[ジュネーブ 6日 ロイター] - デジタル商品のオンライン取引は20年にわたり関税が賦課されないことになってきたが、終焉を迎える可能性がでてきた。ソフトウエアや動画などのダウンロードに課税されることにつながる。
ネット上のコンテンツの取引は年2550億ドルに上るとの試算もある。世界貿易機関(WTO)は1998年以降、コンテンツのいわゆる「電子送信」に課税賦課しない措置(モラトリアム)を更新してきた。
このモラトリアムは、最初に米国が強く支持したこと、この措置により関税収入を失うのが主に途上国ということもあり、先進国に有利との見方が一部にある。
書籍や映画などがデジタル商品化するに連れて、潜在的な税収がますます失われる状況になり、関税賦課免除の撤回圧力が高まっている。
ロイターは、南アフリカとインドが加盟国に配布したモラトリアム見直しを主張するWTO内部文書を入手した。WTOは9日の週に、年末に期限を迎えるモラトリアムの更新の是非を討議する。モラトリアムの更新には加盟国すべての賛同が必要。
南アフリカのWTO大使Xolelwa Mlumbi-Peter氏は、同国の立場に関する質問に「この重要な決定についてまだ討議している」と電子メールで回答した。インドからのコメントは得られていない。
中国とカナダを含む21カ国は、モラトリアムを少なくとも6カ月延長するよう提案している。仲介役のスイスは「加盟国の大半はモラトリアムを支持する姿勢を示している」と述べた。
デジタルコンテンツへの関税賦課には、原産地の特定や、輸入取引と判断する基準をどのように設定するかなど、課題が多い。
国際商業会議所(ICC)のジョン・デントン事務総長は「(データ量の単位である)バイトにどのように課税を賦課するのか。毎日、時々刻々とさまざまなソースから各国に伝達される何百万ものデータの流れをどのように把握するのか」とデジタル商品への関税賦課が抱える課題を指摘する。
ただデジタル商品への関税をかける動きが一部でみられている。インドネシアは2018年、デジタル商品への関税制度を制定。いまのところ、関税率はゼロ%に設定されている。