[ワシントン 3日 ロイター] - 米フェイスブック (O:FB)が計画している傘下メッセージアプリ上の利用者間のやり取りの全面暗号化について、ネット空間で急増する児童虐待やテロ活動の捜査の妨げになるとして、米国と英国が同社のけん制に乗り出した。
ロイターが確認した文書によると、両国は3日にハイテク企業に対してテロリストや子供を狙った犯罪者の通信内容を迅速に法執行機関に提出させる特別協定に調印する予定。法執行機関は現在、ハイテク企業から情報を入手するのに半年から2年間かかっているが、今回の協定により数週間から数日に短縮されるとしている。
協定はフェイスブックとザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)に宛てた公開書簡のとともに発表される。この書簡にはオーストラリアも署名しており、暗号化計画の中止を求めたもの。
書簡はバー米司法長官、パテル英内相、ダットン豪内相の連名。「フェイスブックが計画通りに暗号化を進めれば、子供を守り、テロと戦うのに重要な活動の多くがもはや不可能になるというのが、我々の理解だ」とした上で、フェイスブックについて、こうした重大な懸念に対応する考えを明確にしていないと指摘した。
ロイターが確認した文書によると、3カ国は3日、ハイテク企業に対してテロリストや子供を狙った犯罪者の通信内容を迅速に法執行機関に提出させる特別協定に調印。法執行機関は現在、ハイテク企業から情報を入手するのに半年から2年間かかっているが、今回の協定により数週間から数日に短縮されるとしている。
これとは別に、米英間の取り決めにより、英政府は米国の法執行機関を通さずに米ハイテク企業にデータ提出を直接請求する権限を得られるようにする。
フェイスブックは、暗号へのバックドア(裏口)を設けようとする政府の取り組みはプライバシーやセキュリティーを損なうものであり、強く反対するとの声明を発表した。
*英文の訂正により、特別協定の調印は米英2カ国のみで、オーストラリアは公開書簡に署名したことを明確にして見出しと本文を修正しました。