昇した場合でも影響を吸収することができる。
物件仕入れ時の売上総利益率の目線はキャップレートが変わらない前提で15~20%としており、足元ではキャップレートの低下も享受し、これをかなりかなり上回る利益率となっている。
c)多彩なアセットタイプ、幅広い顧客層を有することによる環境変化への対応力
キャッシュフローの特性が異なる多様な事業ポートフォリオを有するほか、多彩なアセットタイプを取り扱い、幅広い顧客層を有することから、経営資源を不動産市況や金融環境の変化に応じて柔軟に適切な事業、アセットタイプに振り向けることができる。
これにより不動産市況悪化時のリスクを軽減するとともに、不動産市況活況時の収益拡大を図っている。
実際、リーマンショック後も赤字に陥ることなく乗り切った。
(4)バンクフォーメーション
リーマンショック後に多くの不動産会社がリファイナンスに行き詰まり破綻していったことからもわかるように不動産会社は資金調達が命であり、財務戦略は非常に重要。
同社は三菱東京UFJ銀行(三菱UFJフィナンシャル・グループ (T:8306))を筆頭に三井住友銀行(三井住友フィナンシャルグループ (T:8316))、みずほ銀行(みずほフィナンシャルグループ (T:8411))のメガバンク3行を主力取引行とする体制を採っている。
他に政府系金融機関、福岡銀行(ふくおかフィナンシャルグループ (T:8354))や広島銀行 (T:8379)などの有力地銀を始め不動産融資に積極的な地銀30行強と取引がある。
トーセイ・リートのバンクフォーメーションもおおむね同社に準じている。
不動産流動化物件(棚卸資産)にかかる借入期間はおおむね3~5年(投資不動産・固定資産は10~15年の長期の場合もある)と通常の事業期間よりも長めに調達している。
売り急ぐことなく最適なタイミングで物件売却できるような資金調達を目指すとともに、金融環境悪化時のリファイナンスリスクに備えている。
足元の調達金利はアップフロントフィーを含め1.3%程度となっている。
(5)大株主の状況
実質的な創業者で代表取締役社長の山口誠一郎氏が筆頭株主。
2位の(有)ゼウスキャピタルは山口家の資産管理会社。
3~10位の大株主はカストディアン。
大量保有報告書からスパークス・アセット・マネジメント( 株) が2016年6月15日現在で6.3%、ハーリーシキャブが2016年4月1日現在で9.4% を保有していることが確認される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 堀部 吉胤)