■要約
トレードワークス (T:3997)は証券会社やFX会社等の金融業界を主要顧客とする独立系システム開発会社である。
インターネット証券取引システムを中心に、ディーリングシステムや不公正取引監視システム等の開発、クラウドサービス(SaaS※型サービス)を展開し、証券会社向けが売上高の約9割を占める。
証券知識に精通したエンジニアの育成に注力しており、競合と比較して低コスト・短納期かつ多様な顧客ニーズに対応できる開発力を有していることが強みとなっている。
2022年4月から実施される東京証券取引所(以下、東証)新市場区分では、スタンダード市場へ移行する。
※SaaSとは、Software as a Serviceの略称で、クラウドを利用した「顧客に対し必要な機能の提供」を行うサービス形態。
1. 2021年12月期の業績概要
2021年12月期業績は、売上高が前期比21.0%増の2,553百万円と過去最高を更新し、営業利益も同168.4%増の287百万円と3期ぶりの増益に転じた。
主力の金融ソリューション事業において、既存顧客からの継続的な発注に加えて新規顧客を獲得したことが増収要因となった。
また利益面では、増収効果に加えて、プロジェクトマネジメント力の強化に伴う生産性向上やデータセンターのコスト改善による原価率の改善が、増益に寄与した。
2. 2022年12月期の業績見通し
2022年12月期業績は、売上高で3,000百万円、営業利益で240百万円を見込む。
収益認識に関する会計基準等の適用により前期との単純比較はできないものの、会計基準の変更による影響は軽微と見られる。
売上高については引き続き金融ソリューション事業の成長が見込まれるほか、新規事業が売上貢献する見通しとなっている。
新規事業としては2021年7月に発表したクラウドECプラットフォーム「Emerald Blue」(SaaS型)を用いた新規プロジェクトがスタートしているほか、2022年1月に資本業務提携を発表したCXRエンジニアリング(株)と暗号資産取引所システムや次世代金融システムを共同開発していくことになっている。
一方、利益面では、新規事業の立ち上げに伴う費用増も考慮して原価率をやや保守的に見ていることや、中期経営計画の達成に向けた人員体制の強化に取り組む予定で人件費や採用費が増加することも減益要因となる。
ただ、利益面でも前期同様に保守的な計画となっており、状況次第では上振れする可能性もある。
3. 中期経営計画
同社は2026年12月期までの5ヶ年の中期経営計画を発表した。
「次世代金融、新デジタル時代を見据えたテクノロジー・ファースト型の企業成長」を実現すべく、事業領域の拡大とビジネスモデルの転換(利用型・ストック型ビジネスモデルの比率UP)に取り組んでいく。
2026年12月期に売上高6,000百万円、営業利益795百万円を目標に掲げ、2021年12月期の実績から売上高で2.4倍、営業利益で2.8倍を目指す。
売上高のうち1,100百万円はECやVR/AR、非金融事業者向けシステム等の新規事業で稼ぎ出す計画となっている。
また、既存事業におけるストック型売上高の比率は、2021年12月期の56.0%(1,400百万円)から2026年12月期に62.7%(3,074百万円)まで引き上げ、安定収益基盤を拡大していく。
新規事業の拡大にあたっては業務提携なども積極的に行っていく方針で、2024年12月期の黒字化を目指しており、今後の展開が注目される。
■Key Points
・2021年12月期は過去最高売上高を更新、各利益も3期ぶりの増益に転じる
・2022年12月期は既存事業を拡大しつつ、新規事業等の成長基盤構築に取り組む1年とする
・5ヶ年中期経営計画を策定、5年後に売上高、営業利益で2倍以上の成長を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
トレードワークス (T:3997)は証券会社やFX会社等の金融業界を主要顧客とする独立系システム開発会社である。
インターネット証券取引システムを中心に、ディーリングシステムや不公正取引監視システム等の開発、クラウドサービス(SaaS※型サービス)を展開し、証券会社向けが売上高の約9割を占める。
証券知識に精通したエンジニアの育成に注力しており、競合と比較して低コスト・短納期かつ多様な顧客ニーズに対応できる開発力を有していることが強みとなっている。
2022年4月から実施される東京証券取引所(以下、東証)新市場区分では、スタンダード市場へ移行する。
※SaaSとは、Software as a Serviceの略称で、クラウドを利用した「顧客に対し必要な機能の提供」を行うサービス形態。
1. 2021年12月期の業績概要
2021年12月期業績は、売上高が前期比21.0%増の2,553百万円と過去最高を更新し、営業利益も同168.4%増の287百万円と3期ぶりの増益に転じた。
主力の金融ソリューション事業において、既存顧客からの継続的な発注に加えて新規顧客を獲得したことが増収要因となった。
また利益面では、増収効果に加えて、プロジェクトマネジメント力の強化に伴う生産性向上やデータセンターのコスト改善による原価率の改善が、増益に寄与した。
2. 2022年12月期の業績見通し
2022年12月期業績は、売上高で3,000百万円、営業利益で240百万円を見込む。
収益認識に関する会計基準等の適用により前期との単純比較はできないものの、会計基準の変更による影響は軽微と見られる。
売上高については引き続き金融ソリューション事業の成長が見込まれるほか、新規事業が売上貢献する見通しとなっている。
新規事業としては2021年7月に発表したクラウドECプラットフォーム「Emerald Blue」(SaaS型)を用いた新規プロジェクトがスタートしているほか、2022年1月に資本業務提携を発表したCXRエンジニアリング(株)と暗号資産取引所システムや次世代金融システムを共同開発していくことになっている。
一方、利益面では、新規事業の立ち上げに伴う費用増も考慮して原価率をやや保守的に見ていることや、中期経営計画の達成に向けた人員体制の強化に取り組む予定で人件費や採用費が増加することも減益要因となる。
ただ、利益面でも前期同様に保守的な計画となっており、状況次第では上振れする可能性もある。
3. 中期経営計画
同社は2026年12月期までの5ヶ年の中期経営計画を発表した。
「次世代金融、新デジタル時代を見据えたテクノロジー・ファースト型の企業成長」を実現すべく、事業領域の拡大とビジネスモデルの転換(利用型・ストック型ビジネスモデルの比率UP)に取り組んでいく。
2026年12月期に売上高6,000百万円、営業利益795百万円を目標に掲げ、2021年12月期の実績から売上高で2.4倍、営業利益で2.8倍を目指す。
売上高のうち1,100百万円はECやVR/AR、非金融事業者向けシステム等の新規事業で稼ぎ出す計画となっている。
また、既存事業におけるストック型売上高の比率は、2021年12月期の56.0%(1,400百万円)から2026年12月期に62.7%(3,074百万円)まで引き上げ、安定収益基盤を拡大していく。
新規事業の拡大にあたっては業務提携なども積極的に行っていく方針で、2024年12月期の黒字化を目指しており、今後の展開が注目される。
■Key Points
・2021年12月期は過去最高売上高を更新、各利益も3期ぶりの増益に転じる
・2022年12月期は既存事業を拡大しつつ、新規事業等の成長基盤構築に取り組む1年とする
・5ヶ年中期経営計画を策定、5年後に売上高、営業利益で2倍以上の成長を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)