[東京 15日 ロイター] - 9月のロイター企業調査によると、台湾有事を「懸念している」との回答が7割を超えた。中国が台湾を武力攻撃した場合、世界経済に影響を及ぼす可能性を危惧する声もある。一方で、こうした有事に「特に対応の予定はない」との回答が半数に上り、台湾有事を想定した備えは十分ではない様子もうかがえる。
調査期間は8月31日から9月9日。発送社数は495、回答社数は245だった。
<台湾有事、世界経済への影響>
先月のペロシ米下院議長による訪台を機に中国軍は台湾周辺での活動を活発化させており、同地域の緊張は高まっている。中国が台湾に武力攻撃を行うといった台湾有事を「懸念している」と回答した企業は74%と、「懸念していない」の26%を大きく上回った。
中国が台湾に侵攻する事態になれば、「国際経済にもダメージが大きい」(化学)、「世界経済の低迷に拍車がかかることを懸念」(輸送用機器)などの意見が寄せられた。
台湾有事が発生した際の対応については、「特に対応の予定はない」と回答した企業は51%と半数を超えた。「サプライチェーンの多様化」が27%、「現地従業員(日本人に限らず)退避」と「BCP(事業存続化計画)実施」がそれぞれ19%で同水準だった(複数回答可)。
企業からは、「日本有事と同義と考えられるため、範囲が広すぎて検討できていない」(輸送用機器)や「主力工場の拠点でもあり、なかなか打つ手がないのが実情」(機械)など対応の難しさが浮き彫りとなった。「従業員の安全確保」(化学)や国内調達、船便確保対策などを挙げた企業もあった。
台湾有事が対中国ビジネスに影響があるか聞いたところ、「多少はある」と回答した企業が35%、「多いにある」は23%となり、6割弱が影響を受けると予想する結果となった。「米中間のあつれきがさらに増大した場合の影響は計り知れない」(電機)という声も寄せられた。
<ウクライナ情勢、年内終息見込みは少数>
ロシアによるウクライナ侵攻から半年以上が経過したが、戦争はいつ終わると思うか聞いたところ、「来年前半」は39%、「来年後半以降」は45%となった。「年内」と回答は16%にとどまった。
ウクライナ情勢は、対ロシアビジネスに影響があるかとの問いには、「多少はある」が19%、「大いにある」は7%で3割以下だった。「まったくない(ロシアビジネスがない場合を含む)」が48%、「あまりない」は25%となった。
「ロシア向け輸出が全て止まってしまった」(機械)といったコメントのほか、影響はないと回答した企業も含め、原油高騰など資源高による負担は幅広い業種に及んでいる。