[30日 ロイター] - 米アップル (O:AAPL)の株価が今月に入り過去最高値を更新した。同社に対する今後の期待感を反映しているが、こうした期待はティム・クック最高経営責任者(CEO)の米中両政府、そして市場と良好な関係を維持する「外交手腕」に寄るところが大きいと、投資家やアナリストは指摘する。
クックCEOは、トランプ米大統領と夕食を共にし、関税や米製造業に関するアップルの見解を伝えるなど、良好な関係の構築に努める。同時に、米政府による中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)[HWT.UL]制裁を受け、アップルが報復の標的になることを回避するため、中国政府とも十分に強固な関係を保つなど、米中貿易摩擦による最悪の影響をかわしている。
アップル株主のキャピタル・インベストメントの首席エコノミスト、ハル・エディンズ氏は「クック氏がトランプ大統領を納得させることができるとは誰も思っていなかったはず」と指摘。クックCEOがアップルに最良の結果をもたらすための「微妙なさじ加減に長け、感情的知性を兼ね備えている」と述べた。
クック氏はまた、iPhoneの一品勝負ではなく、腕時計型端末「アップルウオッチ」や動画サービス、クレジットカードなど多岐に渡る商品を展開する戦略を打ち出し、市場参加者を満足させる。投資家は、アップルが11月に開始する新サービス「アップルTV+(プラス)」が売上高の押し上げに結びつくと、楽観的な見方を示している。
中国は引き続きアップルにとって課題だ。中国での売り上げは今年度初旬に大幅に減少。アップルは値下げに踏み切り、奏功したものの、ファーウェイに市場シェア拡大を許す結果となっている。しかし、アップルが長期的に中国市場で国内競合に対してシェアを縮小するという見方はアップル投資家の間ですでに織り込まれているようだ。